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支えの盾の幻と、イワヤマトンネルに舞い降りたミュウの話
ファミコン版ウィザードリィと、初代ポケモンに関するバグについての雑文。
ファミコン版ウィザードリィには「ささえのたてSHIELD of SUPPORT)」というアイテムが存在する。アップル版などにおけるシールド+2に相当し、盾の中では上から2番目の強さとなっている。性能的には最強であるシールド+3相当の「まもりのたて(SHIELD of DEFENSE)」の下位互換であり、特に重要なアイテムではないのだが、それなりにやり込んだファンからの知名度は高い。なぜならどこを探しても出現しないアイテムなのだ。

ウィザードリィシリーズにおいて、ほとんどのアイテムは敵を倒した後に手に入る宝箱からランダムに抽選される形で入手できる。支えの盾が手に入らない理屈は単純で、「支えの盾が出現しうる宝箱のデータは存在するが、その宝箱を落とすように設定されている敵が存在しない」ということのようだ。実はこの設定はファミコン版固有のものではないようで、国産PC版やMac版でも同様のテーブルが用いられており、ファミコン版はそれを踏襲したものである模様(ソースは得物屋24時間さん)。

攻略本「ウィザードリィのすべて」においては「珍品中の珍品と言われる盾で、B7かB8でしか見つからないとされる」という不確定な形で情報が掲載されている。おそらくアップル版に基づく推測か、本作においてB5からB8が訪れる必要のないフロア(フラグもアイテムもない、敵からの実入りも悪い)であることを発見例が無いことと結びつけたのだと思われるが。

しかし、どういうわけか「入手したことがある」という報告が少なくない。そのうちのいくつかは別バージョンや他作品と混同した記憶だろうが、どうもそれだけではなさそうである。何らかのバグの存在や、ハードウェアの異常によるメモリ値の書き換わりなど、出現しうる条件として考えられる可能性はいくつか想像できるものの、未だに再現性のある入手手段は発見されていないようだ。

この手の没アイテムはCRPG全体では珍しいものではないのだが、ウィザードリィという作品はアイテム収集という要素が強調されている(「店の在庫」という形でコレクションできる)ため、幻のアイテムとして多くのプレイヤーの記憶に残ったのだと思われる。

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さて、ここからはタイトルの後半部分であるポケモンの話となる。かつて存在した「Pokemon Analysis」というサイト(管理人:#z80さん)の掲示板にて、1999年8月に「イエロー版で野生のミュウをゲットした」という報告がなされたのだ。実際に当時のログをご覧頂きたい(スクリーンショットの画像ファイル、クリックで原寸表示)。

fifth.png
(随所に出てくる「にゃ」とか「でちゅぅ」は、管理人さんの遊び心による文字列の自動変換の産物である)

当時、ミュウを出すやり方というのはセレクトバグ関連しか知られていなかった。そのため、ピカチュウ版では外部の改造ツールなどを使わない限り出現させる手段はないと思われていたのである。まして、報告では特にバグ技らしき操作すら行っておらず、通常プレイの範疇で出現したことになっている。

当時は僕もリアルタイムで掲示板を見ていた。感想としては「少なくとも仕様ではないだろうし、報告自体も嘘かも知れないが、何らかのデータの異常でそういうことが起こりうるのかもな」くらいに思っていた。ともあれこの時点では、真偽不明の怪しい書き込みで終わったのだが、保存してあったログをたまたま10年くらい後に読み返して気づいた。これってfifth法(とくしゅエンカウント)じゃね?と。fifth法は2005年頃に発見・流布されたので1999年当時は誰も知らなかった。当サイトはバグや解析ネタを多く扱っていたのだが、管理人含めて全く知られていなかったのである。

具体的には、22番のレスで「全滅した後に出現した」「地下2階から登ってきた所で出た」というのが鍵である。トレーナーに発見されると同時に野生エンカウントし、その戦闘で全滅すれば、一般的に知られているfifth法と同じ「トレーナーに見つかった瞬間にメニューを開いて空を飛ぶ等で脱出する」と同じ状態を引き起こせる。直前のエンカウントで特殊値の条件を満たしていれば、前回全滅したエリアに入った(つまり、階段で移動した)直後にミュウが出現することになる。起こる頻度は非常に稀(エンカウントが重なる事自体は割とあるが、野生相手に全滅するという状況はゲームバランス的に稀だろう)だが、何も知らないプレイヤーでも状況を再現してしまうケースは十分に考えられる。

(なお、報告では最初に入った時にピカチュウでフラッシュを使ったことになっているが、fifth法の条件を満たしているとメニューを開くこと自体ができなくなるので、全滅後に洞窟に入って秘伝技を使おうとした時点で異常に気づくはずだが、その点の報告がないのが多少気になった。報告者は親子でプレイしていたようなので、ゲームに慣れた子供のほうは暗いままでも平気だったのかも知れない。そもそもミュウ出現という出来事の前では些細な異常があっても記憶から吹っ飛んでも不思議ではない。)

報告者は全滅時の状況を詳しく説明しなかった(そもそも忘れていた可能性も高い)ので再現性のない事例で終わってしまったのだが、この時点で詳細な状況が共有されていればteamPAの面々によって、遅からず(今日における)「fifth法」が確立されていたのかも知れない。

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このように、不可解とされた現象が数年後に解決されたという事例が実際にあった。当時から数百万人規模のプレイヤーがいるポケモンでさえ、発売から10年近くもかかっているのである。ファミコン版ウィザードリィにおいて支えの盾が出現する条件についても、未だに知られていないだけで再現性のある方法がいずれ見つかるのかも知れないのだ。

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