持っていないしプレイしたこともない(動作環境すらない)のだが、攻略本が手に入ったので色々メモ。
作品概要
1993年5月28日発売。FC版の初代(関東版)、『全国版』に続くシリーズ通算3作品目となる。初のPC版であり、翌年に発売するSFC版『2』のベースになったと思われるソフト。同年9月にはDOS/V版、翌年2月にはFM-TOWNS版が発売されるが、基本的な仕様はPC-98版を引き継いでいるらしい(他のPC版については資料もなく詳しく調べていないので曖昧)。
さらに1994年9月には同じPC-98にて『ダービースタリオン エキスパート(EX)』が発売。これはSFC版の『ダビスタ3』のベース(BCパスワードにも完全に互換性がある)。単品発売の他、前作をアップグレードするパワーアップキット(アペンド版)も発売された。一般に「PC-98のダビスタ」といえばエキスパートが有名で、前作のほうはあまり話題にならないようだ(BCパスワードの1つすら見つからなかった)。
(なお『ダービースタリオン98』というSFCソフトがあるが、これは1998年版という意味なのでPC-98版とは無関係。安易に「98版」等と表記すると誤解を招くので注意)
仕様など
牝馬の生産と繁殖上げ、坂路とプール調教(ただしウッドはまだない)、凱旋門賞への挑戦といった、『2』で登場した(FC版にはない)要素の大部分は本作が初出。ただしニックスは未実装(新要素と謳われた『2』のほうでもバグで機能していない説が濃厚だが)。また『2』では4代までだったインブリードが、『3』に先んじて5代まで可能になっている(これも『2』ではバグで機能していないらしく、本作でも実際のところどうなのか不明)。
また、FC版では8頭立て、SFC版でも12頭立てだったレースだが、PC版では16頭立てとなっている。コンシューマで16頭立てが実現するのは1997年のPS版以降なので、かなり早くから導入されたことになる。
ブリーダーズカップも本作にて初登場。ただしシステムの名称としては「ステークスレース」で、その中に「ブリーダーズカップ(芝2400m)」と「ダートチャンピオンシップ(ダート1800m)」があるという仕組み。紛らわしいのでこの記事では「ブリーダーズカップ(BC)」で統一する。
登場馬について
種牡馬や繁殖牝馬はほぼ『2』と共通するので、違う部分を紹介する。
まず「全国版からの続投だが『2』にいない」種牡馬を紹介。エンペリー、グランパズドリーム、パーフライト、フィディオンの4頭である(なおこの条件ではノノアルコのみ消えた)。さらにPC-98版のみに登場するものとしてニシノライデン、リヴリアがいる。いずれも以降のシリーズには登場しない。種牡馬別の最強産駒を目指している人には取り組み甲斐があるのではないか。また『3』に先んじてノーパスノーセールが登場している。
実用面では特にパーフライトに注目したい。仮にインブリードが機能しているなら、母父という近い位置にいるネイティヴダンサーは代重ねの上でかなり使える。『96』以降に登場していれば面白配合もしやすくて大活躍だったろうに(ネアルコが入らない異系の血脈!)。
次に繁殖牝馬について。()内はモデル馬である。「全国版からの続投だが『2』にいない」牝馬はクレマチス(クニノキヨコ)のみ。さらに本作のみに登場するレアな牝馬が7頭。コモレビ(グラサード)、コーラスソング(グロリアスソング)、ダブルドリブル(メリーブラット)、テルミネ(カシマジョオー)、ナブッコ(テキサナ)、パックスロマーナ(ゴールデンステラ)、ヒナマツリ(ミョウガミネ)(なお、クロニクルによるとサクラキャンロップ(キョウメイ)がPC98版のみのように書いてあるが、実際は『2』にも登場する)。
なお、攻略本ではテルミネの母母母父はダイオライトとなっているが、実際のカシマジョオーの母母母父は月友のようだ(netkeibaによる)。母父・母母父まで一致している上に他に候補はいなかったので、血統のミスまたはインブリード効果のために意図的に改変した可能性がある。
ブリーダーズカップについて
攻略本『ダービースタリオン98版を一生遊ぶ本』にて、ユーザー主催の大会が10ページにわたって特集されている。ダートで25頭、芝で47頭が集まり、予選と決勝戦が行われたとのことだ。
性質上、PC版というパソコン通信で盛り上がったというのが大きい。本作そのものが通信に対応しているわけではないが、パスワードをやり取りすることができたのである(おまけにコンシューマ版のように手入力せずともコピペできる)。ニフティサーブでのパソコン通信によるやり取りは本作以降も続き、既にインターネットが普及し始めた1996年の時点でも主戦場はパソコン通信だったことが書籍『ダビスタクロニクル』等から伺える。
しかし本作の発売が5月末、攻略本の発売が同年9月なので、攻略法のようなものはほとんど確立されていない。上位の馬も、高額牝馬にスティールハートを付けただけの安直な配合が目立ち、配合理論などあったものではない。この大会以後のBC情勢については『ダビスタクロニクル』でも触れられておらず、本作がどのように掘り下げられていったのかは不明である。未開拓な部分も多いだろう。
(攻略本を読む限り、少なくとも著者の成沢氏の理解では「先天的なスピードが最重要、スタミナは調教で高められる」とのことだが…)
特に好成績を収めた5頭のデータについて、攻略本の裏表紙をそのまま引用する(クリックで拡大)。

決勝戦においてもゲーム内レコード(ホーリックスの2分22秒2)を破るには至っていないことから、後の『2』におけるシルバイオーがいかに衝撃的だったのかがよくわかる。
すべて初代牝馬の産駒であるのはそういうレギュレーションだからではない(少数だが自家生産牝馬の産駒もエントリーしている)。発売されたばかりの頃であるために牝系重ねのノウハウがなく、前作で強力だったパターンがそのまま使われたのだろう。スティールハート産駒が上位を占める中、ハイセイコー産駒で挑んだ(結果は決勝戦で4着)ミラクル氏にエールを。
なお「ホワイトキュウコ」に関しては、『ダビスタアドバンス』にて名前だけ登場(功労馬担当のセリフとして)するようだ。予選では1着になるも決勝戦では出遅れて6着だったが、予想印は最高(つまり基礎能力は最優秀)で、薗部さんも感嘆する強さである。
全体的に牝馬が多いのだが、初代配合だと牝馬がやや生まれやすいという仕様(『2』以降と同様)によるものだと思われる。単純に前作では出なかったから嬉しくて育てたくなったという心情もあるかも知れない。
パスワードの互換性について
本作のパスワードはカタカナ27文字で、『2』と同じように見えるのだが互換性はない(少なくとも『PC98版』のパスワードを『2』に入れることはできないことを確認)。『2』のパスワードを受け付ける『3』『96』でも試してみたが駄目である。『ダービースタリオン3全書』の233ページにて「これまでのシリーズ全作のパスワードを読み込むことができる」と書いてあったのは嘘だった!
なお、(PC-98版の移植版であるはずの)FM-TOWNS版のパスワードは2と互換性があるらしいことが、不確定ながら公式ガイドブックの129ページにて触れられている。
ダビスタ2の攻略本より。ダビスタ2とPC-98版のパスワードに互換性はないが、FM-TOWNS版とはあるという貴重な情報。 pic.twitter.com/keMXfyhQ5z
— かける (@Kakeru8201) April 4, 2022
それでも文字数が同じということは基本的なフォーマットも同じなのでは?最後の1文字(チェックサム)を変えれば通るのでは?と勘ぐり、上述の「カブカラー」の最後の文字を「タ」に変えたら通ってしまった。しかしデータはめちゃくちゃ。名前も性齢も戦績も毛色も、部分的な名残すら見られない。

(ターボファイルのデータを強引にコンバートしたときも思ったが、これでバグらないのがすごいよなぁ)
おそらく全く無関係なデータを読み取ってしまったのだと思われる。しかし文字数が同じということは共通点もあるはずで(根本的に仕様を変えるなら、識別も兼ねて文字数も変えるはずだ)、適当な並び替えや差し替えによってコンバートできるような気もするのだが、自力では調べようもなかったので、なにかご存じの方は教えていただけるとありがたい。
攻略本のミス
種牡馬データにおいて、94ページから98ページの部分は、本来なら99ページから108ページの後に来るべきである(値段順に並んでいるので)。乱丁かと思ったがページ数自体は順番に振られているのでデータを取り違えてしまった模様。このせいで索引でのページ数がずれている。
コメントの投稿
トラックバック
| トラックバック URL |
| ホーム |


