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【ウィザードリィ】トレボー城塞とリルガミンは同一なのか?
結論から言えば「原作ゲームを読めば同一ではあり得ない」んだけどね…。

注:
この記事では、ナンバリングに関しては原作準拠である。「2」とは『ダイヤモンドの騎士(ファミコン版などでは3)』を意味する。また本来は「シナリオ#2」等と書いたほうが正確だが、わかりやすさやツイッターなどへのコピペの都合(#はハッシュタグ扱いされてしまう)で、単に数字を書く形に統一している。

概要


ウィザードリィ1と4の舞台であるトレボーの城塞都市(表記は単に「Castle」)と、ウィザードリィ2や3,5の舞台である「リルガミン」は同一であるか別物であるかというは昔から話題になる事が多い。個人的には議論になること自体が不思議で仕方ない。ストーリーを素直に読めば(例えばベニー松山作品などを引き合いに出すまでもなく)、これら2都市が同一であるはずがない

ストーリーの整合性


ウィザードリィ2(ダイヤモンドの騎士)において、リルガミンとニルダの杖の設定が語られる。「はるか昔からニルダの杖の力で外敵の侵入を阻んできたリルガミンだったが、リルガミンの中で生まれた悪であるダバルプスを防ぐことはできなかった」という話である。仮にリルガミンが前作の舞台でもあったとすると、ワードナの侵入(トレボーの城から魔除けを盗んだことになっている)を許している時点でいきなり矛盾である。百歩譲って、ワードナがダバルプスと同じように内部出身だとしても、2のストーリーにおいて「前例」として触れないはずがないのだ。

また、仮に同一だとするとアラビク王子とマグルダ王女はトレボー王の血筋ということになるはずだが、2のストーリーではトレボーには一切触れられていない。同一説を唱える人ですら、トレボーとアラビクらに血縁関係があるとする設定はかなりの過激派だと思われる(同一国内に2つの王家が存在する理由として、日本の朝廷と幕府を引き合いに出す解釈を割と見る気がする。しかしそれでも地理的に同一の場所であるとは考えにくい)。

同一説はどこからきたか


そもそも「リルガミンのトレボー王」という設定は、ウィザードリィRPG(TRPG版のこと)のために用意された設定であるらしく、このストーリーはシナリオ2以降には繋がらないらしい。他にも、双葉社のノベライズ版でも用いられているという情報を得た。

なぜトレボーが治める都市(国)の名前を「リルガミン」にしたのか。事情はわからなくもない。もともとトレボー城塞に固有の名前は付いていないので、設定をわかりやすくするためには何らかの名前が必要だったのだろう。そこでシリーズに登場するリルガミンという名前を借りてきたというわけだろう。しかし、これが本編の移植版である「リルガミン・サーガ」のストーリー説明でも(おそらくろくに吟味もされずに)踏襲されてしまったから話がこじれたのである。

同一である根拠として、ボルタック商店やカント寺院の名前が共通であることを挙げる向きもある(もっとも、外伝などで明らかにリルガミンではない都市を舞台にした作品でも、同名が使われるのが当たり前になってからは見なくなった気がする)が、これらは「暖簾分け」「宗派の名前」などいくらでも理由が付く(個人的には、専門知識が必要なボルタックは暖簾分けで、ギルガメッシュの酒場は験担ぎで勝手に名乗っているイメージがある)。

「トレボーがリルガミンを統治している」ということとストーリーの辻褄を合わせるのならば、「同名だが別の場所である」というパターンも考えられる。例えば「リルガミン」というのがこの地方の首都を意味する語だとして、トレボーは自らの統治する城市こそ真の「リルガミン」であると主張している、という解釈である。

別であったほうが面白い


ここからは余談というか僕なりのストーリー解釈である。トレボーが治める国と、リルガミンは別の国であるとしたほうが個人的に面白いと考える。例えば、狂王トレボーはいずれリルガミンを手中に入れることを考えているとしたらどうだろう。トレボーからしてみればリルガミンにおけるダバルプスの反乱は絶好の好機である。

「狂王の試練場でワードナを討伐した英雄は、トレボーから近衛兵の称号(階級章)を授けられる」というのが1のエンディングである。クリアしたキャラクターはこの時点でトレボー配下なのだ。小説などでは身分を捨てて新たな旅に出るパターンが多い気がするが、あくまでもゲームを見るなら子孫代々に受け継がれる(転生後のキャラも保持している)名誉ある称号なのである。

もしもあなた(のキャラクター)がトレボー配下になる気がなく、あくまでも自由な冒険者であり続けるというロールプレイをしたいのなら、そもそもトレボーのお触れに従って「クリア」すべきではない。「魔除けを取り戻した者を近衛兵として取り立てる」という報酬は最初から示されていたではないか。続編以降への引き継ぎにはクリアフラグは不要(かつ、ゲーム上は何のメリットもない)なので、クリアする(すなわちトレボーに仕官する)か否かはプレイヤーの裁量に委ねられている部分である。あくまでも迷宮を狩りや腕試しの場だと割り切り、自らの目的を達成したのならばワードナやトレボーなど無視して新たな旅に出る冒険者がいてもいいのだ。

さて、ワードナの魔除けを持ち帰ってクリア称号を付けたのならば、彼らは近衛兵としてトレボーの忠実な臣下となったことを意味する。そのようなキャラクターを次回作に送る(リルガミンの冒険者として登録する)ことは何を意味するのだろうか。リルガミンの危機にトレボー近衛隊が「冒険者」として馳せ参じるということは、すなわちトレボーの名のもとに軍事介入するということに他ならない。訓練所や酒場でこれみよがしに階級章をちらつかせる(ゲーム的に言えば、名簿でもはっきり見える)一団を見て、市民や統治者は内心で苦々しく思うだろう。単なる侵略者であれば拒むこともできるが、あくまでもリルガミンを正常化するという大義の元での出動である。たとえニルダの杖が力を取り戻しても排除はできないだろう。もし彼らが目的を達成してしまえばトレボーに大きな借りを作ることになり、政権を傀儡にされるかも知れない。しかしそれでも、武力を受け入れずに滅びを待つわけにはいかないのだ……。

これは想像できる背景ストーリーの一例に過ぎない。プレイヤーはトレボーの配下として粛々と任務を遂行してもいいし、敢えて称号の無いキャラを自由な冒険者、あるいは反トレボー派という設定で送り込んでもいい。リルガミン生まれの新規キャラを育ててみてもいいし、これらの異なる出自のキャラをパーティで組み合わせて協力させてみてもドラマが生まれる。このように、トレボーとリルガミンが別勢力であると考えるほうが、冒険者に様々な立場が生まれて、プレイヤーが紡ぎ出すストーリーがより深くなるのである。

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