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ゲームレビュー:たまごっち
ここでレビューするのは、1996年に発売された一番最初のキーチェーンゲームの「たまごっち」について。


時は1996年の晩秋。当時中学生だったブログ主は、クラスの友人達とゲームの話で盛り上がっていた。
 「今はいろんなミニゲーム(キーチェーンゲームのこと)あるよね」
 「やっぱりテトリスが一番だよなー」
 「なんか最近出た、鳥とか猫とかを育てるゲームが一番面白いらしいぞ」
確か体育の授業中の会話だったと思う。この時点では名前すら知らなかったが、「たまごっち」の存在をおぼろげながらに知ったのはこの時だ。どうでもいい状況まで覚えているほど、不思議とインパクトのある話だった。

ニュースなどでブームを知ったのは年末に入ってからだろうか。名前を知った頃には既にどこにも売っていない。近所のお好み焼き屋で客に抽選でプレゼントというイベントをやっていたが、数はごく少ないのにたくさんの人が来ていた覚えがある。

実際に自分がたまごっちを手にとってプレイしたのは97年の後半あたりだったと思う。2が発売されたりメディアミックスされたりして子供にも手が届くようになっていたが、既に全盛期の勢いは過ぎ去っていた。安くなったので何となく手に入れたが、特に熱中せずに2周くらいで止めてしまったと思う。おそらく既に情報を知りすぎていたからだろう。

しかしこのゲームの革新的だった部分はわかる。まずソフト一体型の携帯機で育成ゲームをするという発想が今までになかった。かつては技術的に不可能だったのか単に発想が無かったのかは不明だが、とにかく新しかった。ゲームボーイのようなカートリッジ式のゲーム機では育成ゲームはあっただだろうが、たまごっちは常時電源を入れていることが前提になっているという点が革新的。そもそも電池が切れるまで常に電源が入っているのだ。そう、たまごっちは「たまご+ウォッチ」。時計なら電源が入りっぱなしで当たり前(そういえば任天堂の初期のゲームも「ゲーム&ウォッチ」なのである意味では原点回帰か?)。

第二に、育成そのものをゲームとした点。今までの育成ゲームには、例えば馬を育てて全てのレースで優勝するとか、娘を育ててお姫様にするとか、あるいは町を一定規模まで成長させるとか、何らかの目的が明確に設定されていたはずだ。形式的にはマルチエンディングだったとしても、そのエンディングには大抵優劣があった。しかしたまごっちは育てること自体が目的。育成の分岐や隠しキャラはあってもそれぞれのキャラの扱いは平等だ(姉妹商品の「デジタルモンスター」では、対戦モードというはっきりした評価基準があったので、基本システムは共通でも設計思想としては大きく異なる)。

そして「常時稼働する携帯ゲーム」と「育成自体が目的のゲーム」という特性によって成り立つのは「リアルタイム育成ゲーム」という未知のジャンル。現実の生活に浸食する架空の世界。当時はちょうど携帯電話などが普及し始めた頃というのも良かった。いつなるかわからない呼び出し音はまるで電話がかかってくるような感覚。育成自体は極めてシンプルで、パラメータもごくわずか。本来ならまずゲームとして成り立たないレベルなのに、リアルタイムにするだけで実に生き生きとした姿を感じさせてくれる。

地味に評価してるのは、ボタン3つという極限まで単純化されたインターフェイス。左のボタンはコマンドの選択(十字キーで無いのが、アクションを前提としていないという意味で新しい)、真ん中のボタンは選択したコマンドの決定、右のボタンは一つ前に戻るキャンセルボタン。秀逸なのは右のボタンである。キャンセル専用のボタンは、各項目ごとにキャンセルコマンドを表示すれば本来は不要なもの。しかし「いつ、どんな時に押しても最初の画面に戻れる」という機能が、ゲーム慣れしていない人でも操作を簡単なものにした。似たようなものは携帯電話の「電話を切る」ボタン。これも、電話中だろうがメール画面だろうが、押せば全てをキャンセルして最初に戻れるボタンである。このボタンの有無は操作性に大きく影響する。そういえば「電話を切る」ボタンもキャンセルボタン同様本体の右側にあるなぁ。

正直、元のたまごっち自体は大いなる一発屋だったろうが、今後のゲーム業界に大きな影響を与えたと言っていい。特にリアルタイム育成ゲームという発想は、現在大盛況のネットワークゲーム(特に、よりライトなソーシャルアプリ系)に引き継がれている。単なるブームとして扱わず、ゲーマーの視点として再評価されることを望む。

なお、今回Amazonリンクに貼ったのはUS版。オリジナル版が見つからなかったので言語以外は同一と思われるUS版を選んだ。商品検索をしていて感じたが、今もなお子供向けのラインナップを欠かしていない模様。当時のファンに媚びない姿勢は個人的には交換が持てる。

ところで未だに謎なんだけど、類似商品の「タマゴ野郎」って実在したの?

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おすすめリンク:日本偽現実工学会会報のたまごっち評論

当時のたまごっちブームをリアルタイムで体験した世代として物凄く共感。遅かれ早かれ「死ぬ」運命は逃れられなかったとも思うけれど。

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