おおむね1970年代産まれくらいのゲーマーを対象にポケモンのプレゼンをしてみるテスト。
はじめに
この記事はいわゆるファミコン世代、つまりこれを書いている2021年現在40~50代くらい(1970~80年あたりに産まれた世代)が主な対象である(当然、もっと上でもいいし、下の世代でもポケモンをスルーしてしまった全てのゲーマーに贈る)。「若い頃にポケモンってゲームがすごく流行ってたみたいだけど、対象年齢じゃなかった気がするし、遊びたいRPGはFFとかたくさんあったし、今さらゲームボーイをやる気にもなれなかった」、あるいは「周りでポケモンが流行っていたけど諸事情で自分はその輪に入れなかった」という人(こちらはやや若い世代が多いかな?)を想定している。
もっとも重要なのは年代や理由ではない。本来は『ポケモン』というゲームが趣味にピタリと合致していたにも関わらずプレイする機会がなかった人に、「こういうゲームがあるんだけど遊んでみない?」とプレゼンテーションすることが目的だ。本気でプレゼンするなら画像を豊富に使って動画にでもしたほうが良さそうがだが、それは僕の芸風ではないので人に任せる。この記事の内容は自由に使ってくれて構わない。
先に書いておくが、通信対戦の面白さだとか、内部パラメータなどのやりこみ要素の話は敢えて省いた。純粋に一つのRPGとして見てもらいたいのだ。
どんなゲーム?
いわゆる日本式のRPG。システム面でDQかFFかでいえば圧倒的にFF寄り(ただし全滅時の挙動はリセットではなく「所持金半減で拠点に戻る」DQ式)。攻撃属性の概念が非常に重要で、補助技の利用価値も高い。通常攻撃が存在しないことも含めて、スクウェア系RPGの中でも特に『サガ』によく似ている。
「育成」というモチーフから誤解されがちだが、いわゆる育成シミュレーション的な要素(時間単位で制限された育成)はない。ポケモンの成長は経験値によるレベルアップで表現されており、戦えば好きなだけ育てられる。幼虫→さなぎ→成虫のような成長が再現されている例もあるが、寿命の概念があるわけではない。
当時としては意外と珍しいのは、キャラクター及び技の属性が明記されていること。これらの相性によってダメージが半減・倍増したり、時には完全に無効化されるといったことが序盤から発生する。「無属性」という概念が存在しないのも珍しいかも知れない。とはいえ大抵のポケモンは2種類くらいの属性攻撃を自力で覚えられるので、完全に手詰まりになることは通常はないだろう。
ストーリー
当時としてはかなり独特(今もポケモン及び類似ゲーム以外では珍しい)で、いわゆるヒロイックファンタジーの類ではない。主人公の目的は世界を救うことでも悪を倒すことでもなく、あくまでも研究と競技のためにポケモンを収集・育成することである。一応、悪役は出てくるもののラスボスではなく、中盤で退場するようなシナリオとなっている。戦う相手は野生ポケモン(ランダムエンカウント)か、主人公と同じポケモントレーナー(固定エンカウント)であり、いずれも命のやり取りをするわけではない。倒した野生ポケモンは逃げて身を潜めるそうだ。
このようなストーリーは、おそらく収集と育成を中心にしたゲームを気持ちよくプレイさせるための配慮だと思われる。RPGをやり込む上で、しばしば「世界の危機そっちのけでレアハントに勤しむ主人公パーティ」という、ロールプレイの観点で言えば極めていびつな状況が発生するのだが、ポケモンに関してはそのような状況は基本的に発生しないと考えてよい。本作において収集と育成は、攻略の手段ややりこみ要素である以前に(ロールプレイ上の)目的そのものなのだ。
ストーリーに関しては、以降のシリーズでは必ずしも初代のようなものではなくなっていくのだが、それでもエンディングを迎えた後は平和な世界で存分にポケモンと触れ合えるような作りは徹底しているようだ。
ポケモン収集について
ゲームに登場する全てのモンスター(ポケモン)を仲間にすることができる。ラスボス含めて例外は一切ない(敵専用ポケモンはいない)。ポケモン以前でこのようなゲームは初代スパロボくらいしか思いつかない(それすらも終盤のボスが仲間になるのは想定外の挙動のようだ)し、ポケモン以後でも決して多くはない。捕獲対象は野生のポケモンのみで、トレーナーが使うポケモンは捕獲できないが、何らかの手段で入手はできるようになっている(バージョンによっては通信が必要になるものの)。
全てのポケモンはレベルアップで成長し、一部の例外を除けば多彩な「技」を覚えてカスタマイズできる。装備品の概念はなく、技は4つまでしか覚えられない(5つ目を覚えたら、どれかを忘れさせるか新しい技を諦める必要がある)ことに面食らうかも知れないが、勝手に置き換わるサガシリーズのエスパーよりはマシかも知れない。表向きは単純なレベルアップ制で、スキルやパラメータの配分と言った概念はないが、どの技を残すかという部分にプレイヤーの個性が出てくるのだ。
仲間にしたポケモンは200匹以上を保有できる。これは当時としては桁違いであり、現在の基準で見ても相当である。正確には、30匹預けられるボックスが8つあり、それらと手持ち(最大6匹)を1匹ずつ出し入れする形となっている。ボックスから別のボックスへの直接移動はできず(よって、ボックスを満タンにしてしまうと入替が困難になる。理論上は240匹預けられるが「200匹以上」と曖昧な形で紹介したのはそのため)、ボックス切替時には強制セーブが入るのがやや面倒なのだが、メモリ節約のためのやむを得ない処理なので、ここは我慢していただきたい。
(技術的な理由としては、ファミコンのDQ3においてルイーダの酒場でメンバーを入れ替えるたびに強制セーブが入ったのと同じだと思われる。一時メモリに記憶できるキャラクターの数は限られているので、現在のメンバー(DQ3ではパーティ4人、ポケモンでは手持ち6匹+現在のボックス30匹)以上のデータにアクセスする場合は、一時メモリだけでは足りずにセーブデータ領域を経由して入れ替える必要があるのだ)
プレイアビリティと難易度
昔のRPGというのは一般に遊びにくい。主に「ゲームバランス」「エンカウント率」「ロード時間」あたりがネックになりやすい。このうち、ロード時間に関してはROMカセットなので気にする必要がないとして、残り2つについて解説しよう。
まずゲームバランス。これはかなり緩い。もともとパーティ編成の自由度が売りなので、そこを締め付けると楽しめないという配慮があるのだろう。弱点を的確に突いたり、あるいは敵の強力な属性攻撃をやり過ごしたりして、慣れたプレイヤーなら最低限の戦闘のみでクリアすることも容易である。移動中であればどこでもセーブできるのでやり直しもしやすい(というか、技に関する不親切な仕様も、ある程度のトライアンドエラーを前提としたものだろう)。
ただ、簡単というのはある程度RPG慣れした人の話であり、当時ポケモンで初めてRPGというものに触れた低年齢層にとってはそうではなかった部分も多いと思われる。このあたりの温度差については「ミストドラゴン(FF4)とタケシのイワークの狭間」という記事で以前触れたので、興味があればご一読を。
次にエンカウント率。もともと低い上に、DQの「聖水」に相当する「虫よけスプレー」というアイテムがダンジョン内でも無制限で使える。これも、慣れたプレイヤーであればスプレー状態がデフォルトになる。自分のポケモンより高レベルの野生ポケモンは避けられないのだが、逆に言えば強力な即戦力を調達する手段にもなる。他にも出現率が低いポケモンをレベルで絞り込んで遭遇しやすくするといったテクニックもあり、単一の効果ながらも様々な用途に使える優れたゲームデザインだと言える。
ムービーシーンは当然存在せず、長時間操作不能になるようなイベントもない。バランス的にもプレイアビリティ的にも、当時のRPGとしては現在でも比較的快適に遊べる部類である。
今遊ぶにはどうすればいいの?
これが意外と厄介。ゲームボーイの実機か、3DSのバーチャルコンソールでしか遊べない(任天堂の最新機種であるSwitchや、スマホやPCでは遊べない)。この時点で、よほどのヘビーゲーマーでも無い限り1から(ハードウェアのない状態から)プレイを開始するハードルは高くなっている。通信交換という要素の関係でセーブデータの扱いがややこしくなりがち(例えばバックアップを認めると増殖が可能になる)なのが、大人気シリーズの1作目という立場ながらも現行機種でのプレイ環境が極端に制限される理由かも知れない。
とりあえず安く遊びたいならGB実機、バックアップ電池切れを心配せずに最新作との連動も楽しみたいなら3DSがおすすめである。個人的には、そう遠くないうちにSwitchでもプレイできるようになると予想はしているのだが、今のところ兆しすら見えない。
リメイク版についても触れておく。GBAのファイアレッド・リーフグリーンは、基本システムをGBAシリーズに準拠させながらも比較的変更点が少ないので割とおすすめできる。ただしゲームバランスは少し辛口になった(具体的には、敵の使う属性が多彩になって的確に弱点を突かれるケースが増えた)。VC配信されていないため、原作よりもプレイのハードルはさらに高いことにも注意。バックアップ電池切れを心配する必要はなく(フラッシュメモリ採用)、技やアイテムの説明があったり、メンバー入れ替え等の利便性も含めると全体的には大幅に遊びやすくはなっているのだが。
Switchでもレッツゴーピカチュウ・イーブイがリメイクであるかのように紹介されることがあるが、システムから世界観まで全く別物なので、少なくとも「ポケモンの原点に触れてみたい」という目的であれば間違っても推奨できない。
どのバージョンがおすすめ?
赤か緑を強く推奨。これが原点である。どちらがいいかは出現するポケモン(別のバージョンでは出現しないポケモン)で決めると良い。ここでは詳細は書かないが、「ポケモン 赤緑 違い」等で検索すれば画像つきで解説してくれるサイトがあるはずだ。もちろんリアルタイムで発売直後にプレイした人はバージョン限定のポケモンが何であるかは知らない状態で手に取ったので、追体験するのならば敢えて調べずに選ぶのもよい。
青はもともと限定発売ということもあり、既存プレイヤーに向けてちょっとひねくれた調整をしている部分が多い。例えば「イベントで確実に入手できるが能力はそこそこなポケモン」と、「めったに出現せずに捕獲も困難だがとても強いポケモン」のポジションが入れ替わっていたり(つまり、入手難度と強さが反比例する)、隠しダンジョンに出現する「高経験値のボーナスキャラ的なポケモン」が「変わった技を使うトリックスター的なポケモン(経験値は全然くれない)」に差し替わっていたりする。よって、赤緑を知らずに青からプレイすると首を傾げるような場面が出てくるのだ。
ピカチュウ版は追加イベントが増えたりバランスに手が加えられているが、その方法に問題がある。まずパッケージにもなっているピカチュウを進化させられないので弱いまま進めなければならない(技は強化されたがパラメータは据え置き、もっともパーティから外してもよいのだが)。エンカウントパターンもより常識的な形に均されてしまって全体的に経験値を稼ぎにくい印象だ。やはりこれも青と同様、既存プレイヤー向けの調整なのである。単純にボリュームが多いので、1つ選ぶならこれという進め方をされやすい(実際、データ連動ありきで初代を1つだけ選びたいという前提なら僕も推奨する)のだが、純粋にゲームとして楽しむには赤緑に劣る。特にピカチュウに関しては進化も含めて本来の位置づけで触れてほしいのだ(詳細は「ポケモン赤緑:ピカチュウのゲームデザイン上における位置付けについて」で長々と書いた。一応ネタバレ注意)。
関連リンク
全て自作の記事(ページ)である。
・初代ポケットモンスター 旅の心得
主にシリーズのプレイヤー向けに書いた初代のガイド。注意点などをまとめている。
・【ポケモン】初代ファンが金銀に抱いた違和感について
2作目である「金銀」の問題点をあげつらうことで、逆説的に初代のよさを解説できた記事かも知れない。
・「1996年発売のRPG」としてのポケットモンスター
当時の視点でちょっと変わった部分を取り上げた記事。この記事の想定読者なら同意する部分も多いのではないかと思う。
・初代ポケモン:能力システムの謎
本文で敢えて省いた能力システムの話。システム自体の解説はいくらでもあるので、ゲーム内外での扱われ方の視点から追う。
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