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カードeリーダー+とは何だったのか
コンシューマゲームにおける追加有料コンテンツの先駆け。いわばオフラインDLCでも呼称すべきシステムが存在した。
「カードe」という二次元コードの規格があった。原理としては今日でもメジャーなQRコードと同じようなものだろうが、情報量が多いために非常に精密なコードであり、家庭での複製は困難となっている。当初はトレーディングカードゲームである「ポケモンカードe」に印刷され、スキャンすることでミニゲームが遊べたりする(つまり、ゲームのプログラムやグラフィックが紙に印刷されたコードに内蔵されているわけである)ようなものだったが、後に「カードe+」として、ゲームボーイアドバンスやゲームキューブのソフトと連動、コードに印刷されたデータを送り込むことが可能な新シリーズが発売された。

ここまで書くと、擦れたゲームファンからは「どうせアンロック式で、もともとゲーム自体にデータは入ってるんでしょ?」と思われるかも知れない。実際にそのようなタイプの連動もあったが、そうではなくコンテンツ自体が追加される例も少なくなかった。最も解りやすいところでは『スーパーマリオアドバンス4』で、1枚のカードに1つのコースが収録されている。読み込ませることで、元になった『スーパーマリオブラザーズ3』のシステム上で、全く新しいステージを楽しむことができる。これらのコースはもともとゲームのROM内には存在しないものである(例えば改造コードなどを使っても出すことはできない)。

当時そのような言葉はまだ無かったが、これはれっきとしたDLC(ダウンロードコンテンツ)の一種である。インターネットではなく、カードeリーダー+という機器を通したローカル通信ではあるが、確かにデータはカードからゲーム内へと書き込まれている。この「紙媒体」というのが一つのポイントで、玩具店などで売るばかりではなく、例えば雑誌の付録にしたりイベント会場で配布したりなど、直接販売以外の形で配られることも行われていた。特筆すべき事例としては『ポケットモンスター ルビー・サファイア』の、いわゆる「きのみ問題」の修正プログラムがカードe+として配布されたことがあった(プログラムの修正パッチというわけではなく、セーブデータ内の時間に関する領域に特定の値を上書きする対症療法的な措置らしいが、詳しくは知らない)。現在、オンラインで当たり前のように行われる追加コンテンツの配布や不具合の修正が、2003年当時から紙媒体を経由して行われていたのである。

ゲームボーイアドバンス(及び、1世代前の機種であるゲームボーイカラー)では「モバイルシステムGB」として携帯電話との連動でデータを追加・解放するサービスが行われていた。この例で言えば、『ポケットモンスター クリスタルバージョン』における「セレビィ」のイベントは、任天堂最初期のDLCと言えるだろう(こちらはアンロック方式ではあるが)。当時の若年層における携帯電話の普及率の低さや、また当時としても時代遅れな通信形式(パケット通信ではなく通話扱いでのデータのやりとり)もあり、あまり普及せずに終わった。

公式に言及はされていないものの、「発売後のゲームに事後的にコンテンツを追加・解放する」という目的としては、カードeリーダー+はモバイルシステムGBの後釜であるといえるかも知れない。実際、モバイルシステムGBは2002年12月14日でサービス終了したのに対し、カードeリーダー+対応の連動コンテンツが最初に発売されたのは2003年6月27日であり、両者は被っていない。カードe+は一方通行のコンテンツなので、モバイルシステムGBのような相互通信が出来ないという点で劣っているが、よりシンプルなのは長所といえる。店頭やイベント会場での体験会(ユーザーが持ち寄ったゲームソフトにデータを入れる)も行われており、これはモバイルシステムGBでは不可能だったことである。

カードe+は商業的に成功だったのか?正直よくわからない。あまり売れている印象は無かったのだが、2年近くにわたって計11タイトルのゲームで対応シリーズが発売されている(プロモーションのみの例を含めるとさらに3タイトル追加)ことを見ると、それなりに力を入れていたことが伺える。「発売後のゲームの再収益化」という観点はおそらく当時の(そして現在も)ゲームメーカー共通の課題であると思われ、追加コンテンツの販売というのもその一環であろう。インターネット経由ではなく物理的な紙媒体を任天堂が選んだのは、玩具や出版業界と強いパイプを持つ同社ならではの選択であったのかも知れない。

いわば「オフラインDLC」とも言えるカードe+の系譜は、現在においても「amiibo」という形で受け継がれている。オンライン環境が無くとも、amiiboという人形(あるいはカード)を読み込ませることでコンテンツが追加される。さらに「同一のamiiboを複数のゲームソフトに対応させる」「ゲーム側からamiibo側にデータを書き込む」といった要素により、より長期的に活用できるようになっている。まさに任天堂における追加コンテンツの集大成と呼ぶべき存在と言えるかも知れない。

(個人的には今のところamiiboについては詳しくないので、また何かわかったら追記修正するかも)

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>例えば改造コードなどを使っても出すことはできない
仮に出そうと思えば、追加されるデータすべてをコードに書く必要がありますからね~
ポケモンRSの例を挙げると、トクサネのトレーナーが47行、ナゾの実が最大332行…なかなかきつそうです。
でもそういうコードも以前見たことがあるような、無いような……

開発時点では影も形も無い要素を発売後のゲームに追加するという発想・技術は、近年においても活用できるのではないのかと思っています。
例えば、最近のポケモンに見られるようになったマイナーチェンジ限定要素や公式発表まで見せたくない要素(端的に言えば幻のポケモン、というかゼラオラ)を、先行作品でも受け取れるようにする方法として、RSのナゾの実追加でやったような手法を再利用する…というのを思いつきました。
具体的には、あらかじめプレースホルダーとしてダミーデータを用意しておき(?マークが浮いたようなグラフィックで全種族値1とか)、映画館などでアップデート用データを受け取ったらその枠を上書きするというものです。

まあアイテムとポケモンでは勝手が違いすぎるうえ、最近のポケモンは種族データ量が多く、そう簡単にはいかないものだとはわかっているのですが。
それでも、以前成し遂げたことが近年できなくなっているのは、もやっとした気持ちを抱いてしまいます。
ASPEAR | URL | 2018/08/20/Mon 22:39 [編集]
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