思い出だとか、ゲームシステムに関する評価だとか。
当時の事情については部分的にしかリアルタイムで触れていなかったので誤りがあるかも。ご指摘はお気軽に。
当時の事情については部分的にしかリアルタイムで触れていなかったので誤りがあるかも。ご指摘はお気軽に。
概要と、個人的な思い出
『バーコードバトラー』というゲーム機があった。1991年発売。既に任天堂のゲームボーイが覇権を握っている中、カートリッジ交換の出来ない一体型のゲーム機としてリリースされた(分類上はいわゆる「電子ゲーム」に属するはずだが、時代の違いからそこに含まないとする人が多い)。最大の特徴は「バーコードを読み取り、その数値に基づいたゲーム用データが生成される」というシステムである。
僕の思い出としては、実際に触れたのは黒い本体の『バーコードバトラー2』である。1992年発売なので小学3年生の頃だ。当時、地元の商店街では「ブルーチップ」というスタンプを導入しており、その景品の一つにバーコードバトラーがあったので、親に頼んで交換してもらった覚えがある。カタログには白い本体の初期型が記載されていたが、既に品切れとのことで代わりに新型をもらったのだ。
(ブルーチップというのは、小さい切手状のスタンプを冊子状の台紙に貼り合わせ、その冊子を1単位として任意の景品と交換できるというシステムであった。当時、商店街の中に他に何かを売るわけでもない「ブルーチップ交換所」が設置されていたが、今となっては随分余裕のある時代だったと思う。今でも電子化されて続いているようだが、採用している店を見たことがない)
このゲームの面白いところは、商品管理用のバーコードという、それ自体は全くゲームとは関係のない情報をゲーム用のデータとして読み取ってしまうという要素。同じバーコードからは同じデータが生成される上に、同じ商品のバーコードは全国で共通なので、「この商品が強い」という情報を共有することができる。それがとても面白いと思った。
なお、僕が触れたのはこの『バーコードバトラー2』と、連動するファミコンソフトの『バーコードワールド』のみである。以降に出た拡張版や、(一応の最終機種である)『バーコードイレブン』にはノータッチである。
(ちなみに、ファミコン等との連動にはイヤホンジャックを用いていた。デジタルデータをアナログ音声化して発信するという仕組みであるらしい。必然的に、バーコードバトラー側からは一方通行の連動となる。あくまでリーダーとしての機能を利用する形である。)
「カード」という形態について
当時でも、店舗においてはハンディスキャナでバーコードを読み取るのが当たり前だった。しかしバーコードバトラーでは「本体のスリットにバーコードを通す」という形で読み込ませる。そのため、バーコードを読み込ませるためにはある程度の硬さのあるカードの形が必要だった。本体にはこれだけでも遊べるように一揃いのカードが付いてくるが、もちろんメインとなる遊び方としては「一般商品のバーコードを集めて読み取らせる」ことである。そのようなバーコードを読ませる場合、切り抜いた上でカード状の物体に貼り付けなければならない。
これは一見面倒な作業なのだが、「カード」という形状自体が魅力的だったのだと思う。例えばハンディスキャナを採用したとして、「付属の冊子の中から任意のバーコードを選んで読み取る」という形は手軽ではあるが、面白いかどうかは疑問である。当時から「カードダス」が大人気であったように、1枚単位でキャラクターやアイテムのイラストや設定がまとめられたカードという形態は、所有の対象としてとても魅力的だったのだ。
(とはいえ、単に切り抜くだけでは駄目な例もある。印刷の色が薄かったり、つるつるしたビニールなどに印刷されたものは読み取りにくいので、コピーして上質紙に印刷してから使うことを推奨していた。さらに丸い缶に直接印刷されたバーコードに至ってはコピーすることすら難しい。余談だが当時の雑誌に「缶コーヒーBOSSはボスの名の通りタフな戦士だ!」とか紹介されていた覚えがあるが、実際に商品のバーコードを読み取れる形に加工できた子供はどれだけいたのだろうか?)
さらにバーコードバトラーが画期的だったのは、ユーザー向けに自作カードのフォーマットを提供したことである。公式に「ホワイトカード」が販売されており、公式カードと同じ規格でオリジナルカードを作ることができた。当然イラスト部分は空白なので、自分で描くなり切り貼りする必要がある。こうやって作った自分だけのカードを公式のカードと同じスタイルでコレクションできるというのは嬉しかったのである。単に読み込ませるだけなら適当なボール紙にでも貼り付ければ十分なので、公式ホワイトカードは遊ぶ上では全く必要のないサプライだが、当時どこのおもちゃ屋にも置いてあった。相当売れていたんじゃないかと予想する。
ゲームシステム
表示されるパラメータは「HP」「ST(攻撃力)」「DF(防御力)」の3つのみで、攻撃か回復、あるいは単純な魔法(能力変化や、命中を犠牲にした強打など)を選ぶだけ。一見するとシンプルだが、実は不可視のパラメータが多く、(詳しくは後述するが)「合体時の相性」だとか「特定の種族に対する特効」などの要素があり、表向きの数字通りに勝負が決まるとは限らない。遊びこもうと思うと意外と奥が深い。
実はリアルタイムでは特殊能力などの情報をほとんど知らなかった。情報公開はコロコロコミックで行われていたようだが、自分含めて当時周りに読んでいる人がいなかったのだ。公式大会が行われ、「センチュリー紅茶エディアール」なる商品のバーコードが、最強レベルの能力に加えて「相手の特殊能力を無効化する能力」を持ち合わせて猛威を奮った等の話も、知ったのはごく近年である(それにしてもかっこいい名前だと思った。公式カードの世界観で「世紀紅帝エディアール」みたいな名前のラスボスとして登場しても全く不釣り合いではない)。
というわけで自分を含めて周囲のブームは割と瞬間的であり、すぐに飽きられてしまったような覚えがある。「合体なしで付属の最強カードを倒せる」「能力変化などの目に見える特殊能力を持つ」などのバーコードを見つけたあたりで満足してしまった。ちなみに僕が見つけた最強キャラはブルボンの「シルベーヌ」で、4万超えのHPと1万超えのST、8000以上のDFを持っていたと思う(カードは多分現存せず、商品のバーコードも変わってしまっているので今では確かめられない)。能力が1桁デノミされる(故に、そのまま使える専用の主人公カード以外は使いづらい)C1モードでも戦えなくはない性能だった(ツイッターで検索したら「シルベーヌが強かった」的な書き込みがいくつか見られるが、データ自体は見つからなかった)。
情報公開の是非
本作について「バーコードの数列から思いもよらぬキャラデータが生成される」ことが面白さの肝だと思う人がいる。そのような人は、解析によって仕組みが暴かれてしまうことを残念だと見る向きもあるようだ。実際、初代バーコードバトラーの頃は非公式の攻略本が仕様を暴露した上で、オリジナルバーコードの作成(パソコンによる印刷から、既存バーコードの切り貼り合成といった手頃な案まで)を推奨していたり、挙げ句の果てに付録の「最強カード」が公式大会に持ち込まれて荒れまくったという話を聞く。さすがにこれはやりすぎである。
(余談だが、現代だからこそできる技として「最強バーコード」なるものを印刷してはしゃいでいるバカバカしい記事を見たのだが、そんなのは30年近く前にとっくに通っていた道なのである)
しかし2以降では、むしろ公式側が積極的に「バーコードの読み方」を公開するようになった。少なくとも基本パラメータの読み方は多くの雑誌で紹介され、ぱっと見ただけでもおおまかな能力を把握できる子供は多かったはずだ。当然、公式大会では実在の商品のバーコードのみ使用可能というレギュレーションが定められたので、「探す」面白さは全く損なわれなかった。
特に「特殊能力」の詳細が明かされることでゲームは別物に変化したのではないかと思う。単に数値が高いほうが有利なだけのゲームではなくなったのだ。いわゆる「ガチ勢(当時こんな呼び方はしなかったけど)」にとってはここからがゲームの始まりとなる。
(余談なのだが、ポケモンの能力値システムの詳細についても「知ったらつまらなくなった」という人と「知ってからこそ面白くなった」という意見にはっきり分かれたのを90年代末期のインターネットで体感した。それぞれがゲームに何を求めているかの違いが出て興味深い。)
しかし、前にも述べたように、僕が詳しい情報を知ったのはずっと後にネットを始めてからである。想像以上に奥が深いゲームだと思った。それと同時に、当時それらを十分活かさなかった販売戦略を惜しいとも思った。以下に挙げてみる。
ここが惜しい:属性の概念を前面に出さなかった
各キャラクターにはそれぞれ「職業」「種族」という2つの属性が必ず設定されている。ゲーム上は「戦士」「魔法使い」と表示されるのみだが、実際の職業は計10種類に細分化されている。細分化された職業は直接的にはバトルに影響しない(アイテムの適性が異なるようだが、基本的に合体で足りるC0モードでは影響しない)が、ゲーム上は不可視の特殊能力による特効(いわゆる「3倍剣」)において参照される。いわば「弱点」と言ってもよい。
種族についてはもう少しゲームに関わり、まず電源投入時にランダムで選ばれる(点灯するランプの位置で決まる)陸海空の「守護星」が一致すると強化されたり、種族同士に相性が設定されてダメージ計算や先制攻撃の確率に影響したりするようだ。さらに合体の適性にも影響し、2枚目の種族によっては実際の能力が低下することがある(「相性」と呼ばれることもあるが、1枚目に関係なく2枚目の種族のみが影響するので、「合体適性」と呼んだほうが適切だと思う)。
なお公式カードに書かれている「食品一族」「雑貨一族」などの情報はゲームとは全く無関係なフレーバーテキストであり、実際は機械・動物・魚・鳥・人間という5種族に分類される(魚は海に、鳥と機械は空に、動物と人間は陸に対応する)ようだ。人間は相性や合体適性の面で全体的に優遇されている模様。こちらも3倍特効の対象になり、(合体やアイテム使用によって)両者が重なれば基本ダメージは9倍にまで膨れ上がる。
(余談だが、当時「9倍剣」という用語だけは聞いたことがある。確か「小学n年生」の誌上で、会心の一撃で99900のカンストダメージを与える画面写真と同時に紹介されていたので、単にカンストダメージの意味だと長らく誤解していた覚えがある)
このため、どんなに強いカードでも弱点があるためメタが回る。ゲーム自体は単純な1回戦でも、そこにプレイヤー側が団体戦や勝ち抜き戦などのルールを追加することで一気に奥が深くなる。敵の種族を見切り、常に弱点を付けるような手札を用意しておくことで有利に立ち回れるのだ(公平性のためにも、バーコードの数値及び由来は公開したほうがよいだろう)。ただ、当時のプレイヤーにはほとんど知られていなかったんじゃないかと思う。情報公開はコロコロコミックで主に行われていたようだが、この頃は第一次ミニ四駆ブームとポケモンブームの狭間の停滞期であり読者が相対的に少なかった(競合誌であるボンボンが唯一勝っていた時代とも言われている)。
(ちなみに、連動するスーパーファミコンソフトである『バーコードバトラー戦記』では種族が可視化されており、戦略シミュレーションゲームである本作において地形移動などにも影響する重要な要素らしい。生成されたキャラクターを多対多バトルの駒にするという発想自体は面白いのだが、肝心のゲーム部分であるUIやゲームバランスが酷い出来のようでクソゲー扱いとのことだ。)
ところで、ここまで書いて「ポケモンとすごく相性がいいシステムだな」と思った。当時、公式サプリメントとして『マリオ』や『ゼルダ』等の既存のIPをテーマにしたカードセットが販売されていたが、相性の概念が設定されていてもフレーバー的にあまり活用できなかっただろう。ポケモンだったら自身のタイプや、アイテム扱いの技マシンなどで存分に属性フレーバーを発揮できたと思われるだけに、時代が微妙にずれていたのが残念である。当時、キャラ固有の属性の概念および、それらの相性関係を前面に押し出した作品はほとんど見られなかったのだ。
ここが惜しい:結局「能力封じ」が最強になってしまう
さて、上で「メタが回る」と書いたが、実は例外が存在する。「相手の特殊能力を全て無効にする」という、最強の特殊能力の持ち主には弱点は事実上存在しない。もちろんこれは特例であり、極めてレアな能力だった(当時、存在は知っていたが見つけられなかった)。公式大会では「実在の商品」かつ「49から始まる日本産の商品」のバーコードのみが使用できたので、この条件なら「能力封じ」は出現しないはずだった。「49から始まるバーコード」は、能力値の上限や特殊能力の種類が制限されていたのである(詳しくは「前読み」と「後読み」の違い)。
しかし例外があった。「499」から始まるバーコードに限っては、「49から始まるバーコード」でありながら「49以外から始まるバーコード」と同じ読み方となり、あらゆる特殊能力が出現しうるのである。前述の「センチュリー紅茶エディアール」がまさにその例であり、このコードを知っているか(持っているか)否かで強烈な格差が発生してしまったようだ。もはやメタゲームも何もあったものではなく、画面上の数字のみが影響する世界である。意図的な設定か見落としかはわからないが、これを知った時は興ざめだった。
ここが惜しい:トレーディング要素が薄い
カードという媒体はコレクションに向いているのだが、意外なことにランダム入手を基本とした「トレーディングカード」的な売り方はほとんどされなかった。本体付属カード以外の入手手段は、テーマ別にまとめられた構築済みのサプリメント(キャラのパワーアップ版が登場する「外伝」だったり、前述のようなタイアップ物だったりする)や、あとは雑誌付録として付いてくるくらいだった。当時ブースターパックのようなものは国産カードゲームには存在すらしていなかった上、メーカーの壁により(本来は相性絶大のはずの)カードダスにもなっていない。
(余談だが、カードダスのバンダイのほうは「スーパーバーコードウォーズ」という二匹目のドジョウを狙ったとしか思えない商品を展開し、当時の男児に大人気だった『ドラゴンボール』や『SDガンダム』を題材にしつつも追いつけなかった。バーコードバトラーのキャラクターはガンダムもどきとしか形容できないデザインが多いが、それらのガンダムもどきが本物のガンダムを凌駕していた数少ない事例である。「スーパー」を付けることであたかもバーコードバトラーの後継機種のように見せかける姑息なネーミングや、「バーコード以外でも読める」と謳いつつ実際はランダムな数値を生成しているに過ぎない「マルチスキャン」なるインチキもあり、直接プレイしたことはないが個人的にイメージは最悪である。ガンダムやドラゴンボール自体は好きで、当時カードダスなども集めていたのだが、こちらは全くそそられなかった。)
調べてみると、アイスやキャンディのおまけ(食玩)としてランダム封入されたシリーズがあったようなのだが当時見た覚えはない。そもそもオリジナルキャラクターについては所詮ガンダムもどきであり、それら自体の求心力はいまいちだったと思う。実在の商品をパロディした外見や設定は面白いのだが、対象年齢層でまともに楽しめる(ネタを理解できる)人は少なかったような気がする。実際、僕も今になって読み返してようやく気づくネタも多い。
関連リンク
バーコードバトラーⅡ 解析ページ:
コードの読み方や戦闘システムについて。Flashのシミュレータは今のブラウザでは動かない?
バーコードバトラー Wiki:
カードの情報や画像あり。
Unofficial Barcode Battler:
海外サイト。こちらもカードの画像やデータが充実。日本とは違うイラストで販売されていたことがわかる。
日本偽現実工学会による評論:
当時の大人の目線による、バーコードバトラーの拡張現実としての評価。
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