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ダビスタ難民の見た『モンスターファーム』
育成シミュレーションゲーム論みたいなもの。割と長文かも。
1990年代の半ばごろ、競走馬育成シミュレーションゲーム『ダービースタリオン』シリーズ(以下「ダビスタ」)がちょっとしたブームになった。いや、ダビスタというよりも競馬自体のブームと言ったほうがよいかも知れない。子供の目から見ても、例えば週刊少年ジャンプの『みどりのマキバオー』をはじめとして、少年雑誌(当然、馬券を買えない未成年が主な読者層である)に競馬漫画が連載されたりもしていた時代である。

当時小学生だった僕も、きっかけは覚えていないがスーパーファミコンの『ダビスタ3』を購入してプレイしてみた。言い出したのは弟のほうだったような覚えもある(実際、一緒にプレイしていた)。説明書を読みながらプレイを開始したのだが、まず最初の種付けで戸惑ってしまった。最初に持っているのは1頭の繁殖牝馬のみで、これに種付けして子馬を産ませないとゲームが進まないのだが、初期の厳しい資金事情を考慮しても種牡馬には数十頭の選択肢がある。そして、何を選ぶべきかについてゲーム内でアドバイスはしてくれない。一応、種付けすると「クロスが効果的ですね」「危険な配合です」などのコメントが出る場合もあるが、いずれも曖昧な上に事後であり助言にはなっていない。

とりあえず肯定的なコメントが出た種を付けて首尾よく子馬が産まれたとしても、その具体的な能力は可視化されていない。産駒の売値が最初の目安(ただし早熟の度合いで釣り上がる)で、成長するにつれて「スピード感あふれる走り」「抜群の勝負根性」のようなコメントである程度の強さはわかるが、コメントが出るかどうかはランダムで、また出たとしてもどれほど優れているかの度合いはわからない。

そして、最大の難関は入厩後に訪れる。そう、調教である。走らせるコース、鞭入れの強さ、単走か併せかという選択肢の多さだけでまずは混乱してしまう。一応説明書にも概要は書いてあったはずなのだが、それぞれの調教結果によってパラメータがどう変動したのかはやはり不可視なのである。さらに調教をすれば疲労は溜まり、コンディションも上下する。幸い、新馬戦は毎週のように行われているので、たまたまコンディションが優れた週にぶつけることで解決はするのだが、仮に勝ち上がったらレースのスケジュールを考慮しながらコンディションを調整することは必須となる。

そして訪れた新馬戦。まず勝てない。それはいいとしても勝てなかった原因がわかりにくい。単純にスピード能力が不足していたのか、スタミナ切れでバテたのか。あるいは勝負根性がなくて競り負けたのか、気性難で入れ込んでしまったのか。レースを見るだけで何が悪かったのかを判断するのは容易ではない。実は初心者が最も陥りやすい敗因は「体重不足(それによるスタミナ低下)」だと思われる。というのも、調教師は太り気味であることはしつこく指摘するのに対し、馬体を絞りすぎたことについては全く指摘してくれない。競走馬の適正体重なんて知らないプレイヤーは「気合も乗って絶好調です」と言われたら信じるしかないのだ。

そういうわけで、ゲームを買ったばかりの僕たち兄弟は、何度もゲームオーバー画面の「破産」の二文字を見ることになった。たまらず攻略本を買いに行き(本筋からずれるので深くは触れないが、現実の競馬にも踏み込んで非常に読み応えのある本だった)、とりあえず配合に関しては大分マシになった(むしろ、ニックスやインブリードを考慮した長期的な配合プランを立てるのが面白かった)。しかし調教は相変わらず難しく、能力的には優れていたはずの馬を思うように活躍させられないことが続いた。

その後もプレイを続け、かろうじて短距離G1をいくつか制覇したものの、最終目標である全G1の制覇は到底無理だと判断して、いつしかゲームを投げ出してしまった(後に弟はPSで発売された97年版を好んでプレイしていたが、横で見ていた限りではおまかせ厩舎が強力すぎて、SFC版とは対照的に「なんで勝てたのかわからない」という形でプレイヤー介入の度合いが薄いゲームとなってしまい、あまり興味を持てなかった)。

僕にとって『ダビスタ』が難しいと感じたのは、プレイヤーの選択と、それによる結果の因果関係が曖昧で、失敗した場合の改善方法を導き出すのが困難だったという点に集約できる。もちろん現実の馬に具体的なパラメータ表示があるわけもないし、ベテランの調教師でも敗因を完全に把握できるわけもない。シミュレーションとしてはリアルで、むしろゲーム化するにあたって簡略化されたり、プレイヤーの都合に合わされている部分も非常に大きいだろう。しかしゲームとして攻略する、すなわちトライ&エラーを繰り返すものとしては、少なくとも僕にとっては厳しい匙加減であった。

ダビスタによって育成シミュレーションというジャンルに出会い、確実に面白いと感じた。しかしその設計思想というかゲームとしてのあり方というか、ともかくそういったものが根本的な部分で受け入れられず、志半ばで投げ出してしまった。そんな悶々とした気分の中、颯爽と登場したゲームが『モンスターファーム』(以下『MF』)である。

『MF』は、あらゆるCDから「モンスター」を誕生させることができるというのが第一の売り文句であった。当時は邦楽CD売り上げの全盛期で、さらにプレイステーションやセガサターンといったCD-ROMを採用したゲーム機が市場を席巻。さらに家庭用パソコンでもCD-ROMが一般化。パソコン自体の普及率は発展途上だったが、電気屋に行けば体験版やデモ用のCD-ROMを無料配布していたので集めて廻ったりした(余談だが、僕は純血ガリをこの方法で見つけた)。このように、日常生活の様々なところにCD(モンスター)は潜んでいたのだ。

最初は、CDから再生したモンスターを直接戦わせる、過去の例で言えば『バーコードバトラー』(これについてはまた別の機会にがっつり語る予定である)のようなゲームだと思っていた人は多いと思う。しかしこのゲームの重要な要素は「育成」にあった。モンスターには寿命が設定され、週単位で進行する時間の中で適切に調教し、決まった週に開催される試合のためにコンディションを整えなければならない。そう、基本的な構造は『ダビスタ』と一緒で、それをより単純化した形である。

同ジャンルである『ダビスタ』と比較したとき、最大の違いはパラメータの可視化にあるといえる。全ての基本パラメータは数字で明示され、増減量もはっきりと示される。試合でのダメージもしっかり表示されるので、負けたとしても火力不足なのか命中不足なのか耐久不足なのか、あるいは間合いごとの技が無いのがよくなかったのかというのが明確にわかる。ゲームとしては非常にとっつきやすく、攻略し甲斐のある内容となっている。

実在のサラブレッドから架空のモンスターに育成対象を変えたことで、ゲーム進行もよりシンプルになっている。例えばモンスターは生まれた瞬間から戦うことができる設定で、誕生からデビューまでのタイムラグがない。引退後の能力継承も繁殖ではなく「合体」、それも能力継承というよりは新種族を作るという意味合いが強い。また、任意のタイミングで「冬眠」させて、寿命を維持したまま時間を経過させることも可能となっている。

さらにプレイヤーを有利にする要素としてはアイテムの存在がある。資金さえあれば無制限に使用でき、疲労やストレス回復はもちろん、ドーピングによって無制限の強化も可能である。ドーピングは寿命を削るが、さらなる抜け道として寿命を延ばすアイテムまで存在するという始末である。育成シミュレーションゲームの肝であり、ジャンルに慣れないプレイヤーを遠ざけてもいる「時間との戦い」という要素が限りなくマイルドにされているのである(バランス面でいえば、年数が進まないと量産できなかったり、入手困難なレアアイテムだったりして、救済措置としては妥当だろう)。

「能力の可視化」「時間のコントロール」という要素によって、育成シミュレーションとしては難易度がかなり低く抑えられているので、ゲームとして消化するのも早かった。ゲーム内でSランクになり、施設拡張や探検地の障害物撤去をコンプリートし、合体で作れるモンスター(限定CD以外の種族)は全て図鑑に登録し、オール999を何体か育成したところで一区切りが付き、十分に達成感を味わい尽くすことができた。

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ここからは『モンスターファーム2』に対する愚痴になる。前作を一通り遊びつくしたので、当然ながら続編にも大きく期待しており、僕としては珍しく予約して手に入れたのだが、その期待は悪い意味で裏切られた。

・モンスターが突然死する
最初に違和感を覚えたのがこれ。助手のコルトが引退時期を教えてくれないので、何の前触れも無く突然死する。このため、何をするわけでなくても定期的にセーブしないと安心できないゲームになってしまった。

・隠しモンスターが多すぎる
これのどこが問題なのかといえば、初期状態で再生できないCDが多すぎるのである。ゲーム開始直後、さっそく家中のCDを試してみようと思ってもかなりの割合で再生不可のものが出る。ちょっと興ざめである。

・モンスター保有枠が少なすぎる
前作と同じ10枠しかない。メモリーカードは1ブロックなので仕方ないが、占有ブロックを増やしてでももっと多くの枠は作るべきだった。特に本作では、イベント後はCDが無ければ再生できない種族が多い上に、それらが合体のサブに関わる例も多いのでうかつに手放せないという息苦しいゲームになってしまった。

・アイテムを週に1個しか使えない
アイテムに関しては前作が自由すぎて、育成シミュレーションとしてはこのくらいがむしろ妥当なのかも知れないが、冒頭から述べているように『ダビスタ』から逃げてきた難民としては今さら辛口にしなくてもいいだろうと思った部分。前作では資金さえ十分なら簡単にできたオール999も、綿密な計画性とリセットマラソンが必要となってしまった。対戦のハードルを必要以上に上げなくてもいいのに。

以上のように、前作のあらゆる部分が好きだった僕としては気になる部分ばかりであり、結局はエンディングすら見ることなく投げ出してしまった(調べてみると、もっとひどいバグとかも色々あるらしい)。しかしながら前作からプレイしているようなオールドファンの間ではシリーズ最高傑作のように扱われることも多く、「1は大好きだが2は駄目だった」という人間は肩身が狭い。

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