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ポケモン金銀のカリンのセリフが嫌い、という話
例の戦闘後の捨てゼリフについて、何が問題なのかを語る。

注:主にポケモンというゲームの世界観(世界設定及び、その世界の捉え方)や、ゲームデザイン的な観点からの異議であり、「通信対戦におけるプレイヤーの心持ち」に関して使われる場合の批判を期待する人は読むだけ時間の無駄かも知れない。
ポケモン金銀クリスタルに登場する四天王のカリンが戦闘後にしゃべるセリフが嫌いである。一部のファンの間でしばしば名言扱いされることもあるのだが、その風潮も受け付けない。なぜ嫌いなのか、ここでは徹底的に言語化して、問題点を洗い出していきたいと思う。

改めて全文を書き下す。

つよい ポケモン

よわい ポケモン

そんなの ひとの かって

ほんとうに つよい トレーナーなら
すきな ポケモンで
かてるように がんばるべき

いいわよ あなた
だいじなこと わかってるわね

さきに すすみなさい
チャンピオンが あなたを まってるわ


さて、どこが問題なのだろうか。順番に解説する。

1,「強い・弱い」は人の勝手ではない!


生物の強弱というのは人間の判断や価値観に関係なく存在するものである。単純にゲームとしてのパラメータだけの話ではなく、ポケモンが生態系というものを形作っている以上は当然に想定すべきものだ。

もちろん得手不得手や相性はあるし、そもそも何をもって「強い」とするのかは様々な見方がある(例えば「個体としての力」と「種としての繁栄」はどちらをもって「強い」と呼ぶべきか?)ものの、様々な軸に沿った「強さ」というものは、自然の法則として厳然と存在する。ポケモンという生物を扱う立場であれば、そこから目を背けてはならないはずだ。

2,「好き」こそ人の勝手である


強弱が自然の掟なのに対して、「好き」(及び、裏返しとしての「嫌い」)という感情は完全に個人の主観、人間の勝手である。なぜ「好き」という感情に任せて選んだポケモンで勝つことが、本当のトレーナーの条件であるかのように語るのだろうか。

もちろん「好き」という感情は大事であるが、トレーナーとして戦闘や冒険をしたり、博士の研究を手伝ったりする(具体的には図鑑集め等)上では、決して「好き」だけでは乗り越えられない場面があるはずだ。例えばどんなに好きなポケモンがいたとしても、その1匹だけの力ではセキエイ高原にたどり着くことすらできないのである。

(実際、ゲームを見ても1匹だけでクリアすることは決して不可能となっている。秘伝技の多くを使えるワニノコ→オーダイルですら、「滝登り」を覚えそうで覚えないので他のポケモンを頼る必要がある。もし「1匹だけでクリアさせない」ことを意図した設定だとしたら絶妙だと思う)

3,自らの持論を勝手に「わかったこと」にされる


プレイヤーがどう思っていようが、カリンの言う「大事なこと」を「わかってる」ことにされる。すなわち「好きなポケモンで勝てるように頑張った」結果の勝利であり、ゆえにチャンピオンと戦う資格がある、ということだ。勝手に決めるな

主人公がポケモンをこの戦いに連れてきた理由は様々だろう。好きだからかも知れないし、強いから(力を信頼しているから)かも知れない。あるいは研究の一環(ゲームでいえば、進化のための経験値稼ぎが該当するだろう)かも知れない。実際はそれらが複合しているというのが、プレイヤーの立場で考えると一番多いのではなかろうか。いずれにせよ「好き」という感情のみでポケモンを選んで戦い抜いてきたプレイヤーはほとんどいないはずだ

まとめ


「強弱」という自然の理を否定し、トレーナーとしての判断を「好き」の一言に集約しようとする発言は、まず作品世界の中で生き物に携わる人物の言葉としては世の中をナメてるし、ポケモンというゲームを遊ぶプレイヤーに向けたセリフとしてもシステムを無視した的外れなものである

ポケモンは人間の友達でもあるが、野生ポケモンは時として人間や文明に牙を剥くこともあり、ポケモンの力を悪用する輩もいる。そして人間の生活の向上のためであったり、よりよい関係を築くための知見を得るために学術的に研究される対象でもある。前作から遊んでいたプレイヤーとして、ポケモンの様々な顔と向き合っていくシステムやシナリオが大好きだった。

かように奥深い世界観に冷水を浴びせてしまうのがカリンの発言である。ポケモンが持つ生物としてのダイナミズムを否定し、人間がポケモンに抱く感情も「好き」に集約してしまう薄っぺらい言葉である。そのようなセリフを、否定したり茶化したりする文脈ではなく、よりによってチャンピオン戦の直前というクライマックスで、大真面目に放り込むセンスにはただ呆れてしまう。

結びにかえて


好きなポケモン、嫌いなポケモン、そんなの人の勝手。
本当に優れたトレーナーなら、あらゆるポケモンの「強さ」を引き出せるように頑張るべき。

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好きなポケモンで勝てるよう頑張るべきとか言うカリンと、どうしようもないほど弱いアンノーンが同じゲームに出てくるの、冷静に考え直すとやばいですね。
もしこの対照が意図的だとすると、「強者の言うことが絶対に正しいわけではない」ということを、完璧ではない人間キャラクターによって表現した……てなところですかね。
(ちなみに個人的にアンノーンは好きです、あれは「弱いことで特別感を演出している」キャラなので。詳しくは別記事に)
アンノーンと合わせると、「戦わせるだけがポケモンではない」というメッセージ的な? だいぶ邪推ですが。

他人の意見を勝手に「わかったこと」にされるのは後の作品でもそうなので、開発者は特に何も考えていない可能性もありますが。
「主人公はポケモンへの愛情とか端から信じちゃいないが、周囲に自分は愛情豊かな人物だと思い込ませることができる」
……とかいうサイコパスにでもなりきらない限り、ロールプレイはきついですね。
ASPEAR | URL | 2021/06/12/Sat 17:28 [編集]
押しつけ的なセリフは前作にもありましたが、例えばマサキが分離を頼んでくるときみたいに一種のギャグやお約束、
つまりシステムやシナリオの都合だから勘弁してね!的な軽いノリに留まっていたように思います。
カリンのセリフはシステムともシナリオとも無関係な「要らん」セリフで、世界観を無視した説教をしてくるのが腹立たしいです。
かける | URL | 2021/06/12/Sat 20:48 [編集]
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