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本とゲームのレビューと雑文が中心。

強制セーブと任意セーブの狭間に
現在では見られなくなったパスワードコンティニューを引き合いに出しつつ、ゲームにおけるセーブシステムを語る。
現在のゲームソフトのセーブ方式は、大きく分けて強制セーブ任意セーブがある。

強制セーブはオンラインゲームであればほぼ標準の仕様となっている。リセットしても結果は覆されない(システム的には、結果が画面に表示される前にセーブされているはずだ)。戦闘で敗北すれば相応のペナルティ(出撃コストが無駄になる、一時的な弱体化、甚だしい場合はキャラロストまで)が発生したり、キャラやアイテムの強化に失敗すればリソースを失うこともある。失敗のリスクと成功のリターンを天秤にかけたプレイヤーの選択がゲーム性となっている。オフラインでも、例えば古典的ローグライクは原則としてやり直し不可の冒険であるという前提になっている。またポケモンシリーズのバトル系施設のように、特定の条件下では強制セーブ(勝手にリセットした場合は敗北扱い)のルールが課せられる場合もある。

一方、オフラインゲームの多くは任意セーブである。敗北などの不都合な事態をリセット&ロードで回避できる。そもそも敗北時点で強制的にセーブポイントにロールバックされる例も多いだろう。このようなシステムは、失敗を前提として何度でもトライアル&エラーを繰り返すというゲーム性になっている。往々にしてシステムは複雑になり、キャラ編成のカスタマイズや戦闘自体を楽しむというゲームになりやすい。最悪リセットでなかったことにできるので、失敗を恐れずに色々と試せるというわけだ。なお不意の電源切断(あるいは、オンラインゲームに慣れた人のセーブ忘れ)に対応したレジューム機能(自動的にセーブされたポイントからの復帰)が用意されている場合もあるが、その場合でもレジュームポイントとは別に任意セーブポイントまで戻れるようになっているのが普通である。

かつて用いられていたパスワードコンティニュー(進行状態を文字列にして、プレイヤー側が書き留めて再開時に入力する)というのは、「リセットせず、ペナルティを受け入れてそのまま再開する」か「リセットして、パスワード再入力でロールバックしてペナルティを無視する」のどちらかを選択することができる。ペナルティなら無いほうがいいと思いがちなのだが、パスワード入力にはそれだけで時間や手間がかかる。ノートと画面を照らし合わせる面倒な作業をプレイヤーに強いることになるのだ。

特に『ドラゴンクエスト』シリーズでは「所持金が半分になる」「主人公以外は生き返らない(蘇生には別途費用がかかる)」という、シンプルながらも絶妙なペナルティによってプレイヤーに選択を迫る。リセットしない場合とする場合についてのプレイヤー側のペナルティを簡単にまとめると以下のようになる。

リセットしない:お金の半分を失う。さらに仲間を蘇生させる費用が必要。
リセットする:パスワードを再入力する手間がある。最終パスワード以降に得たアイテムや経験値は無くなる。

『ドラゴンクエスト2』ではパスワードは最大52文字に及び、再入力にはかなりの手間がかかる。一方で『ドラゴンクエスト3』においては、従来の全滅ペナルティを引き継いだままバッテリーバックアップを採用、つまりリセット後のロードを一瞬で出来るようにしてしまったので、ペナルティを甘受するか手間をかけてコンティニューするかという均衡が崩れてしまった部分がある。アイテム探しや経験値稼ぎ目的でダンジョンに潜る場合ならともかく、最短で突破する目的なら逃げに徹して、クリアの見込みがなくなればリセットするという攻略法が最善なのである。

当時多くのドラクエフォロワーも含めて、このあたりの調整に難儀していたと思われる。リセットするか否かというトレードオフは、コンティニューに相応の手間がかかっていたからこそ成り立っていたということに気づかなかったのだ(『ファイナルファンタジー』が画期的だったのは、1作目の時点で「全滅=リセット」を取り入れた点である)。『ドラゴンクエスト4』においては、AI成長システムの含みも持たせつつ「むやみにリセットしないほうがいい」と説明書に明記されるようになったり、以降のシリーズでも難易度自体を見直して全滅しにくくしたり、あるいは無料での蘇生を増やしたりという工夫が見られる。近年のシリーズではよほどのことが無い限り「リセットしたほうが得」という場面はない。

途中から脱線してDQ語りになってしまったが、近年のゲームにおけるセーブと再開、失敗ペナルティの扱いがどうにも両極端なので、かつてのパスワードシステム(それ自体が技術的に苦肉の策だったのだろうが、「手間」とペナルティを天秤にかけることで独特のバランスを作り出していた)のように両者の特徴を備えたシステムができないものかと思った。特に結論はない。

(名目上は強制セーブだがタイミングが限られいるので、適切なタイミングでリセットすることでペナルティを無視できる『ウィザードリィ』の話も入れようと思ったがうまくねじこめなかった。特に家庭用においては、今のゲーマーには理解しがたいであろう「リセットについての是非を問う談議」もあったりして、これはこれで興味深い題材なのでまたの機会に)

余談:
日本のゲーマーは死亡(敗北)時のペナルティのことをしばしば「デスペナルティ」と呼ぶが、これは和製用法。本来のデスペナルティの意味は「死刑」であり、全く異なる意味合いである。なので個人的には使いたくない用語なのだが、検索で引っかかることを期待して一応ここに書いておく。

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