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書評:子どもの替え歌傑作集
子供の替え歌は現代の民話だ!戦中から平成に至る替え歌の歴史。


替え歌の発生と伝搬は文化研究の上で重要な課題だが、今までほとんど手が付けられていなかった。筆者は、「少国民」時代に自らが聞き覚えた替え歌、既存の替え歌集からの引用、さらに大学教授としてゼミの教え子達から収集した平成の替え歌まで、多様な替え歌を収録。

替え歌は世につれ世は替え歌につれ。文明開化と共に入ってきた賛美歌をいじり倒し、軍国主義の抑圧化においては逆にそれを茶化し、お茶の間のスターは替え歌界でもヒーローとなり、平成不況下には殺伐とした歌詞が目立つ。そして時代を超えて替え歌の王様である「ハゲ」「うんこ」。子供のパワーって凄いね。

古い歌が多いと思いきや、今になっても定番として残る歌や、平成以降の歌詞も多く習得しているので、1980年代生まれのブログ主でも知っている歌を口ずさみながら楽しく読めた。下ネタや一発ギャグに溢れる歌詞を真面目に考察しているギャップも面白い。

少々筆者の感情がこもりすぎているように感じる部分があって気になった。特に戦争に関する部分はもう少し冷静になれなかったのかなぁ。自分も戦中派の祖父母に囲まれて育って、戦争の話もたくさん聞いたけど、ここまで恨み節では無かったぞ。

オクラホマミキサーの替え歌の「まっちゃん出べその宙返り」は、もともと俳優の尾上松之助を歌ったものだが、彼を知らない平成の子供は「まっちゃん」を松本人志の事だと思って歌っている、というのが興味深い。歌詞のほうが逆に元ネタを引っ張ってくるという替え歌の力!ちなみにブログ主はクラスの松本君をからかう歌として歌った覚えがある。

ぐぐれば一発でわかるような情報を曖昧な推量のまま出していたり、平成の替え歌を語る上で欠かせない「ボギャブラ天国」や「空耳アワー」などの存在に全く触れていなかったり(特に前者は「白い素肌のばっちゃま」を採録しているのにも関わらず)ちょっと手落ちだと感じる部分もあった。世代的に苦手な分野かも知れないが、教え子にでも手伝わせれば解決できたであろうに、惜しい。

著作権の関係で収録できなかった歌も多かったようで、学術目的の引用にまで著作権を主張する事に苦言を呈しておられる。それでも歌詞の一部や曲名を紹介してるので、大抵はネット検索で解決するだろう。

ラジオやテレビがそうであったように、今や動画サイトの存在が子供の歌文化に大きな影響を与えている。例えば「おっくせんまん」の歌詞の発生の経緯は、替え歌の誕生に通じるところがあると思う。今後も研究が続くことを望む。

おすすめリンク:おっくせんまんの歌詞ができるまで。

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