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書評:学級通信活動のすすめかた
あの田尻智の恩師による著作。



(注:ほぼ同様のレビューをAmazonにも投稿したが、バックアップとしてブログにも投稿)
大きく分けて二部構成になっている。
前半は米沢市の原田実先生によるもので、市内のさまざまな小学校の学級通信を順不同で紹介している。
後半は町田市の谷田川和夫先生によるもので、こちらはご自身の受け持ったクラスにおける学級通信を時系列順に紹介している。

教職ではない僕がこの本を手に取った理由は、『ゲームフリーク 遊びの世界標準を塗り替えるクリエイティブ集団』で本書が挙げられていたので興味を持ったため。
後半部分を手がけた谷田川先生は、後に『ポケットモンスター』を開発することになる田尻智さんの小学校時代(5・6年次)の担任の先生なのである。
そして、本書にて取り上げられた学級通信は、まさに田尻少年の在籍していたクラスのものなのだ。

田尻氏の話は一旦おいておき、全体のレビューから入る。
本書の大部分は、学級通信の一部を抜粋して書き起こしたものになっている。
学級通信といっても先生が書いた文章を児童と保護者に配布するだけではなく、児童自身も記事を手がけているのが特徴。
本書に掲載された大半は先生自身の文章だが、中には児童が書いた文章も一部掲載されていたり、
あるいはイラストや手書きの文字ごと、紙面をまるごとコピーして掲載したページもある。

原田学級ではなんと毎日、谷田川学級でも号数を見る限りほぼ2日に1部のペースで刷っていたようだから驚きだ。
それも、ワープロはもちろん感光式のコピー機も普及していないガリ版印刷の時代。
先生や保護者も関わるような本格的な「学級通信」をこのようなハイペースで刷り続けるとは大変な作業である。

本書の特徴は、両名による「学級通信」そのものに対する一般論ではなく、実際のクラス活動の報告という点である。
児童の立場で見ると、自分達が在籍していたクラス(ごく普通の公立校である)の学級通信、
及び担任教諭自身によるその分析が、書籍として一般に流通されるというのは不思議な経験かも知れない。
もっとも専門書なので普通の書店に並ぶような代物ではなかったとは思うが、今となっては通販で手軽に買えるわけだ。
もし当時の児童だった方が読まれたら、とても懐かしい気持ちになれるのではないかと思う。

文章自体は、学級通信として書かれたものはもちろん、それ以外についても平易で読みやすい。
専門書ではあるが一般の大人はもちろん、ちょっと文章慣れした小学生でも読み進められると思われる。
もちろん昭和46年の本なので、今の教育現場でそのまま参考にするには無理がある。
今となってはあくまで当時を偲んだり、自分の体験を比べてみることに意義がある本だろう。

ここからは個人的な話。
残念ながら、田尻氏が手がけたものと確定できる資料は掲載されていなかった。
別の本で紹介されていた、人類の祖先であるラマピテクスに関するレポートを書いたことには触れられていたが、肝心の本文が無い。
もっとも、無記名の児童による文章は何枚か掲載されているので、そのうちの何れかは田尻氏が書いた可能性がある。
本文中でも「田尻君」はしばしば言及されており、学習や学級活動に対しては積極的な児童だったことが伺える。
ミニコミ版『ゲームフリーク』と筆跡を見比べれば特定できるかも知れないが、さすがにそこまでしようとは思わない。
(138ページで唐突にインベーダーを持ち出すのは一見それっぽいが、当時の田尻少年はビデオゲーム自体を未体験のはずである)

以上、レビューにもならない雑文だが、この本をゲームマニアの視点で取り上げられる人が他にいないような気がしたので書き残す。
評価については、期待していた田尻氏の文が掲載されていなかった故のマイナス1である。

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