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「ポケモン図鑑」が開く知識の扉
「ゲームと教育」の話題をツイッターで漁っている時に思いついたネタ。
最近はどうだか知らないが、初期のブームの頃には「よくポケモンの名前や性質を覚えられるね」とか「そんなの覚える暇があったらもっとためになることを覚えればいいのに」とか、よく言われたものである。しかしプレイヤーならよくわかると思うのだが、ポケモンの知識というのは覚えようとして覚えるのではなく、遊んでいるうちに自然に覚えられるようになっているのだ。

最大のポイントは「ポケモン図鑑」である。これを完成させることはゲームの一番最初に目的として示される。新しいポケモンを捕まえることに成功すると詳しい生態が解説され、その文章はメニュー画面からいつでも閲覧することができる。「いつでも」というのがポイントで、普通ゲーム内のメッセージは特定の人物に話しかけたり、特定のオブジェクトを調べないと表示されない。そもそも一度きりのイベントでしか流れないセリフが大部分を占める。「いつでも」「何度でも」見ることができるポケモン図鑑はゲーム内テキストとしては(少なくとも当時は)非常に珍しい存在だった。いわばシナリオ進行とは独立した「テキストコンテンツ」なのである。

図鑑の文章量は最大48文字。もっともフルに使っているとは限らないし、漢字を使えない上に単語間にスペースが入るため、普通の文章にすれば正味30文字弱に過ぎないだろう。しかしポケモンは150種類もいる。全て合わせれば4000文字程度となり、ゲーム内のコンテンツとしてはかなりの文章量となる。そして1匹あたり30文字とはいっても、その30文字は限られた文字数でポケモンの生態を解説するために苦心したものなのである。密度は濃い。

ゲームの目的はポケモンを集めることなので、その結果として追加されるポケモン図鑑はいわば「ご褒美」である。珍しいポケモンや、進化が大変なポケモンの図鑑を見るのは、あたかも勲章を眺めるような気分だ。これが読みたくならないはずはない。いくら子供向けゲームの乏しい情報量とは言っても、「図鑑」である故にそれらしい表現になっている。小学生には難しい単語や言い回しも見られるかも知れない。意味がわからなかったらどうする?それはもちろん調べたり大人に聞いたりするだろう。ポケモンのおかげで知識が広がるのだ。

ポケモンを捕まえることで図鑑を読みたくなり、図鑑を読んで内容を理解することでそのポケモンのことをもっと知りたくなる。青バージョンの販売でメーカーの予想を上回る注文が殺到したのは、従来の赤緑から図鑑メッセージが一新された事が大きな要因なのではないか。当時多くのファンは「新しい図鑑を読みたい」「そのポケモンのことをもっと知りたい」と思っていたはずだ(余談だが、ファイアレッド・リーフグリーンに対して青版のリメイクがなかったことを残念がる声がある。個人的にはリーフグリーンにおいて青の図鑑説明文が再現された時点で、青のリメイクは完了も同然だと思っている。それほど青の図鑑に対する思い入れは強い)。

子供に文章を読ませる、物事を知りたいと思わせるようになる動機付けとして、ポケモン図鑑のメソッドというのは示唆に富む。教育関係者各位は是非参考にしていただきたいところである。

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