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ミストドラゴン(FF4)とタケシのイワークの狭間
「初代ポケモン世代」と一口にカテゴライズされる中でも、実はプレイヤー層には大きく2つに分かれるのでは?という話。
初代ポケモンの話題となると、「最初にヒトカゲを選ぶとタケシのイワークで苦戦する」という話が出ることが多い(最近だと、やしろあずきのブログで見た)。近年のネットメディアは何かと大げさなので,「詰んだ」だの「トラウマ」だのの単語が軽はずみに出てきたりする。

しかし、当時小学生の弟が発売直後にプレイしているのを見ていたが、最初にヒトカゲを選んでいたにも関わらず、タケシのイワークで苦戦したような素振りは見ていない。同時期にプレイしていた弟の友人たちや、少し後になってプレイした僕の友人たちからもそのような話を聞いた覚えはない。「我慢」を知らない状態では一度くらいは返り討ちに遭うかも知れないが、その後は「なるほど、この状態になったら手を出してはいけないんだな」というタネが見えてきたのではないかと思うのである。

ブログ等でも何度か書いているが、最初期のポケモンに目をつけた層は、もともとRPGのファンであるケースが圧倒的に多かった。中でもドラゴンクエスト(DQ)とファイナルファンタジー(FF)シリーズは、全てとは言わずともたいていプレイしていたはずである。特にスーパーファミコンのFFシリーズ(4・5・6)は大人気だった。

今でも割とそうだと思うのだが、RPGというジャンルは全くの未経験者だと手を出しにくい傾向がある。DQシリーズのような国民的タイトルや、あるいは宣伝などで非ゲーマー層を意識したMOTHER2(前作は違うと思う)のように、実際に初心者に優しいシステムやUIを備えたゲームが無いわけでもない。しかしその他のRPGの多くは、ジャンルあるいはシリーズのツボを押さえていないとなかなか難しいゲームが少なくなかったのだ。初代ポケモンも「その他」の例から外れていなかったはずである。

(なお、初心者向きRPGとそれ以外を区別する個人的な指標は、「プレイヤーがリセットボタンを押さない」ことを前提にしているか否かという気がする。DQシリーズやMOTHER2は、プレイヤーのとったいかなる行動をもやり直すことなくゲームを継続できるシステム及びバランスになっているが、FFシリーズなどはプレイヤーが能動的にリセットして試行錯誤することも前提にしたデザインに思える。不可逆な選択肢の多いポケモンも同様。オートセーブ等の例もあるので一概に分類はできないことは承知ではあるが。)

タイトルにも使ったが、FF4で最初に戦うボスに「ミストドラゴン」というのがいる。ゲームシステムのチュートリアル的なボスであり、「戦闘中に姿を変える→その状態で攻撃を受けると強力な反撃を行う」というギミックがある。ここでプレイヤーは「闇雲に攻めずに、時には様子を見ることも大事」というATB(アクティブ・タイム・バトル)の基本を学ぶのである。同様のボスは、以降のシリーズでもFF5(ウイングラプター)、FF6(ユミール)といった具合に序盤の定番となる。シリーズ初心者は新たに知ることになり、経験者なら「ああ、いつものアレね」という様式を感じるのだ。

ポケモンに話を戻す。ポケモンの戦闘システムはFFシリーズのATBとは異なり古典的なターン制だが、「我慢」は異質な行動である。今までは交互に行動していたのだが、次のターンにイワークは何もしなくなる。たとえ麻痺などで動けなくなってもメッセージは出ていたのだが、我慢の場合はそれすらもない。不気味ではあるが、特にヒントなどもなかったので、とりあえず攻撃を続けてみると、ヒトカゲの火の粉は絶妙な火力で半端にHPを削ってしまい、我慢が解かれたときに2倍になって返ってくるのだ。

この時点でポケモンシリーズの想定プレイヤーは「なるほど、そういうアレね」と気づいてソフトリセットをかける(ボス戦の前にセーブするのは基本だし、GBソフト共通のリセットコマンドだって周知である)。そして次こそは「我慢している間にダメージを与えない」という戦術をとって危なげなく勝利するのだ。ゲームフリークはきっとそう思って設定したに違いない。

このように、FFシリーズ等を「履修」しているプレイヤーにとってはなんてことない序盤のボスであり、たとえ初見で負けたとしてもリセットによるリカバリーや、性質を予想しての対処も容易だっただろう。しかし、そのようなセオリーを知らないプレイヤーにとっては厳しいと言わざるを得ない。ましてFFシリーズと違ってゲーム内に直接的な説明が無いのだから。

初期に飛びついた層はRPG自体に慣れていたと思われので問題なく突破できた人ばかりだろうが、大ブーム以降はそうでないプレイヤーが一気に入ってくることとなった。彼らの中には我慢の性質に気づかないままひたすらに特攻を繰り返し、リセットを知らずに全滅を繰り返すうちに資金が底をつき、恐るべき序盤の壁だという感想を持った人が少なくなかったと考えられる。

初代ポケモン世代であっても、それ以前のRPGを経験していたか否かでゲームに対して受ける印象は全く異なるものになっただろう。それを垣間見られる典型的な話題こそが「ヒトカゲvsタケシのイワーク」であり、今後も「あるあるネタ」扱いや、それに対して「ねーよ」と突っ込むようなやりとりは各地で多発するはずである。

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