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書評:「萌え」の起源
サブカルから読み解く日本人のメンタリティ。


一般に「萌え」の代表格であると見なされるような、美少女キャラの形態や性格に関する話はほとんど無い。メインとなっているのは「萌え」を産み出したその土壌である日本の精神文化である。タイトル通り、まさしく「起源」を語る本なのだ。

男と女、人間と動物、さらには生物と非生物の垣根が低く、道具にさえ感情移入し神聖視する。政治的なトップダウンではなく大衆支持のボトムアップで築き上げられた文化。万物に宿る八百万の神の思想、小さいものを愛でる精神、(忠臣蔵ブームが示すように)庶民にまで浸透していたというストイックな武士道、これら全てが現代日本の漫画やアニメにまで影響を与えているという。

この土壌に大輪の花を咲かせたのが我らが手塚治虫、というわけだ。手塚治虫が漫画の神様と呼ばれる由縁を改めて確認。コマ割りやストーリーやキャラの造形、特に「ヒロイン」(女性とも生物とも限らない!)の艶めかしさは確かに先進的だ。一部のコマを引用しながら解説するから説得力もある。

全体的に気になったのが取り上げられる作品の偏り。ほとんどが男性作家による少年漫画である。特に後半は、ヒーロー・ヒロイン論もきわめて男性目線。あくまで「男性の時代劇作家が読みとった萌えの起源」なのだ。一応「”やおい”とは、友情至上主義(恋愛軽視)の日本型ヒーローへの無言の抗議」みたいな分析も無いことはないけど、女性の皆様は納得するのだろうか。他にも、古典的な滅私奉公ヒロイックストーリーの裏返しとも言える「セカイ系」についても少しは言及して欲しかった。

小惑星探査機「はやぶさ」に対する、JAXAの自然な感情移入を日本人精神の例に挙げて締めくくるのは上手いまとめ方だと思った。出版は、帰還成功が国民的ニュースになる1年近くも前のことだ。

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