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初代ポケモン:ライバルのナッシーとウインディはなぜ弱い?
パラメータ設定から見るシナリオとゲームバランス論。

初代ポケモン、より正確には赤・緑・青版において、終盤のライバルが使うウインディとナッシーはとにかく弱い、より具体的にはろくな技を覚えていないことで知られる。ウインディは「ほえる・ひのこ・にらみつける・とっしん」で、低威力の自属性攻撃しかない上に「ほえる」で無意味にターンを潰すことも多い。ナッシーに至っては「たまなげ・さいみんじゅつ・ふみつけ」で、自慢の特殊能力を攻撃に生かすことすらもできない。


なぜこのような設定になったのだろうか。恐らくこの記事の読者の大半はこう思っているだろう。「石進化ポケモンはレベルアップで技を覚えないので、敵トレーナーが使うと弱い」と。確かにそれは半分正解だが、半分は間違いである。なぜなら、石進化ポケモンでもNPC向けの技設定がされている例があるからである。


以下がその表である。赤字で示した部分は、プレイヤーが普通に石進化させた場合は覚えられない(青までのソフトで入手できる下限レベルより低いレベルで覚えるように設定されている)、かつ最速で進化させた場合に進化前が覚えているケースも無いという技である。なお、石進化でありながら技の覚え方が異なるイーブイ系は省いている。


レベルアップで覚える技が5つ以上ある場合、基本的には実際に使われることになる最後の4つのみを記載。使用者の◎印については各トレーナー最後のポケモン、つまり技マシンを使用していることを意味する(有名トレーナーは最後のポケモンにのみ何らかの技マシンを使って3つ目の技を追加または上書きしている。ただしライバル最終戦のピジョットは例外としてゴッドバードを覚えている)。

ポケモン 主な使用者 備考
ライチュウ でんきショック
なきごえ
でんじは
マチス◎ ピカチュウLv9までに覚える技
ニドクイン ひっかく
しっぽをふる
どくばり
のしかかり
サカキ 「のしかかり」はニドクインのみLv23
他はニドリーナLv14までに覚える技
ニドキング たいあたり
つのでつく
どくばり
あばれる
サカキ 「あばれる」はニドキングのみLv23
他はニドリーノLv14までに覚える技
ピクシー うたう
おうふくビンタ
ちいさくなる
ゆびをふる
  ピッピLv31までに覚える技
キュウコン ひのこ
しっぽをふる
でんこうせっか
ほえる
  ロコンLv21までに覚える技
プクリン うたう
かなしばり
まるくなる
おうふくビンタ
  プリンLv24までに覚える技
ラフレシア はなびらのまい
どくのこな
しびれごな
ねむりごな
エリカ◎ クサイハナLv19までに覚える技
「はなびらのまい」は「すいとる」置換
ウインディ ほえる
ひのこ
にらみつける
とっしん
カツラ◎
ライバル
ガーディLv30までに覚える技
ニョロボン おうふくビンタ
のしかかり

さいみんじゅつ
みずでっぽう
  ニョロゾLv33までに覚える技
ウツボット はっぱカッター
まきつく
どくのこな
ねむりごな
エリカ ウツドンLv18までに覚える技
「はっぱカッター」は「せいちょう」置換
パルシェン ちょうおんぱ
からではさむ
オーロラビーム

とげキャノン
カンナ シェルダーLv30までに覚える技
「とげキャノン」はパルシェンのみLv50
ナッシー たまなげ
さいみんじゅつ
ふみつけ
ライバル 「ふみつけ」はナッシーのみLv28
他はタマタマの基本技のみ
スターミー たいあたり
みずでっぽう
かたくなる
カスミ◎ ヒトデマンLv22までに覚える技

以上でわかるように、有名トレーナーの使用する石進化するポケモンのうち、NPC向けの技設定が存在しない上に、技マシンによるフォローも行われていないのはニドクイン・ニドキング・ナッシーだけなのである。一応追加技「ふみつけ」があるものの、ニドクインの「のしかかり」、ニドキングの「あばれる」と比較し、威力も低い上に追加効果の怯みも素早さの面で活かしにくい。そもそも最終的な技枠が3つのみ、かつ技マシンによる補強が行われていないのも、有名トレーナーが繰り出す中ではナッシーのみである。


またウインディについても、レベル技を順番に突っ込んだだけというパターンで置換も追加も無い(カツラの場合、技マシンで補っている)。これもナッシーほど露骨ではないが弱く調整された例だと思われる(対になるキュウコンも同様だが、こちらは有名トレーナーは誰も使わない)。つまり、ライバルは最大2匹の「露骨に弱いポケモン」を割り当てられたことになる。やろうと思えばナッシーが「ソーラービーム」を使ったり、ウインディが「かえんほうしゃ」を使うことはできたはずなのである。


これが意図的なものだとしたら、なぜこのような設定になってしまったのだろうか。考えられるのは最終戦のライバル撃破後のオーキドのセリフ「ポケモンたちへの信頼と愛情を忘れている」ことを意味するものではないだろうか。ナッシーとウインディは、シルフカンパニーの時点ではいずれも未進化で、ガーディはウインディと技構成は変わらないものの、ナッシーについては明らかに弱くなっている(実はこの時点のタマタマは攻撃技を持っていないのだが、持ち前の耐久力と「やどりぎのタネ」でかなりしぶとい)。レベルだけは成長したが、それにふさわしい強さを身に付けていないポケモンがいるのは、ライバル自身の不徳によるものというわけだ。


もうひとつ、ゲームバランス的な観点からも「意図的に弱いポケモン」を途中にはさむことには意味があるはずだ。これは田尻智氏のゲームバランス論に他ならない。難易度は一直線に上げるだけではなく、一時的に落とすことで緩急をつけるのが田尻流である(何かの本に書いてあったはず、見つけたら追記予定)。わかりやすい例が『ヨッシーのたまご』で、ゲームA(エンドレスモード)では落下速度が徐々に上がっていくが、時々遅くなるのである(初期設定をレベル5にすると、レベル6に上がった瞬間に遅くなるので分かりやすい)。ちなみにライバルがナッシーとウインディを両方使うのは、カメックスを選んだパターン。カメックスは威力120の技を2つ持っている(ハイドロポンプ、ふぶき)ので、その分だけ他を弱くするのはバランスが取れている。


以上のように、最終ボスであるライバルが露骨に弱いポケモンを使用していることについては調整ミスなどではなく、シナリオ及びゲームバランスの面で明確な意図があってそうしたことだと僕は考えている。逆に言えば、ピカチュウ版において隙が無くなってしまったのは、あるべき形に調整されたというよりは田尻氏の意図を離れた結果なのではないか、と考えることもできる。『金銀』以降はシリーズに対して初代ほどは深くは関わっていないとささやかれるのだが、実は『ピカチュウ』の時点でその兆候が見られるのである。


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なんというか…
的外れだな

習得技の不可解な点は、こういった観点以外(モンジャラのつるのムチのような、設定上覚えるべき技を覚えない例)からも指摘できるし、結論ありきで無理やり感がある
Nameless | URL | 2018/06/13/Wed 07:34 [編集]
今回は石進化に絞っての話なので、それ以外はまた別の話。
技設定に関する疑惑としては「にらみつける」検証も過去にやったので興味あったら読んでね。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~kakeru/pokemon/leer.htm

つるのムチについては「PPが異様に少ない」「なぜか蔓要素のないフシギダネ系が覚える」という点も不可解で、
何らかのデータ・名称の差し替え疑惑もあるが、サンプルが少なすぎてなんともいえない。
かける | URL | 2018/06/13/Wed 12:05 [編集]
深読みのし過ぎという話
あと、基本的に技の設定は西野さんでしょ
Nameless | URL | 2018/06/13/Wed 12:24 [編集]
考察してる人が陥りがちな、細かいことにも合理的な理由を求めるという罠にかかってしまっているように見える。

露骨に弱いのがいるのは他のジムリーダーや四天王にも言えることで、ウインディとナッシーにフォーカスするのはおかしい、といのが自分の主張。
Nameless | URL | 2018/06/13/Wed 12:37 [編集]
「難易度の緩急」という話ならライバル以外にも当然言えることだし、
田尻さんの流儀はゲーフリという狭い集団内なら共有されていてもおかしくはない。
…という具合に、この手の深読みするからにはそれなりに理論には強度を持たせているつもり。

ライバルについては何度も戦うことになって特に目立つから題材として選んだ次第。
最初から通しての深読み考察という企画も進行中。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~kakeru/pokemon/read.htm
かける | URL | 2018/06/13/Wed 13:10 [編集]
ゲームバランス上緩急をつけるという話はまあ分かるとしても、それをシナリオ上の話に結び付けるのは少々飛躍しているのでは、と感じました。
例えば、妙に弱いポケモンを使うトレーナーはライバル以外にも散見されますが、じゃあその人たちも「ポケモンたちへの信頼と愛情を忘れている」のか?という話です。

でもどうでしょうね、ポケモンたちへの信頼と愛情を重視する風潮はピカチュウ版から金銀にかけて強くなっていきますが、初代ではその風潮もさほど強くないようですし。
そういえば、エリカが戦闘後に「私はきれいなポケモンしか欲しくならない」という趣旨の台詞を言ったことを思い出しました。(バージョンは忘れました、もしかしたらリメイク後かも)
有名なトレーナーでも、ポケモンを強く育てるばかりではない、信頼と愛情を重視するばかりでもない、というのは案外あり得るのかもしれません。
そう考えると海外展開を意識した最近よりも、ポケモンとトレーナーの関係においては初代の方がよほど多様性にあふれているのかもしれません。
ASPEAR | URL | 2018/06/23/Sat 17:30 [編集]
そもそも戦いのためにポケモンを育てているわけではないトレーナーというのは、セリフを読む限り少なくなさそうですね。
メッセージでは「勝負をしかけてきた」でも実際は見せびらかしたかっただけ、みたいな例もありますし(怪獣マニアや女性に多い)。
名ありトレーナーに関しては全体的にしっかりした印象。
どう考えてもプレイヤー側のポケモンが倒されるケースが思いつかない程弱いのはシバのイワークくらいでしょうか。
余談ですがエビワラーは舐めたことしてるとカウンターで倒されたりします(特にミュウツーでPP節約にスピードスターを撃ったりすると起こりがち)。
ちなみに四天王では、シバとキクコのみ相性判定ルーチンが抜けているのが絶妙なんですよね。
だから水タイプが冷凍パンチで凍ったり、エスパータイプでも夢食いを受けたりするわけです。

「信頼と愛情」については、そもそも当初のデザインでは捕獲よりも交渉による仲間システムが主眼だったことからして、
後の世代ほど押しつけがましくないだけで初代でも強い要素だと思いますけどね。たとえば悪役であるロケット団の描写とか。
エリカについては確認しましたが戦闘後の台詞として初代でも存在します。
ただそれに関しては「そもそもウツボットとかラフレシアってきれいなのか?」とプレイヤーに突っ込ませるための(エリカの天然キャラを強調する)台詞かも。
かける | URL | 2018/06/25/Mon 16:15 [編集]
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