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書評:ふりかけ--日本の食と思想
一冊まるごとふりかけづくし。ふりかけの起源から最新の加工技術まで。


単独では総菜にも肴にも菓子にもならず、ご飯の添え物としてのみ存在を主張できる存在、しかし日本の食文化に深く根を張るふりかけとは何なのか。

「日本の食と思想」という、いささか大げさな副題は伊達ではない。ふりかけの起源を探るうちに、日本どころか東アジアの米食文化の源流にまで遡る。

ふりかけの歴史はすなわち米と調味料の歴史であり、太古の土器を通して考古学の世界にも繋がる。米を主食にする国は多いが、ドライタイプのふりかけは日本の独自性がかなり強い。その理由には民俗学的な理由まで持ち出してくる。味覚に対するアプローチは化学だし、素材の加工には粉体力学が不可欠だ。販売戦略における商品名やデザインは心理学。このように、ふりかけ1つにも様々な学問から切り込めるわけだ。

基本的な素材ごとにも深く掘り下げている。一口に「塩」「ごま」「削り節」などと言っても、原料や加工法によって様々な種類があることを知った。今度から原材料を注意深く見てみよう。「ゆかり」や「のりたま」といった定番商品の開発秘話に触れている。読んでると腹が減ってくる。

巻頭に全国のご当地ふりかけが写真入りで紹介されているが、商品名とメーカー以外の説明がなくて少し残念。巻末の「ふりかけ年表」の冒頭が「45億年前:地球誕生の初期、海の形成と同時に『塩化ナトリウム』が精製される」から始まっていたのには壮大すぎて笑った。

ふりかけという身近な題材から風呂敷を広げまくって知的好奇心を刺激してくれる一冊。ぜひ食卓に置きたい。

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