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書評:屍鬼
現代を舞台にした吸血鬼との戦い。オカルトよりSF寄り。


現代(1990年代くらい?)の日本を舞台にした吸血鬼物語。
吸血鬼の存在は物語や伝説によって有名ではあるが「そんなの現実にいるわけがない」という常識が支配する世の中。
その常識の裏をかき、そして閉鎖的な村社会を隠れ蓑に、屍鬼(吸血鬼)が夜の闇から忍び寄る。
正体を知った若き医師は生き残れるのか?そして村を守れるのか!?

前半は「村人が死ぬ→今年は暑いからねえ」という展開がひたすら繰り返されてやや退屈。もっと圧縮できなかったのかな、と思う。後半のキーとなる伏線は登場しているものの、屍鬼の正体に気付くあたりからが本編開始といったところだろう。

物語はひたすら屍鬼優勢で進む。特殊能力と「常識」の壁を武器に「え、こいつも死んじゃうの?」と思うまもなく人間側が追いつめられていくので、逆転の皮切りになったシーンは爽快。

屍鬼の存在が単なるオカルト的なものではなく、それなりに科学的なものとして設定がされているのが良かった。この設定でSFっぽく何作か派生作品を作れそう。

屍鬼に感情移入する向きもあるみたいだけど、自分は純粋に人間vs魔物のバトルものとして受け取った。屍鬼の特徴が明確に設定されているので能力バトルの一種かも知れない。屍鬼が人間の命を糧にしなければ生きられない以上、いかに知的な生物であっても人間側から見れば「害」に過ぎず、駆除されるか共倒れになるしかない。人間としては前者の道を選ぶのは当然だろう。

そういう読み方だったので、ラストはやや煮え切らない感じがした。お互い相容れない立場で「戦う」覚悟を決めた者同士、決着が付かないまでも直接対決はして欲しかったものだが。「業を重ねながらも共存の可能性を探る?」みたいな前向きな見方も出来なくは無いのが救いかも。

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