上記は、祖父のアルバムに挟まっていた1980年(年代については他の写真などから推定)の「久留里ドライブイン(千葉県君津市)」のメニューつき伝票である。40年前といえばテレビや外食文化がすっかり浸透した時代というイメージだが、現代の目線では違和感の多いメニューである。
房総半島のちょうど真ん中あたりにある、久留里城を訪ねる観光客が主なターゲットの大衆食堂、だと思われる(僕は行ったことがない)。「三万石」の屋号で、ごく近年まで営業を続けていたという話である。電話番号も当時から変わっていなかったようだ。
(祖父たちがそうだったように)団体旅行客も数多く受け入れていた店だと思われる。つまり当時の日本における「ごく一般的な食堂」であり、多彩な年齢層を受け入れるために必然的に「無難」あるいは「保守的」なメニューで構成されていると考えられる。それにも関わらず、わずか40年後の目線では見ただけで違和感を覚える点が複数ある。
なお、僕自身は行ったことがないし、当時の食堂の写真が出てきたわけではないので、以下の文章はすべて推測である。実際に行ったことのある方、当時の食文化に詳しい方からのご指摘は歓迎する。
1980年当時の消費者物価指数は、2021年を100とすると74.47らしい。観光地価格でやや高めの設定だと思われるが、当時の価格をだいたい1.3倍にすると現代の物価水準になる。当時は消費税はないのだが、店の立場で考えると消費税を含めた価格で客を納得させる必要があることから、あまり気にする必要はないと思われる。
メニューのトップを飾るのは「豚汁定食」。価格も800円と最高である。この店の代表的な看板メニューだと思われるが情報量が少ない。豚汁の他には何が付くのだろう?
だいたい、豚汁というのは通常の定食についてくる味噌汁のグレードアップ先である場合が一般的だと思うのだが、この店では豚汁単品(あるいは差分)の価格がない。例えばレバニラ定食に豚汁を付けたい場合はどう頼めばよいのだろうか。
和食・洋食・中華というカテゴリ分けがあるが、なぜかカレー(カツカレー含む)が和食扱いである。オムライスは洋食なのになぜ?これに関しては合理的な理由が全く思い浮かばなかった。
また、カツカレーとカツ丼があることからトンカツ自体も単品で提供するのだろう。洋食にある「カツレツ」が、いわゆる普通のトンカツ(定食)であると思われる。現在ではトンカツとカツレツは別の料理のように扱われることが多いが、当時はあくまでも「豚のカツレツ=トンカツ」だったはずである。
「焼魚定食」や「八宝菜定食」がある一方で「エビフライ」や「ハンバーグ」は定食かどうか書いていない。さすがにライスくらいは付けられると思う(他のメニューと見比べると、おかずとして追加注文する扱いではなさそうだ)のだが、もしかすると当時はカタカナ語の洋食セットのことを「定食」と呼ぶ文化はあまりなかったのかも?
ただ、本来「定食」というのは、洋食の「コース」に相当する単語として使われていたという歴史があるらしい(近代食文化研究会さんのツイートより)が昭和末期には既に忘れられていたのだろうか。
ポークソテーが別に存在することから、醤油だれベースの中華風あるいは韓国風の焼肉なのだろう。今でも町中華などで「焼肉定食」を見かけるので、どちらかといえば中華のカテゴリのほうがしっくりくるとは思う。
ただ、これに関してはなんとなく理由がわかる。おそらくフライやカツ、ハンバーグなどと同様に「千切りキャベツを添える」という洋食おかずのフォーマットで提供されていたのだろう。味付けや呼び方がどうあれ、洋食スタイルで提供されるのならば洋食という分類方法である。
ついでに、チラシを見ると「焼肉コーナーもあります」とある。これは一品ものとしての焼肉とは別で、客が自ら肉を焼くコーナーなのだと思われる。
メニューに「スパゲティ」とあるが、味付け(ソース)は不明である。ただ、昭和末期を生きた僕でも「特に説明がなければミートソースだろう」という認識はなんとなく共有している。スパゲティといえばミートソース(たまにナポリタン)という時代があったのは確かだ。このあたりは過去にブログ記事にもしている。
実は最初に目に止まったのはここである。ラーメン1杯280円、現代価格換算でも約370円である。現代でもフードコートあたりならこの値段でも食べられるだろうが、1000円前後のメニューが並ぶ観光地でこれは安すぎる。明らかにサイドメニューであろう餃子と30円しか違わない。挙げ句にざるそばより安い。現代のフードコートなどでざるそばより安いラーメンというのは見たこともない。
ただ、当時はそういうものだったのかも知れない。逆に現代のラーメンが高くなりすぎたのだろう。昔の創作物などで、「好きなもの食っていいぞ」と言われた子供が遠慮がちに「ラーメン」を頼んだら「もっといいの頼めよ」などと言われるシーンを見たことがないだろうか。この店のように、ラーメンが群を抜いて最安メニューなのが当たり前だった時代は確かにあったはずだ。
久留里ドライブインとは?
房総半島のちょうど真ん中あたりにある、久留里城を訪ねる観光客が主なターゲットの大衆食堂、だと思われる(僕は行ったことがない)。「三万石」の屋号で、ごく近年まで営業を続けていたという話である。電話番号も当時から変わっていなかったようだ。
(祖父たちがそうだったように)団体旅行客も数多く受け入れていた店だと思われる。つまり当時の日本における「ごく一般的な食堂」であり、多彩な年齢層を受け入れるために必然的に「無難」あるいは「保守的」なメニューで構成されていると考えられる。それにも関わらず、わずか40年後の目線では見ただけで違和感を覚える点が複数ある。
なお、僕自身は行ったことがないし、当時の食堂の写真が出てきたわけではないので、以下の文章はすべて推測である。実際に行ったことのある方、当時の食文化に詳しい方からのご指摘は歓迎する。
参考:当時の物価について
1980年当時の消費者物価指数は、2021年を100とすると74.47らしい。観光地価格でやや高めの設定だと思われるが、当時の価格をだいたい1.3倍にすると現代の物価水準になる。当時は消費税はないのだが、店の立場で考えると消費税を含めた価格で客を納得させる必要があることから、あまり気にする必要はないと思われる。
ポイント1:豚汁定食
メニューのトップを飾るのは「豚汁定食」。価格も800円と最高である。この店の代表的な看板メニューだと思われるが情報量が少ない。豚汁の他には何が付くのだろう?
だいたい、豚汁というのは通常の定食についてくる味噌汁のグレードアップ先である場合が一般的だと思うのだが、この店では豚汁単品(あるいは差分)の価格がない。例えばレバニラ定食に豚汁を付けたい場合はどう頼めばよいのだろうか。
ポイント2:和食扱いのカレー
和食・洋食・中華というカテゴリ分けがあるが、なぜかカレー(カツカレー含む)が和食扱いである。オムライスは洋食なのになぜ?これに関しては合理的な理由が全く思い浮かばなかった。
また、カツカレーとカツ丼があることからトンカツ自体も単品で提供するのだろう。洋食にある「カツレツ」が、いわゆる普通のトンカツ(定食)であると思われる。現在ではトンカツとカツレツは別の料理のように扱われることが多いが、当時はあくまでも「豚のカツレツ=トンカツ」だったはずである。
ポイント3:洋食は定食なのか単品なのか?
「焼魚定食」や「八宝菜定食」がある一方で「エビフライ」や「ハンバーグ」は定食かどうか書いていない。さすがにライスくらいは付けられると思う(他のメニューと見比べると、おかずとして追加注文する扱いではなさそうだ)のだが、もしかすると当時はカタカナ語の洋食セットのことを「定食」と呼ぶ文化はあまりなかったのかも?
ただ、本来「定食」というのは、洋食の「コース」に相当する単語として使われていたという歴史があるらしい(近代食文化研究会さんのツイートより)が昭和末期には既に忘れられていたのだろうか。
ポイント4:洋食扱いの焼肉
ポークソテーが別に存在することから、醤油だれベースの中華風あるいは韓国風の焼肉なのだろう。今でも町中華などで「焼肉定食」を見かけるので、どちらかといえば中華のカテゴリのほうがしっくりくるとは思う。
ただ、これに関してはなんとなく理由がわかる。おそらくフライやカツ、ハンバーグなどと同様に「千切りキャベツを添える」という洋食おかずのフォーマットで提供されていたのだろう。味付けや呼び方がどうあれ、洋食スタイルで提供されるのならば洋食という分類方法である。
ついでに、チラシを見ると「焼肉コーナーもあります」とある。これは一品ものとしての焼肉とは別で、客が自ら肉を焼くコーナーなのだと思われる。
ポイント5:謎のスパゲティ
メニューに「スパゲティ」とあるが、味付け(ソース)は不明である。ただ、昭和末期を生きた僕でも「特に説明がなければミートソースだろう」という認識はなんとなく共有している。スパゲティといえばミートソース(たまにナポリタン)という時代があったのは確かだ。このあたりは過去にブログ記事にもしている。
ポイント6:安すぎるラーメン
実は最初に目に止まったのはここである。ラーメン1杯280円、現代価格換算でも約370円である。現代でもフードコートあたりならこの値段でも食べられるだろうが、1000円前後のメニューが並ぶ観光地でこれは安すぎる。明らかにサイドメニューであろう餃子と30円しか違わない。挙げ句にざるそばより安い。現代のフードコートなどでざるそばより安いラーメンというのは見たこともない。
ただ、当時はそういうものだったのかも知れない。逆に現代のラーメンが高くなりすぎたのだろう。昔の創作物などで、「好きなもの食っていいぞ」と言われた子供が遠慮がちに「ラーメン」を頼んだら「もっといいの頼めよ」などと言われるシーンを見たことがないだろうか。この店のように、ラーメンが群を抜いて最安メニューなのが当たり前だった時代は確かにあったはずだ。
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