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書評:図説 中国の科学と文明
近代科学は、古代以来の中国の技術無しではあり得なかった、という話。


長大な論文のダイジェスト版の翻訳版。それでもかなり量は多い。原著者である西洋人の視点で中国の技術を見直そうというのが趣旨。中国に対する過小評価が改められる。

「図説」というだけあって、当時の図版が多く紹介されているけど、図と本文だけで具体的な像を思い浮かべるにはそれなりの想像力や知識が必要かも。そこさえ乗り切ればロマン溢れる科学史の世界が待っている。

千年以上前に竹による天然ガスのパイプラインがあったり、尿を原料としたホルモン剤が使われていたという記録には単純に驚いた。二重アーチ構造の「安斉橋」は、現存かつ現役の橋で見た目も美しい。

一方で、技術の歴史は忘却と再発見の歴史なんだなあ、とも思う。軍事機密だったり宗教上の秘技だったり、もちろん体制の変化だったり、様々な要因はあるんだろうが何となく残念な気分にもなる。もっともこれは西洋などでも同じようなものだが。

中世・近世の火薬兵器は、額面通り受け取ると強力すぎるような気がする。人馬を跡形もなく消し飛ばす爆弾とか、射程1km以上の対艦ロケット砲とか、ちょっと無茶なんじゃないの?と。それにしても歴史の教科書でおなじみの元寇の「てつはう」が、13世紀の爆弾を描いた世界唯一の絵だとは。

どうでもいいけど兵器の名前が無駄にかっこいい。いくつかピックアップすると「雷火鞭」「双飛火籠箭」「国初三眼槍」。封神演義の宝貝の名前に通じるところがある。派手なところでは「轟天霹靂猛火砲」とか「飛空撃賊震天雷砲」みたいなインフレしまくった名前もなかなか。

原書はまだ続刊中とのこと。早く研究が進むことを願う。

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