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コロコロコミックとマジック:ザ・ギャザリングの関わりについて
主に小学生を対象とした月刊漫画・ホビー雑誌のコロコロコミックにおいて、トレーディングカードゲーム(以下「TCG」)であるマジック:ザ・ギャザリング(以下『MTG』)はどのように扱われてきたのかを振り返る。

前置き(飛ばしても問題ない)


きっかけとしては、デジタルTCG『シャドウバース』のアニメ化に対する反応である。「ゲームと雰囲気が全然違うじゃないか!」という声に対して、TCG業界人である池っち店長はこう返した。



つまり「デュエルマスターズ(漫画)だって、初期は全然違う画風のMTGの漫画として連載しており、それで(MTG漫画として)成功した」ということをもって、シャドウバースのアニメ版(少なくとも現時点で公開されているキービジュアル)を肯定しているわけである。

この話題に関して反応している人の中でも、「コロコロにおいてMTGがどのように扱われていたのか」という点が意外と知られていないようなので、時系列でまとめ直す。なお掲載情報については、「ゾイド総合ランド」における「コロコロコミックレビュー」を参考にしている。ゾイドやMTGに限らず当時のホビー紹介ページが多数掲載されているので非常に参考になり、また面白い。

ホビーとしての取り扱い


コロコロコミックのホビー特集ページにてMTGが掲載されたのは1998年11月号が最初である。この時点ではオリジナルの魔法使いっぽい少年のキャラクターを用いてシステムや世界設定などを解説していることが確認できる。いかにもコロコロ漫画的なデフォルメされたキャラクターで、MTGのカードのイラストとは当然ながらギャップは激しい。

当時ほぼリアルタイムで見ていた覚えがあるが「なんでコロコロなんだよ」と思った。明らかに対象層と合わないと思った。ただでさえ難しい漢字が使われていたりするし(当時はカード名にもルビは無い)、グロテスクなイラストもあるので子供には向かない。そもそもコロコロではポケモンカードゲームを当初から扱ってるのに同業他社のTCGを扱って大丈夫なのか(もっとも当時はポケカはウィザーズ社と関わりがあったので競合対象ではなかったようだが)。純粋にMTG特集が読めるのはうれしいけど

ただし、製品版の説明書とコロコロの特集だけではルールが理解できるとは正直思えない。コロコロ読者を対象にしたガイドブックのようなものすら発売されなかったような気がする(見落としている可能性があるのでご存じの方はご一報を)。とはいえ、当時の小学生は元々ルールなんてあってないようなカードダスでも楽しく遊んでいたのである。このあたりの個人的な体験談はブログ記事「ポケモンカードゲームの思い出とこれから」に少しまとめてある。

とにかくも、企画自体は好評だったようで、漫画「デュエルマスターズ」の題材がTCG「デュエルマスターズ(紛らわしいので、TCG名としては以降『DM』と表記する)」にシフトチェンジする2002年1月号まで途切れること無くMTG特集が続く。4ページ以上に及ぶことも珍しくなかった。このことからわかるように、コロコロの読者層にMTGというコンテンツは完全に受け入れられていたのである。

漫画デュエルマスターズについて


上記のホビー特集の背後には、当然ながらホビー漫画の存在がある。『デュエルマスターズ』の連載が開始されたのは1999年5月号からである。連載に至る経緯はわからないが、ホビー特集が受けていなかったら連載には踏み切れなかったかも知れない。先に書いておくが、2002年1月号で『DM』が登場するまでの2年半以上、純然たるMTG漫画だったのである。

当時の率直な感想としては「うわ、遊戯王の出来損ないみたいなのが始まっちゃったよ、大丈夫か?」である。NACとの戦いこそ気合を入れて考証していた感じはあるものの、それ以降はルールも怪しい場面が少なくなかったが、それ以降はMTG経験者からの評価も徐々に上がったいったようだ(僕は当時ろくに読んでいなかったのでよくわからないが)。

他誌において先行して連載していた『デュエルファイター刃』と比較すると、フォーマットをスタンダードに絞らなかったのが特徴である。最初のNAC戦は、父が残した当時の禁止カードを含む古いデッキ(いわゆる「The Deck」のバリエーション?)を使用、その後もポータル三国志(当時、ポータルのカードは通常のMTGでは使えなかった)、ハイランダーヴァンガード(言うまでもないが、同名のTCGでは無い)といった特殊フォーマットが続く。特にヴァンガードについては漫画で初めて知った人も多いだろう。

当時の2ちゃんねるの反応がある。スレ建ては8月23日なので、その時点では9月号(第5話)が掲載されている。
スレタイと1の内容に反して、他の漫画も含めて冷静に感想を言うスレッドになっている。レス番90あたりにおける牛次郎戦でのカウンター合戦はかなり好評である。それだけに、レス番500あたりで突然全く別物のカード(DM)が出てきたときに阿鼻叫喚となったわけだ。

上記スレッドでは様々な憶測(中村聡のAPAC2001での不正関与が原因という説すら!)が飛び交うものの、識者の見解によるとデュエルマスターズの開発は早い段階から始まっており、コロコロにおけるMTG漫画の連載もDMへの切り替えを前提にしていたという説すらある。



とは言え読者目線だと、唐突に出てくる(漫画内でも、実際の商品としても)カードのために既存のTCGを題材に2年半の連載を続けたのは長すぎたし、多くのファンを裏切ってしまったのは確かだと思う。結果としてDMはDMで大成功したので商売としては正しかったのだろうが、当時のMTGファンにとっては未だにDMに対するわだかまりを持っている者も少なくないのではないか。

漫画の題材がDMに切り替わった2002年1月号(発売は前年12月である)、コロコロコミックのMTG特集は読者募集のオリジナルカードの発表を最後に幕を閉じる。それ以降にコロコロ及びデュエルマスターズを読み始めた人にとっては、かつてこの雑誌や漫画がMTGと関連していたことすら気づかないだろう。しかし池っち店長も言っているように、コロコロコミックによって「小学生の間に空前のMTGブームを巻き起こした」ことは紛れもない事実なのである。そしてそれを支えたのは、画風も世界観もMTGとは全く異なる漫画「デュエルマスターズ」に他ならないのだ。

近年は改めて、兄弟誌であるコロコロアニキにおいてMTG特集を組んだり、あるいは『切札勝舞はマジック:ザ・ギャザリングを使いつづける』というパラレル設定の漫画連載を行っているようだ。僕自身は当時から読者らしい読者というわけでもなかったが、同時代のMTGファンとして陰ながら応援をしている。

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