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本とゲームのレビューと雑文が中心。

任天堂の幻の脱衣ゲーム「ファッシネーション」を追う
あの横井軍平が手掛けた実写脱衣シューティング(!)について考察。

表記揺れ対策として「ファッシネイション (Fascination)」とも書いておくが、以下に紹介する書籍の原文ではすべて「ファッシネーション」である。
このゲームが紹介されているのは「横井軍平ゲーム館」という書籍である。ガンシューティングの傑作である「ワイルドガンマン」の派生品として試作されたものであるとのことだ。

概要については以下の通りである。

  1. 画面上で女性が音楽に合わせて踊っている。
  2. 画面が止まり、その女性が服の一部分(結び目)を指差す。
  3. そこに命中させるとその服が脱げ落ちる。
  4. 1~3を繰り返し、1回も失敗しないで当て続けると最終的には丸裸になる(逆に言えば1ミスで終了?)。

任天堂のゲーム作品としてはおそらく唯一であろう直球のエロスである。このようなお色気路線に走ったのは、記者が男ばかりだから面白いことが出来ないかという横井氏の遊び心のようだ。女性はスウェーデン人とのことで、撮影に立ち会ったという横井氏によると「それはきれいなモデルさん」とのことである。あくまで試作であって売るつもりは無かったようだが、新宿のゲームセンターにしばらく置いてあり人気だったらしい。具体的な店名や時期には触れず(なおWikipedia等には1974年とあるが、これはワイルドガンマンのリリース年であり、本作も同年かどうかは厳密には不明である)。ネット上を探してみても実際に遊んだとかの記録は見つからない。

なお、筐体の写真については本と同じものが海外のファンによる任天堂wikiに載っていたのでそちらを引用する(これを書いている現在、なぜかワイルドガンマンを差し置いて記事が作成されているのが面白すぎる)。

Fascination.png

そもそも、元になる「ワイルドガンマン」というのはどのようなゲームなのだろうか。多くの方がイメージするであろうファミコン版とは異なり、1974年当時のアーケード版は実写映像を使用したゲームとしてリリースされた。以下がYouTubeで見つけたその貴重なプレイ映像である。



敵の目が光ったら射撃の合図。見事当てることが出来れば相手は倒れ、外れたら(あるいは時間切れやお手つきでも同様だろう)相手はそのまま勝ち誇る。仕組みとしては、手前側に2台の映写機が仕込まれており、条件を満たせば投影される映像が切り替わる仕組みとなっている。つまり奥にあるのはブラウン管ではなくスクリーンなのである。そして命中判定センサーは銃のほうにあり、引き金を引いて切り替わった先の画面上に出てくる閃光を銃がキャッチできれば命中したと判定されるのだ(ファミコン版も同じ仕組み。見た目はレトロな銃なのに「光線銃」と呼ばれる所以である)。

フィルムを使うために耐久性に難があり、横井氏が手を尽くしても連続使用は500回や1000回までというレベルだったとのことである。そもそもワイルドガンマンにしたって元々は試作品に過ぎなかったようだ。それが好評からと無理やり量産して世界中に出荷(それでも100台程度だったようだが)したのは、当時の任天堂の経営が悪化していたという裏事情があったようである。健全な経営状態では商品化しようとする発想は生まれなかったかも知れない。

ワイルドガンマンが世に出たのは1974年。あのスペースインベーダーでさえ1978年であることを踏まえると、実写映像を扱うゲームが当時どれほどのインパクトを与えただろう。これほど画期的な仕組みでありながら、量産性や耐久性に問題があって後には続かなかった(後に、ビデオテープを使った競馬ゲームの「EVRレース」などが同社から登場したようだが、メンテナンス困難で長く続かなかったようだ。「社長が訊く」でも言及されている)。ただし(技術的にはともかく)コンセプトとしては、1980年代以降に流行るLDゲーム(レーザーディスクの映像を使用し、プレイヤーの行動により切り替わる)に継承されたとも言える。LDによる野球拳ゲームなんてのもシリーズ化されている。

後のLD野球拳やビデオゲーム脱衣麻雀のようなものには無い、本作の最大の特徴は「射撃」というアクティブなゲーム要素と「実写映像」の組み合わせであり、類似したゲームはちょっと思いつかない。技術的にはワイルドガンマンと全く同じことをしているのだが、銃撃戦という暴力をストリップというお色気に変化させて全く別のゲームにしてしまった。横井氏の代名詞である「枯れた技術の水平思考」を体現したようなゲームである。ダンスやエフェクトなどの魅せ方次第ではお洒落なアート作品にもなるだろう。

余談だが「脱衣」というフレーバー自体はファミコン版のワイルドガンマンにも受け継がれている。ゲームA及びBに出てくる敵キャラには「(ベルトのバックルを撃たれ)ズボンが落ちてパンツ丸出しになる」「帽子をふっ飛ばされて禿頭を露出する」というやられモーションを取る者がいる。いずれの敵キャラもおっさんであり、色気もへったくれもないコミカルな描写だが、もしかしたらファッシネーションへのセルフオマージュかも知れない。

ファッシネーションについては、恐らく筐体どころかフィルムも現存しないと思われる(仮に残っていても、肖像権など諸々の理由で公開はできないはずだ)ので、実際にどのようなゲームだったかは当時の関係者のみ知るところだろう。しかし歴史的には重要な作品で、もしかすると史上初の商業利用された(映像による)アダルトゲームかも知れない。

以下、公開された情報から気になった部分とその考察をメモ代わりに列挙してみることにする。


  1. 横井氏の説明では「結び目を撃つと脱げ落ちる」とある。確かに写真ではスカートの腰を指さしているのでそうなのだろうが、上着には結び目があるようには見えない。「脱げ落ちる」というより普通に脱いでいるのか?なお上記のwikiでは「ゆっくりと脱いでいく」みたいなことが書いてあるが、これは横井氏の本には見られない言い回しである。
  2. 上の画像ではわかりにくいが、筐体上部には7つのハートマークがあり、そのうち一番左が消えている。ステージ(脱衣段階)を意味していると思われる。画面写真の状態は1ステージ目(コートや帽子?)をクリアした後か、今が1ステージ目(それだとランプは点滅中とか)だと考えられる。
  3. ワイルドガンマンでは映像が切り替わる瞬間を閃光や煙でごまかしていたが、ファッシネーションではどうしたのだろうか。
  4. 「丸裸」とあるが、もちろん当時はヘア未解禁である。実際は何か身につけていたのか、修正が入ったか、ポーズでごまかした(後ろを向く等)か。
  5. 70年代頃の日本では、スウェーデンといえばフリーセックスというイメージが強かったらしく、ポルノ界隈では人気だったらしい。この本を読んだ時点では「なぜスウェーデン人が?」と不思議に思ったのだが、当時の情勢ではヌードOKのモデルが来日していたとしても不思議ではない。

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