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【MTG】MoMaがファンデッキ扱いだった時代
「MoMa」前史と、「ターボ・ジーニアス」という呼称との使い分けについての雑感。
去年あたりからマジック・ザ・ギャザリングが再燃してきた。といってもスタンダード等よりもむしろ懐古フォーマット(具体的には旧枠モダンだが)に興味が沸き、それに伴って昔のMTGに関する資料を積極的に集めたりするようになった。

ある日、新紀元社の「マジックデッキファイル」を古本屋で見かけた。2巻3巻が100円だったので即購入。先に2巻(1998年9月発行)のほうから読んでいたら、衝撃的なデッキが紹介されていた。

前提として、これらの本で紹介されているデッキは3段階にカテゴライズされている。1つ目はシンプルなカードを中心にして初心者でも組みやすい「基本デッキ」、2つ目は特定のコンボや部族などに注目した(趣味的な側面も含む)「応用デッキ」、そして3つ目は強さに特化した「トーナメントデッキ」である。そして、あのMoMaが第2カテゴリの「応用デッキ」として紹介されていたのである

この本が対象としているのはテンペスト・ブロックまでのスタンダードであり、現在知られているMoMaのキーカードである《トレイリアのアカデミー》は含まない。なるほど、それならマナ加速手段も限られるだろうからトーナメント級とは言い難かったのであろう。あくまで「MoMa」の由来となった《精神力/Mind Over Matter》を、なんとか使ってやろうという思いから生まれたデッキのようだ。

具体的なリストは割愛するが、基本的な動きは「《スークアタの火渡り》か《放蕩魔術師》(いわゆる「ティム」)に《好奇心》をエンチャントし、《シヴィエルナイトの寺院》によるマナ加速で《精神力》を出し、ティムのタップ能力を連発して本体を焼く」というもの。

現在知られている「MoMa」と比較するとかなり弱い。肝心の土地は使い捨てで、勝ち手段も召喚酔いに影響されるクリーチャーのタップ能力、しかもエンチャントを付ける必要があるのでとても隙が大きい。《トレイリアのアカデミー》による爆発的かつ再利用可能なマナ加速と、そのマナ自体をフィニッシャーにできる《天才のひらめき》がいかに強力であるかがよくわかる。

一応、《無気力》による第2の勝ち筋も用意している、というか無理に《精神力》にこだわらず、こちらに絞ったほうが明らかに強いような気がするのだが。あくまで「強いけど重すぎる」《精神力》をなんとかして使ってやろうという一発ネタのようなデッキだったようだ。しかし「MoMa」というデッキ名は既に用いられていることに注目したい(より厳密には、間にスペースを入れた「Mo Ma」表記だったが)。

さてMoMaと言えば、最近になって漫画『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』で知った人も多いと思う。作中で(現在ではあまり耳慣れない)「ターボ・ジーニアス」という名前で呼ばれていた理由については、第3巻原作者コメンタリーにて「登場したころはターボ・ジーニアスと呼ばれていた記憶があり、当時発行された雑誌にもMoMaという呼称は見あたらなかった」からだと語られている。

同じ《精神力》をキーカードとするデッキでも、テンペスト・ブロックまでの「MoMa」と、ウルザズ・サーガ以降の「ターボ・ジーニアス」には断絶があるようだ。新紀元社のガイドブックは当時のプレイヤーの間では非常に知名度の高いシリーズだったはずだが、あくまでネタデッキの1つに過ぎなかった「MoMa」という名称は忘れられ、フィニッシャーである《天才のひらめき/Stroke of Genius》から「ターボ・ジーニアス」という名前で改めて広まったという経緯が想像できる。その後、改めて「MoMa」の名前で知られるようになった経緯についてはよくわからない(単に呼びやすいとか、皮肉が効いているとか、そんなところじゃないかとは思うが)。

なお、デッキファイルの3巻では現在よく知られているMoMaが「The Academy」という名前で紹介されている。こちらはMTGwikiのほうにもMoMaの別名のひとつに「アカデミーデッキ」として挙げられている。既に禁止裁定によって使えなくなったカードがあるとしながらも、堂々のトーナメントデッキとしての紹介である(なお、序文においては「トレイリアン・ブルー」の名前で紹介されている)。

MTGに関してはwikiを中心に情報を収集していたが、ウルザズ・サーガ以前に「MoMa」と呼ばれるデッキが存在していたことは本を読むまで全く知る機会がなかった。現在では忘れられて埋もれている情報の中にも、面白いものはまだまだあるのだと思う。

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