はじめに
僕とMTGとの関わりは、以前に別の記事で長々と書いた。要約すると「1990年代末期にちょっと触り、2019年に(身内以外との)対人戦デビュー」である。もっとも20年の間は全くMTGと関わらなかったわけではなく、wikiを始めとする情報には時々アクセスするなどしており、ルールなども理解した気になっていた。
なぜ20年間も「エアプ」を続けられたのか、そして20年越しにデビューするに至ったのか。それだけMTGに独自の魅力を感じていたからである。一体何が魅力的なのか、思いつく限り列挙していきたい。
イラストの雰囲気・世界観が良い
なにが最大の魅力であるかを突き詰めて考えるとここに行き着く。もっとも、これは逆説的に「他のTCGの雰囲気・世界観が自分に合わない」という消極的な理由でもあるのだが。
これは完全に個人の好みであって偏見であることは承知なのだが、日本で展開されている他のTCGは「やたらギラギラした男児ホビー系」や「萌え美少女系」ばかりが目立ち、収集やプレイの意欲があまり沸かないのだ。ポケモンカードは(あくまでも全体の雰囲気としては)そのどちらでもないのだが、キャラクター主導のIPであることや、極端にデフォルメされた絵柄が目立つのが引っかかる(とはいえポケカに関してはビジュアル面で見れば2番目に好きなのだが、肝心のゲーム部分があまり好きになれなかった)。
その点、MTGはアメリカ発でありながら、いわゆるアメコミ系のバタ臭い絵柄というわけではなく、クラシカルな西洋画風のイラストが目立つのが良い。近年改めて評価しているのは土地カードをはじめとする「風景のみを描いたカード」が大量に存在することで、多かれ少なかれキャラクター展開の要素が強い他のTCGにはあまり真似ができない点だと思われる。カードを見るだけでも世界の奥行きを感じられるのは大きい。
他にも無名のモブキャラ(ゲームで言えば「伝説ではないクリーチャー」)が大量にカード化されて、少なくない数が実戦でも活躍しているのも非常に魅力的に見える。作中の有名キャラやら強大な存在を描いた派手なカードばかりではメリハリがないし、そんなカードばかりを見ているのは精神的にも疲れるのだ。
1993年から続く歴史を大切にしている
どんなに古いカードでも、公式レギュレーションで使えないカードであっても、現行のルールで厳密に運用が可能。これはとてつもないことである。例えばポケモンカードは日本に限ればMTGと同じくらいの歴史があるのだが、「旧裏」を始めとする昔のカードを今のカードと混ぜて遊ぶ場合、現行のルールだけでは処理しきれない部分がある(故に公式ルールとしてMTGの「ヴィンテージ」に相当するものは存在せず、ユーザー間で独自のルールを整備する必要がある)。
MTGにおいてはどんなに古いカードであっても、ルールに則って動かせる以上は「現役」なのだ。例えば新しい種族や職業がクリーチャータイプとして認められれば、どんなに古くて人気のないカードでも、それに沿ったカードがあれば情報が更新される(最近だと「レインジャー」が復活した)。だからこそ多様なフォーマットやレギュレーションが成り立つし、意外なコンボやシナジーで昔のカードが脚光を浴びることもある。長い歴史があり、なおかつ公式自らその歴史を尊重しているからこそである。
レギュレーションやフォーマットが豊富
基本的にはローテーションありのスタンダードが(公式大会では)主流だが、古いカードも使えるレギュレーションも同じくらいに盛んである。特に現代では「過去のカードをほぼ全て使える多人数戦」である「統率者戦(EDH)」が最大の人気らしい。これは他のTCGでは考えられない傾向だと思う(そもそも、ルール上で多人数戦が定義されている例がどれだけあるのか?)。
また、フォーマットというのはある程度は機械的に決められているので、それらを変形させたり組み合わせて独自のフォーマットを作ることも容易(僕の好きな「旧枠モダン」とか、某界隈で話題になった「神河ブロックパウパータイニーリーダーズ」とか)。特にセット(いわゆる「弾」とか「シリーズ」)単位で区切るのはギミックや世界観の統一感が魅力的で、つい先日も「インベイジョンブロック構築(20年以上前のカードセットだ!)」のイベントに数十人が集まるという素晴らしい動きを見せてくれた。
長い歴史と多彩な遊び方があるというのは、現行商品の展開に不満があっても居場所がなくならないという意味でもある。スタンダードに興味がなければ特定のフォーマットでのみ遊ぶという選択肢があるのだ。
有志による攻略・情報系コンテンツが極めて充実している
膨大なカードプールとそれらの相互作用、多彩なフォーマットにおけるデッキ構築など、プレイヤーが知りたい情報は膨大。どこから手を付ければいいのか?そんな方にはまずMTGwikiをおすすめする。
例えば適当なカードのページを開いてみれば、そのカードの評価や実戦での活躍、細かいルール上の挙動や誤解しやすい点の補足、類似したカードの紹介など、多彩な情報が掲載され、なおかつ用語やカード名は相互にリンクされているので更に深い情報を知ることができる。はっきりいって時間泥棒で、学生時代はよくこれで暇をつぶしていたものである。
このMTGwikiはかなり早い段階から有志により運営されていた(それこそ「wiki」という用語が一般的になるより前から!)。他の主要TCGにも情報wikはあるが、歴史の重みも情報量も段違いである(これは偏見だが、他のTCGの場合はまず仲のいい友達を見つけて、オンライン・オフライン問わず何らかのコミュニティに所属しないとろくに始められないような印象が強い。MTGは後述のデジタル版の存在も大きいが、独学で覚えて野良で店舗イベントに参加しやすい)。
このような外向けのコンテンツが充実している背景として「プレイヤーは競争相手である以前に一緒に遊ぶ仲間である」というような意識がある(少なくとも他のTCGより強い)ように僕は考えている。日本での普及はボードゲーム界隈の大人が中心だったという文化的な背景が今も息づいているような気がするのだ。
紙と同一環境のデジタル版が存在する
紙とほぼ同じルール(技術的な制約から、デッキの枚数やトークンの数などに上限はあるがプレイングへの影響は微小だろう)が採用されるデジタル版がある。以前から存在するマジックオンラインに加え、スタンダード中心でよりカジュアルに遊べるMTGアリーナ(日本語対応)があり、僕はもっぱらアリーナで遊んでいる。
いずれも、MTGにおけるすべてのカードを収録しているわけではないのだが、少なくともスタンダード環境は完全再現されている。家にいながらにして環境を気軽に疑似体験できる。無料でもかなり遊べるしカード資産を集める楽しさもある。やることは(練習プレイを除けば)対人戦のみなので厳しいところはあるが、MTGに対する情熱があれば楽しめると思う。逆に、元から情熱がないとなかなか続かないらしい。個人的には(よく問題視される)マッチングや報酬系統にも全く不満はないのだが。
なお、僕自身によるMTGアリーナの詳細な評価は、4gamerに投下したレビューがあるので参考までに。今でも同意見である。
専門店が(他のTCGと比べて)非常に多い
全国展開している「晴れる屋」を始めとして、MTGのみを扱う専門店が非常に多いのが特徴である。むしろ他のTCGの専門店というのはほとんど見かけない。単純な売上だけならMTGより売れているTCGはいくつもあるにも関わらず。
理由に関しては色々と言われている。前述したフォーマットの多彩さから需要のあるカードの幅がとんでもなく広い(故に専門知識や膨大な在庫を必要とする)ことや、イラストの雰囲気の違いなどから他のTCGとはそもそも客層が別物であるという話を聞いたことがある。いずれにせよ、専門店が長期的に成り立っているということは、プレイヤーがそれを求めているということだろう。
専門店は特にカジュアルプレイヤーに優しい。店員であれば皆がMTGを知っているので気軽に相談できるし(非専門店では全然話が通じなくて商品一つ買うのにも手間どったことがある)、売買の安心感もある。また客も例外なくMTGプレイヤーなのでマッチングや雑談の相手には困らないだろう。
TCGとしては世界最大手クラスのコンテンツである
近年の具体的な統計データを見たわけではないのだが、世界規模で見れば最大級のTCGのはずである。将来的な持続性・発展性に不安はない。さらに全世界で共通規格で遊べるというのも嬉しい(ルール面はもちろん、他言語版のカードも公式イベントで使用できる。これはTCG界では割と珍しいのでは)。
日本では中堅止まりの印象があるのだが、前述したように(新品の売上で遥かに勝る他のTCGを差し置いて)数多くの専門店が存在しているので、おそらく日本人プレイヤーが抱きがちな悲観的な印象よりも商材としては優れているのだろうと思われる。メーカーから見た日本の扱いも、本国アメリカの次くらいには優遇されている(イベントや限定商品など)ように思う。
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