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【初代ポケモン】石進化の自然発生に見るバグと仕様の狭間
「特定の条件を満たすと、石を使うことで進化するポケモンがレベルアップだけで進化する」現象をめぐるあれこれ。
件の現象についてご存じない方は、まず伝説のスターブロブ2の記事をご参照いただきたい。発見の経緯から原理まで詳しく解説されている。現象自体はかなり早期から発見され(個人的にも1997年頃に実体験した)、ゲームフリーク公式サイトにおいても仕様の一部であるかのように解説されておりながらも、詳細な条件や原理について周知されたのは2010年前後と、かなり長い間「謎の現象」とされていた。

結論から言えば「最後に戦闘に出ていたポケモンの種族コードと、その戦闘でレベルが上がったポケモンに対応したアイテム(「ピッピにとっての月の石」等)のコードが一致した場合、フラグ参照ミスで戦闘後に進化条件を満たしてしまう」というバグに他ならない。しかしゲームフリーク公式サイトにおいては、読者からの質問に対して、あくまでも仕様の範疇であるかのような回答をした。個人的にこの点は非常に興味深く、当時のゲーマーやメーカーが、ゲームのバグとどのように付き合ってきたのかを物語る象徴的なケースだと考える。

なおゲームフリーク公式が、なんでもかんでもバグについて受け入れていたわけではないことは最初に明言しておきたい。同コーナーではミュウの出し方についての質問も殺到していたようだが、「『ミュウ』に関する質問が最近多いが、ミュウを手に入れるには、雑誌などのプレゼントに応募するしかない。だから、作り方といわれてもわたしには答えられないのだが…。 」と、オーキド博士に語らせている。つまりあるバグがゲームとしての楽しさや世界観を壊すものであれば存在を認めないのに対し、そうでない限りは事後的であっても仕様として認められるのである。

近年、本サイトのほうで「GB版ポケットモンスター バグについての見解」という記事を書き、通信プレイにおける一つの指針として、ヒストリアカップのゴールドさんを始めとする多くの方に同意していただいた。「なぜバグ技を一括禁止にせずに線引するのか」という意見を見たこともあるのだが、根本的な理念としてはゲームフリークの質問コーナーにおける「石を使わずに進化」と「ミュウの出し方」についての扱いの差が元になっている。

ポケモンに限らず、当時のRPGにおいて仕様とバグの境目があやふやなのは珍しいことではない。特に旧スクウェアのゲームにおいて、近年の移植における仕様変更が「本来の仕様通りにした」ものなのか「単なる移植ミスで原作を再現していない」ものなのか、ファンの間でも意見が分かれる例がしばしば見られる。容量や工数の削減のためにバグを前提にした挙動(FF2やFF3の高速飛空艇とか)というのも珍しくなかった時代であり、正しい仕様が何であったのか、もはや誰もわからないケースがあっても不思議ではない。そのような場合において、現代の基準で「プログラム的にバグだから起こるべきではない挙動」などとする線引には何の意味もないのである。

少し話はずれるのだが、戦闘システムに致命的なバグが存在したにも関わらずゲームバランスが整っていて普通に遊べるという例もまた多い。FC版ウィザードリィ1において防具の性能(アーマークラス)が機能していなかったり、ウィザードリィ外伝1において武器攻撃力のうち定数項が常に0として扱われている問題などが知られている。仕様どおりに動くかどうか以前に、ゲームが安定して楽しく遊べるかどうかを検証することを最優先するという姿勢は、考えてみれば当たり前かも知れない。デバッグは目的ではなく手段に過ぎないというわけだ。

レトロゲームの競技的なプレイ(ポケモンのような直接対戦はもちろん、タイムアタックなども含めて)においては、このようにバグと仕様の明確な区別が(深いレベルにおいては)不可能になってしまうため、どうしても個人的に許容できるレギュレーションに差が出てしまうのはやむを得ないことだと考える。結局のところ、自分自身や対戦相手が納得して楽しめるルールを模索していくことが一番大事なのではないかと思う。

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