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書評:不夜城
20世紀末の新宿を跋扈するチャイナマフィア達の物語。

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著者がかつて佐山アキラ名義で執筆した「酔いどれの墓標(ウィザードリィ小説アンソロジー収録)」のリライトだと聞いて読んでみた。確かにヒロインの設定や、ストーリーにおける位置と顛末は同じだが、それをとりまく状況は特に似ているというわけでもない。アウトローの主人公による一人称というのも同じだけど、アウトローなりにバリバリ働いている現役という点が違う。

チャイナマフィアと一口に言っても、台湾系、上海系、香港系、福建系などの様々な勢力が縄張りを広げる歌舞伎町。状況に応じて言語を使い分けるあたりが芸が細かいと思った。主人公は日系台湾人だが、基本的には一人で活動する故買屋として黒社会の中で器用に立ち回っている。

登場人物がとにかく狡猾。多くの人物が、あるいは勢力が、二重三重にも罠や保険を張り巡らせている。最初から最後に至るまで裏切りと暴力の連続で気が抜けない。それでいて、下手にカタギが絡まないので後味はそんなに悪くない。

巻末の参考書籍を見る限り、著者は黒社会についてかなり下調べを行った模様。新宿には学生時代よく行ってたけどこんなに物騒な街だったのか。現代日本における「迷宮」としてこれ以上の舞台は無いだろう。

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