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書評:冷静と情熱のあいだ
1つの物語を2つの視線から描く。これだけならありがちだが、それぞれ別の作家が別の本として執筆するという異色のラブストーリー。




「順正」と、「あおい」、2つの小説はそれぞれの一人称で展開される。双方とも全13章に分かれ、時系列は同じ章の中ではほぼ共通。どうやって読むのかは読者の自由。ちなみに愛蔵版では1章ごとに赤→青の順で交互に収録している。

二人はなぜ別れたのか?過去の約束はどうなるのか?自分の場合は青→赤の順で一章ずつ交互に読み進めたので、先の展開に緊張感を持ち続けながら最後まで楽しめた。片方をまず全部読んで顛末を知ってから、もう片方を読むのも一つの楽しみ方だろう。

主な舞台は20世紀末のイタリア。順正は絵画の修復技師で、あおいはアクセサリー屋。風景や芸術、小道具の描写が細かくて美しい。食事もおいしそう。イタリアに行きたくなる、とまではいかなくても、今日の食事はイタリア料理にしようと思うはずだ。

キーワードは「過去と未来」か。町全体が過去のままのフィレンツェ、過去を未来によみがえらせる絵画修復、そしてクライマックスは過去の恋愛でなされた未来の約束。

最初はすれ違う程度だった2つの物語は、運命的な出来事の重なりによって次第に一つの糸にたぐり寄せられていく。どうでもいいけどラファエッロなどの芸術家の話をしている裏側でミュータントタートルズを比喩に用いてるのは笑ってしまった。これも無意識のシンクロか。

双方の物語を結びつける役割を果たす共通の友人「崇」サイドのストーリーを読みたいと思ったのは自分だけではないはずだ。恋愛には二人必要なのは当然だけど、第三者もかかわり合うのが普通なんだよな。

過去の恋愛にとらわれつつも、決めるべき時には強さを見せる順正には結構感情移入できた。でも終わり方はちょっと物足りない感じ。ラブストーリーとしてはきれいだけど、やはり対立する父親とはきっちり決着をつけるのが男の物語というものだろう。二人の「情熱」がすべての障害をはねのけることを信じる?

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