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書評:バトルロワイヤル
超現実的世界における超中学生達の戦い。


「中学生達が最後の一人になるまで殺し合う」という衝撃的な展開が一世を風靡した作品。ブログ主も知ってはいたが、実際に読むのは今回が初めてだった。

最初に引っかかったのは舞台設定の穴。統制ファシズム国家が数十年継続している設定なのに、ほとんどの登場人物の思想が現実の現代日本人と変わらない点。特に、「プログラム」の存在自体が伏せられていたり、あるいは今回が初だったのならともかく、恒例行事になっているような世界に生まれ育っているのにこの反応は無いよなあ、と。下手に設定を敷かずに、ナンセンスな状況下に突発的に放り込む導入の方が良かったんじゃないか、と最後まで思った。冒頭にハッキングの話が出ていたりしたからバーチャルリアリティ落ちかと予想したら違ったし。

1つのクラスに中学生離れした人材が集まりすぎてるのも気になる。知能も運動能力も精神も。若者に人気があったみたいだけど、同年代が読んで感情移入できるのか大いに気になる。もっとも現実に当てはめるのが良くないだけで、この世界ではこういう人材が割とスタンダードなのかも知れないが、中途半端に「現代日本のリアリティ」を感じさせるのが引っかかる。

物語自体は緊張感のあるエンターテインメントで、勢いよく読み進められる展開だった。それだけに「ファシズムと自由」というようなテーマが説教臭くて邪魔になってしまうのだが。まあ悪役を際だたせるのには一役買っているか。一人ずつ渡される武器が違うというのも正直言ってご都合主義だけど物語の展開に幅を持たせている。

最後まで読んで、この小説のポジションを自分なりに消化すると、「『暴虐な政府を倒すために特殊能力に目覚めた若者達が立ち上がる!』的な王道少年漫画の前日談」といったところ。英雄は生まれるべき所に生まれるのが物語の鉄則。

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