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18年目の「ポケットモンスター金銀」
VC配信が決定して活気づいているポケモン金銀。
当時、初代を遊びつくしたと自負していたプレイヤーが新要素に対して抱いた感想を、今の言葉で綴ってみる。

前作との通信交換可能!


新作の発表当初から明言されていたとはいえ、これは単純に凄いことである。外部メモリ等を介さずに、ゲーム内の通信交換のフォーマットでそのまま次回作とも接続可能というのが素晴らしい。

もっとも同じGBソフトでも、同様のことは『ウィザードリィ外伝』シリーズで既にやっている。しかしあちらは一方的な転送に対してこちらは「交換」である。つまり、一方的なコンバートではなく逆に前作に戻すことも可能になっており、新旧作を行き来しても情報が失われることはほとんどない。これは前作の時点で未使用領域を含めて膨大な内部データを持っていたから可能だったわけで、前作とのデータ上の矛盾もなく「特攻と特防の分化」や「色違いの登場」といった新要素を取り入れたのは見事という他ない。

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タマゴについて


まずは「ポケモンのタマゴは今まで発見されていなかった!」という設定には大いに白けた。『ポケットモンスター図鑑』などの設定を持ち出すまでもなく、前作のポケモン図鑑のテキストにおいてもタマゴにははっきり触れられている(アーボが卵を捕食するとか、アズマオウの産卵とか)のに、何を今さらというのが正直な感想だった。

また、ポケモンはあくまでもリアリティのある生物として描写されていたので、別の種であってもタマゴを作れるという点には当初かなりの違和感があった。後に公式攻略本で「タマゴはどこから来るのかわからず、本当の意味での『卵』であるかすら不明」のような設定が明かされたが、それでも腑に落ちない部分は大きかった。

システム的な面で見ると、1匹しか手に入らないイーブイや、捕獲自体が困難なポケモンもタマゴで簡単に増やせるというのは、トレードにおいて重要な概念である希少価値を削るものであるのでちょっとどうかと思ったが、当たり前のように周回プレイするヘビーユーザーとそうでないライトユーザーの間で元々ギャップはあったので自然に受け入れられた気がする。例えばイーブイの進化先がさらに増えたのは、タマゴによる繁殖ありきの要素だろう

総合的には、当初はあまり好きになれなかったが、次第に受け入れることができた要素である。

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時間帯システムについて


「内蔵時計と連動してゲーム内の時間が変わる」というのは、GBA版と比較して金銀の良かった点として挙げられやすいが、個人的にはあまり好きではなかった。昼夜の切り替わり自体はともかく、それが影響を及ぼす範囲があまりに狭かったからである。具体的には野生ポケモンのエンカウント以外に及ぼす影響が極めて少なく、特に人物にはほとんど影響しないので生活感が大幅に薄れてしまったのが嫌だった。

もちろん、リアルタイム連動を前提にした以上は時間帯という要素を厳密に適用してしまうと面倒さばかりが際立つ。特定の時間帯にしか施設が利用できなかったり、人がいないので情報を入手できなかったり、あるいはイベント自体の進行が出来ないのは不便には違いない。しかし、そのような部分を割り切ってまで取り入れるような要素だったのだろうか。

その上、ゲーム内と現実では時間のスケールが違う。隣の町まで数十秒で移動出来たり、地方を一周してもせいぜい十数分程度だったり、挙句には「そらをとぶ」という名の瞬間移動まで多用される。プレイヤー視点では時間をカットできるのに、ゲーム内の時計は現実と同じ進み方しかしない。今朝旅だった主人公が日が暮れるまでにチャンピオンになったり、生まれたばかりのポケモンが1日もせずにLv100になったりもする。

箱庭系ゲームならまだしも、様々な地域を冒険するRPGにリアルタイムと同じ時間設定をするのは無理があった。実際にリアルタイム連動を採用したRPGが決して多くないことからもわかる(オンラインゲームやオープンワールド系ではよく見られるが、大抵は「リアルの1時間=ゲーム内の1日」のように圧縮している)。なお、初代ポケモンにおいて時間の概念をぼかすことで生まれた効果については別途記事を書いているので参考までに→なぜポケモンのゲームに宿屋は無いのか?

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なつき度


「ポケモンを大事にすると懐いてくれる」という触れ込みなのだが、実際はドーピングやパワーレベリングで簡単に上げることができ、放置しても下がらないし、そもそもなつき度が影響する要素自体が極めて限定的なので大抵の場合は気にする必要すらないという意味で、本来のフレーバーが置き去りになっている。正直かなり問題のある要素と言える。

もともと前作の時点で「ポケモンが主人公の言うことを聞く」という部分に関してはゲーム進行の関係上、相当に都合よく設定されている。本来であれば「懐いていないと言うことを聞かない」となるべき部分が、ゲームをシンプルにするために敢えて省かれているのだ。言い方を変えれば主人公とポケモンの関係性はプレイヤーの想像に委ねられている部分であり、下手に数値化してゲームに出すべきではなかった

なつき度についてリアルに設定するとゲームが大変に不便になってしまうので、結果としてゲームシステムとしては存在意義が薄く、フレーバーとしても本来のイメージとはかけ離れた数値になったので蛇足な要素だったと思う。唯一褒められるのはライバルの成長を(クロバットという形で)間接的に描写した点くらいだろうか。これも昼夜と同様に、フレーバー面とプレイヤーの利便性を両立しようとしてちぐはぐになった要素だと言える。

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カントー地方に行ける!


これは当初、かなりうれしいサプライズだった。まず発売前の時点で「金銀と初代を行ったり来たりして遊んでね」的なことを開発者がインタビューで語っていたので、「赤緑青ピカではカントー、金銀ではジョウト」のように別々に遊ばせるものだとばかり思っていた。実際に金銀を遊んで、波乗りを手に入れてワカバタウンから東に進んだ時にマップを確認すると、その時点ではセキエイより東側にカーソルを合わせることができないので、前作の舞台はマップだけの登場だと思っていたのでうれしい誤算。

金銀のカントーは地形があちこち削られていて残念という声もよく聞くが、個人的にはなくて当たり前の要素なのでいかなる形でも満足。シオンのラジオ塔のようにかなり強引だと感じた部分も無いわけではないが。ただ、レッドとグリーンの名前については未だに納得できない部分がある(参考記事:初代ポケモンの主人公とライバルの名前について)。

カントーにおける重要施設と言えるのはトレーナーハウス。不思議な贈り物に連動する要素なのに、敢えて(同機能が解禁される)コガネではなく、クリア後シナリオの終盤ともいえる場所に置いたのにはセンスを感じる。早い段階から友達と通信プレイをしていた場合、不意打ちのようなタイミングで友達の分身がゲーム内に現れることになる。擬似的な通信対戦でもあり、経験値も入ることからお得な稼ぎ場にもなったり、ドーブルで技をスケッチするのにも使える。シンプルながらも、プレイヤーの工夫次第でいくらでも利用できるというとても楽しい要素だ。

ところでシロガネ山の奥にいる「レッド」なる怪人物との戦いについては、今では「カントー地方の冒険で聞いた噂をもとに、金銀の主人公の脳内で作り上げた最強トレーナー像とのイメージトレーニング」ではないかと想像している。かつてのプレイヤーの分身である前作主人公が実家にも帰らず旧友にも会わずに近所の山に引きこもっている設定は嫌だ。もちろん死亡説も論外。どうせゲーム内にはっきりした形で登場しないのであれば、狭いカントー・ジョウトを離れて広大な土地を冒険していると考えたほうが楽しいではないか。

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私は金版が初プレイだったのですが、ソフト紛失で最後までプレイできなかったので、
今回のVCにより今の知識をもってしてやり直したいと思っています。
以下では当記事で話題にされたいくつかの要素について、あれこれこねくり回してみた考えを返信してみます。

>タマゴ
実は育て屋で見つかるタマゴは、育て屋が親の遺伝子をかけ合わせて作った人工の産物……というトンデモ設定を思いつきました。
さすがにそれは冗談としても、野生のポケモンと人と共に生きるポケモンでは振る舞いが異なるのかもしれません。いつぞやのバトルパレスでもそんな説明があったような……
もともと初代の時点でほとんどのポケモンが物真似を使えることなどから、すべてのポケモンが同質の存在であるように思えてきます。
(物真似を覚えないポケモンはたいてい進化で覚えるようになる、唯一進化しないメタモンは強化物真似というべき変身を覚えている)

野生のポケモンが生物として振る舞うのならば、人と共に生きるポケモンはより概念としての振る舞いを見せるのかもしれません。
先に挙げた物真似もマシン技で、初代ではだれも自力習得しませんし。

それから、育て屋で繁殖可能かどうかで伝説とそれ以外の区別を明確にしたという側面はあるでしょう。アンノーンという例外はあるにせよ。

>時間帯
昼間に学校や仕事がある大部分のプレイヤーにとって、主なプレイ時間が夜になってしまうという問題はありますね……
24時間ぶっ続けでプレイが非現実的な以上、ゲーム内の時間は抽象化すべき(プレイしていない時間を夜と思うとか)だとは思っています。

>カントーと伝説のトレーナー達
世界観上の問題としては、正体不明なのでいくらでも言い繕える白銀山のトレーナー(いわゆる「レッド」)より、むしろ社会的地位があり他者から「グリーン」と呼ばれている新トキワジムリーダーの方が大きな問題となる気がします。
白銀山のトレーナーはHGSSだと旧友にだけは会っている様子ですが、どのみち実家には帰っていないようで……
白銀山のやつは非実体系の存在(俗にいう幽霊的な何か)だが、本当の初代主人公は別の場所に健在とかだとそれはそれでSCP的な現代ホラーの雰囲気を帯びてきます。
もともと伝説のトレーナーの名前が何であるとか(レッドとかグリーンとかサトシとかシゲルとか任意入力とか)、性別とか(FLで女主人公を選べる)経歴などがどう伝わっているとか、人間の認識なんて曖昧なものかもしれません。
そういうことをつぶやいている人もいました。
twitter.com/586/status/781846862173122560
twitter.com/586/status/898900442301648896

まあ初代と金銀は別世界、ということにしてもいいといえばいいとは思いますが。
物証はありますし、そういうファンの考察も見かけますし。
www.gamefreak.co.jp/POKEMON/Q&A/Q&A_3/QA_3.HTM
fusetter.com/tw/Qnl0i
ch.nicovideo.jp/kaeru_boiled/blomaga/ar753562
ASPEAR | URL | 2017/09/10/Sun 00:46 [編集]
記事とは直接関係ないのですが、物真似に関連して面白そうなことを思いついたので書いておきます。
物真似による二重変身を応用すれば、メタモンだけでなく任意の種族に対して個体値をコピーできそうな気がしました。

・用意するポケモン
(A)目的の個体値を持ったポケモン(FFFFの公式ミュウとか、EAAAの色違いギャラドスとか)
技:変身のみ、覚えなければ物真似のみ
状態:毒か火傷
(B)相手を眠らせるポケモン
技:キノコの胞子、他は適当
(C)目的の個体値にしたいポケモン
技:物真似のみ

・手順
Aを先頭にし、野生のメタモンに出会う
Aの物真似、メタモンの変身
笛でも吹いて時間稼ぎ、メタモンの変身で個体値コピー
Aが毒か火傷で自滅するまで、そのまま笛を吹き続ける
Bを場に出し、キノコの胞子でメタモンを眠らせる
BをCに交代させる。ここでメタモンが起きたら最初からやり直し
Cの物真似で変身をコピー。たとえメタモンが起きても、このターンは変身を使えないので続行できるはず
Cが2回変身して個体値をコピー

他に、目的の個体値にしたいポケモン(C)が変身を覚えるなら、目的の個体値を持ったポケモン(A)が自滅した直後に出すことで催眠要員(B)を省略できます。
この方法で公式ミュウの個体値をFFFF以外に(それこそ色違いにも)変更できそうです。
ASPEAR | URL | 2017/09/10/Sun 00:51 [編集]
ポケモンごとの共通の振る舞いというのはゲームのデータとして扱う以上は当然という部分が大いにあるので、それを生物的な部分にまで適応してしまうのはちょっと考え物かも知れません。
特に物真似については、もともとゲーム内でも人間の特技として登場しますからね。
そういえばヤマブキジムには「サイコキネシスをマスターしてポケモンに覚えさせようという祈祷師」がいたりするので、物真似のマシンについてもそれと同様なのかも。

物真似による個体値コピー、以前試してみたのですができませんでした。どうやら野生として出てきた敵側のみのようです。
かける | URL | 2017/09/10/Sun 10:13 [編集]
>グリーン
名前はともかく、初代の時点でキャラ立ちがしっかりしていましたからね。
オーキドの孫にして元チャンピオンという彼の落ち着く先として、実家近くで空席になったトキワジムリーダーというのは個人的には非常にしっくりくるものでした。

いくらパラレルワールドと割り切るとはいっても、仮にもプレイヤーの分身だった「主人公」と比べると格段に使いやすいキャラなんだろうと思います。
かける | URL | 2017/09/10/Sun 11:30 [編集]
>物真似
検証ありがとうございます。つまりVC産ミュウは正規には色違いになりえない……と

さておき、生物的な部分を強調したいのであれば、マルマインにパンチやキックをさせる技など作るなという話になってしまうでしょう。
もともとこの技自体が単独プレイと通信対戦で異なる効果を持つ(だっけ?)など、やけに複雑なものですし。
技教え人はクリスタルが初登場でFLにも存在しますが、初代の時点ですでに「人がポケモンに技を教える」という発想があったことは興味深いです。

>グリーン
まあとりあえず、ニックネームか偽名か通称のようなものと思っておくことにしましょうか。
あるいは、某漫画の「緑川」姓を借用するのも一手でしょうか。これだとオーキドは母方ということになりますがたぶん大丈夫なはず(曖昧)。

もともと我々プレイヤーは、主人公という端末を通してしかポケモン世界と関われないのですし、当然ゲーム画面に映し出される世界は主人公や身近な人物の主観や知識の偏りが入ったものになるはず。
並行世界というのも、SF的な仰々しいものというよりは、むしろ他者との認識の違いという解釈の方が人によってはしっくりくるかも。
関連した考察を見つけて以前チャットで上げたのですが、備忘録がてら再度上げておきます。
report-nunipoke.blog.jp/archives/1041778942.html
ASPEAR | URL | 2017/09/10/Sun 21:21 [編集]
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