FC2ブログ
本とゲームのレビューと雑文が中心。

初代ポケモン:モンジャラと「しめつける」と没ジムリーダーに関する考察
技の習得設定と、公開された没資料が結びつく…かも知れない。
今年に入ってから「初代ポケモン技辞典」というコンテンツを少しずつ書き進めている。一つひとつの「技」に注目することで、その元ネタやゲーム内での扱いなどをあらゆる角度から見てみようという企画だ。これを書いている現在、まだ未完成なのでサイトからはリンクを貼っていないが、ツイッターでは更新のたびに取り上げている。

改めて調べ直す過程で、従来は気にも留めかった事実が浮かび上がることがある。例えばしめつける」を覚えるのがイワークとモンジャラのみであること。効果は「まきつく」の完全下位互換(命中が低いだけ)であることなど、まとめ直さなければ気づかなかっただろう。

さて、上記ページ内でも触れているが「イワークが(まきつくではなく)しめつけるを覚える理由」は想像できる。ニビジムのバランス調整のためである。おそらくテストプレイの過程で85%では序盤にふさわしくない難易度、あるいは何ターンも行動できない不快感に繋がると判断され、調整版として命中率を下げた技が用意されたのだろう。「まきつく」自体はバインド系の標準として据え置かれ、必要に応じて下位互換を使用するという判断である。もっとも実際のゲームでは、Lv及びNPCの技マシンの仕様(3番目の技を上書きする)によりイワークは「しめつける」を使わないのだが、開発途中では使っていた可能性がある(なおピカチュウ版では覚えており、よりタケシ戦の難易度が上がっている)。

問題はモンジャラである。タマムシジムで初登場するが、同じジムで戦う(実際はそれ以前から何度も登場する)マダツボミ系列は「まきつく」を使うのに、モンジャラだけは「しめつける」である。バランス上もフレーバー上も「しめつける」である理由はない。以前に別の記事で田尻智のゲームデザイン手法の一つである「難易度の緩急」に言及したが、75%と85%ではほとんど実感できないだろう(有効な攻撃手段が無くて何ターンもかかったり、敗北によって何度も挑戦する可能性の高い序盤とは話が違うのだ)。結果として、モンジャラが地味に冷遇されるだけに終わってしまっている。

そもそも些細なことであるため、この点については大して疑問にも思わずに記憶の片隅に追いやっていたのだが、この疑問に対する一つの答えを思いついた。まず杉森建のツイートをご覧頂きたい。



ここで公開された初期のラフスケッチには、製品版におけるジムリーダーの原型が見える。タケシとカスミに先立って、1番が振られているのは没になった少年トレーナーである。仮に以降のジムリーダーの割り振りが製品版通りだとするとこの少年がジムリーダーを務めるのはトキワジムで、順番的にも一番最初に戦う予定だったのだろう。

さて仮に序盤に戦うとしたら、地面タイプをメインに使うとは思えない。ニビジムと丸かぶりではないか。そもそも「トキワ(常葉)ジムでグリーンバッジなのに、なぜ地面タイプなのか」という疑問は普通に初代をプレイしていても当然湧いてくる。素直に色を当てはめれば草タイプこそがふさわしい(この場合、タマムシは文字通り虫タイプだったのかも知れない)。トキワジムが「一番最初に挑むことになる草タイプのジム」だとしたら、リーダーの切り札には何がふさわしいか。モンジャラが最有力候補である。根拠の一つとしては、イワークがプテラ以外では唯一の無進化の岩タイプであるように、モンジャラは唯一無二の無進化の草タイプである点が挙げられる。

それだけでは弱いので、スペックも見てみよう。初代において、モンジャラはLv29で「すいとる」を覚えるまでは「からみつく」「しめつける」しか使わない。最初にどのポケモンを選んでいても弱点を突かれることがない。また物理・特殊ともに耐久力が高いので、序盤のボスにふさわしいタフネスを演出できる(特防が激減したのは金銀以降である)。草タイプとして唯一他のタイプを持っていないことで、ゲーム上のギミックとしては「毒」が有効なダメージ源になる(ビードルを使ってもいいし、隣の草むらにいるニドランを育ててもいい。もっともタケシ同様に何でも治しで対策されるかも知れないが)。また、戦闘後に図鑑で生息地を確認した時にマサラ南という「近くて遠い草むら」が表示されるのも面白い。

なお、リーダーの切り札がモンジャラなら他のポケモンはどうするんだ?という声は当然あるだろう。前座で出てくるのはナゾノクサとマダツボミしか考えられないが、こいつらは草タイプの技を初期から使えるのでゼニガメに厳しい(なお、製品版のニビジムでは地面や岩タイプの攻撃技は一切使われないので、最初にどのポケモンを選んでも防御面で優劣は出ない)。個人的には「序盤の草ジムを廃止した時点でナゾノクサとマダツボミの初期技を差し替えた(主にハナダジム対策として)」と予想している。草タイプの攻撃技を基本技として習得するポケモンはこの2系統だけなのだ。モンジャラの技が据え置かれたのはハナダジム攻略に影響がないからであろう。ちなみに野生で出てくる頃にはLv29で「すいとる」を覚えているかその直前である。

技番号で見れば「しめつける」のほうが若いのだが、後から別の技を差し替えた可能性もある(技データの前後を見ると、20番はちょうど「翼系」と「蔓・触手系」の境界であるので、十分考えられる可能性である)し、たとえ技名が同じでも効果だけ変更された可能性もある。

まとめるとこういうことになる。
  1. 「まきつく」の命中率を下げ、序盤ジムリーダー向けに調整した技が「しめつける」。
  2. 最初は幻の少年ジムリーダーのためにモンジャラに与えられた(差し替えられた)
  3. 最初のジムがニビになったら、今度はタケシが使うイワークに与えられた。
  4. タケシのイワークも結局「しめつける」を使うことは無くなったが、「最初のジムリーダーの切り札ポケモンが使うはずだった技」として、この2匹にのみ残っている。

「しめつける」という「まきつく」の下位互換でしかない(フレーバー上も分ける必要が見当たらない)技がなぜ存在しているのか。また、なぜそれを覚えるポケモンはイワークとモンジャラという全く異なる性質の2匹だけなのか。モンジャラが初代で唯一の単独草タイプであることも含めて、自分なりに納得のいく答えが出た。むしろ、単なる思いつきの割にはきれいな結論が出たとでも言うべきか。

余談:
モンジャラの色が緑ではなく青であることには何か元ネタが存在するのだろうか。赤緑の図鑑でもわざわざ「ブルーのつる植物」と明言され、スーパーゲームボーイによるカラー表示でも緑ではなく藍色のパレットが当てられている。先入観無しでは緑色だとしても誰も違和感がない(事実、クリスタルでは修正されたが金銀では緑色である)はずだが、何らかの理由があってこだわっているのだろうか。

コメントの投稿

 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL

Copyright © 【かけるのブログ】. all rights reserved.