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【ポケモン第三世代】「へんげのどうくつ」とは何だったのか
ファイアレッド・リーフグリーン及びエメラルド版に存在する謎のダンジョンに関する考察。

データ上の扱い


データ解析によると「ワイヤレス連動(ふしぎなおくりもの)によって出現ポケモンデータが書き換わる予定だった」ということは間違いないと思われる。詳しいソースや、改造による再現法については以下のツイートにまとめられている。


当時のワイヤレス配信事情について簡単に説明する。ポケモンセンターや各種イベント会場などの他にも、全国各地の提携店舗に「ジョイスポット」という無線通信連動のポータルが常設され、ポケモンに限らず様々なGBAソフトを対象にデータ配信を行っていた。とはいえネットワークに繋がっているわけではなく、店舗ごとに設置してある機器との連動に留まっている。実態としては専用のGBAカートリッジそのもので、交換することで更新を行っていたと思われる(回収されたはずだが、稀にネットオークション等に流れてくることもあるらしい)。これにワイヤレスアダプタと電源ケーブルを取り付けて営業時間の間に途切れず稼働させていたものである(客の目には触れないように隠されていた)。

連動の実際


へんげの洞窟に出現しうるポケモンは、デフォルト状態のズバットを別にすると8種類。図鑑順にメリープ・エイパム・クヌギダマ・ツボツボ・ヒメグマ・デルビル・オドシシ・ドーブルである。これらのうち、いずれか1種類のみが出現する状態に切り替えることができる。

共通点は、当時のGBA版(ルビー・サファイア・ファイアレッド・リーフグリーン)では進化前後含めて一切出現しない、逆に言えば入手にポケモンコロシアムを経由することが必須だったポケモン達である。なお、同じ条件のポケモンには他にもホーホー・ヒマナッツ・グライガー・ブルー・ミルタンクが存在するが、それらはへんげの洞窟にも出現しない。

おそらく当初の予定では一定期間ごとに(ジョイスポットの更新とともに)異なるデータが配信されるようになっていたと推測される。直営のポケモンセンターやイベント会場などでは、一般店舗とは異なるデータを配信するなどの一味違うサービスを提供することもできたかも知れない。

なぜ没になったか?


ジョイスポット自体は長期間に渡って、非常に多くの店舗(数百店舗はあったはず)に設置されていたので、へんげの洞窟のデータを配信すること自体に物理的な障害はなかったはずである。さらに後年のエメラルドにも、わざわざ洞窟自体を追加する形で実装されている(それどころか所持アイテムデータが書き換えられ、レアな木の実を入手できる手段にすらなっている)。少なくともエメラルドを開発する段階では配信する予定ではあったようだ。それにも関わらず、なぜデータ配信は没になったのだろうか。

第一に考えられるのはポケモンコロシアムの販促のため。前述のように、ファイアレッド・リーフグリーンの発売当時では、へんげの洞窟に出現しうるポケモンはコロシアムでしか入手できなかった。ゆえに、それらのポケモンの入手手段としてコロシアムに付加価値があったのである。月替りで1種類だけとはいえ、それらのポケモンが簡単に入手できてしまうことを渋ってしまったのかも知れない。

第二に考えられるのは世界観との兼ね合い。出現リストのうち、クヌギダマは明らかに洞窟に出現するのはおかしい(木にぶら下がっているポケモンだし)。メリープ・エイパム・オドシシも洞窟にいるイメージではない。そもそも、いずれにしても1種類のみが出現する洞窟というのはかなり不自然で、デフォルトのズバットがかろうじて自然に見える程度である(後のエメラルドでは、ドーブルのみが出現するアトリエの穴なんてものができたが、ドーブルというポケモン自体の特殊性で許されている感がある)。このあたりを考慮して、実装はしたものの配信には待ったがかかったのかも知れない。

第三に、育成システムの種明かしに繋がってしまうこと。へんげの洞窟の仕様を知った時、それなりに詳しいプレイヤーならこう思ったのではないだろうか。「これは努力値稼ぎに使えそうだぞ」、と。しかし、第三世代の展開当時、「特定のポケモンを倒すと特定のステータスが上がる」ことについて触れている公式情報源がない模様なのだ(見落としている可能性はある。もし当時の攻略本や雑誌で確認できた方はご一報を)。恐るべきことにエメラルド攻略本のバトルフロンティア攻略記事ですら一切言及していない(これでクリアさせるつもりだったのだろうか…?)。初代でもスタジアムやピカ版が発売される頃には断片的に公開されていた情報だったというのに。もし部分的にでも公開されていたのなら、「今月はヒメグマが出現!ポケモンの攻撃力を鍛えるチャンスだぞ!」のようなアピールが可能だった(あるいは開発中もそのような広報を想定していたのかも知れない)のだが、情報公開方針によって阻まれてしまったという形だ。

余談


「へんげのどうくつ」という名称からは、エンカウントテーブルのみならず洞窟の地形までも変化してしまうことを期待するが、残念ながらそのような仕様は内部的にも実装されていなかったようだ(もしかすると、当初はクヌギダマ等も自然に出現する地形にも変化できる予定だったのかも知れない)。

「データの追加入力によって地形を変化させる(開発時には存在しなかった地形を後天的に入れる)」という要素については、エメラルドのトレーナーヒルにおいて実現している。読み込ませたカードe+によってフロアの地形が書き換わり、見た目の面白さやパズル的なギミックを楽しめるという仕組みだ。

トレーナーヒルには野生ポケモンは出現しないものの、出現ポケモンのカスタマイズという要素は後のハートゴールド・ソウルシルバーのサファリゾーンや、XYのフレンドサファリといった要素に受け継がれることになる。へんげの洞窟そのものは当初の形でプレイヤーの目に触れさせることができなかったシステムではあるが、何らかの形でその要素は後のシリーズに引き継がれたと考えることもできる。

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