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書評:メタルマックス 爆走タンク冒険戦記(ゲームブック)
ファミコン冒険ゲームブックシリーズのひとつ。超名作RPGメタルマックスのゲームブック!

原作のゲームは大好きだが、ゲームブックについてはたまたま古本屋で見つけていなければ存在自体知らなかったであろう。この時期の双葉社は、メジャーから中堅どころにかけてあらゆるファミコンソフトをゲームブック化していたようだ。

ストーリーは原作(ファミコン版1作目)ベースだがかなり簡略化している。オードリー以降については全くの別物と考えて良い。ビックキャノンがいないのはちょっと寂しいが、ああいう無機的なボスキャラはゲームブック向きではないのかも。ロボポリスも普通に喋ったりしている。

レッドウルフの出番が多く、共闘するような熱い展開もあるが彼もオリジナル要素がかなり強い。また、主人公(地の文は一人称視点である)がかなり幼いイメージなのはちょっと気になった。とりあえず挿絵とのギャップがすごい。ソルジャーやウルフが大人なのに対し、主人公(ハンター)とメカニックは子供として扱われている。

人物紹介でも触れられているラスボスの正体や能力、また拉致した人間を改造してモンスターにするなど、『メタルマックス2』を彷彿とさせる設定がいくつかある。発売は本書のほうが2年ほど先なので、もしかして影響を与えたのかも知れない。

原作ゲームの醍醐味といえば、好きなところに進んでお金を貯めて戦車を強化するという要素だが、本書では一本道の展開の上に能動的に金を稼ぐ手段が無いので、原作のプレイ感覚が再現できているとは言い難い。お尋ね者(これは本でもそう呼ばれている。ハンターオフィスもある)を倒しても賞金がもらえないってのもマイナス点(そのモンスターが持っていたお金、という形では手に入るのだが)。また装備のうち、S-Eと特殊砲弾の存在感がほとんど無かった。いっそオミットしても良かっただろう。その割にはオリジナルの戦闘用アイテムが結構用意されていて、ちょっとちぐはぐな印象を受けた(だいたい「消火ロケット」ってなんだよ、そこはハイドロポットだろ)。

ゲームブックとして良い点は、理不尽なゲームオーバーが無いこと。装備をしっかり更新し、ヒントに忠実にプレイすればまず間違いは無い。乱数チェックも最低限というか適切なルートを辿れば使う機会はほとんど無い。

悪い点はかなり多い。自分はゲームブックはあまり遊んだことはないのだが、それでも出来は悪いと言える。

まずは数値がわかりにくい。戦闘ポイントは新しい装備を買うたびに入れ替わるのではなく単純に増えていく。戦車なので複数の兵器を取り付けられるし、そもそも戦車は複数あるので不自然では無いのだが、数字の管理がやや面倒である(所持金を減らし、装備欄に書き込み、戦闘ポイントを増やすという手順なので忘れやすい)。装備だけで決まるわけではなくイベントで増減することも多いので(そもそも耐久力も兼ねている)、装備品を見れば計算できるというわけではないのも厄介。

また、細切れが気になる箇所がいくつかあった。選択肢も無い1行程度の項目が3回くらい続いたりする。ページ配分の都合で無理矢理分割したのだろうか。

以上については多少プレイしづらいだけなのだが、システム的な問題もある。例えば町に着いた時の選択肢で「修理屋」に行くことができ、お金を払って「修理する」ことが出来るが、この「修理」が何を意味するのかさっぱりわからない。故障フラグが存在するわけでもなく、ポイントが増減するわけでも無いのだ。もちろん展開として「戦車が壊れたので修理屋に行く」となる場合はあるが、自発的に修理屋に行く選択肢には何の意味もない。「もし修理が必要なら○○Gだよ」みたいなセリフだけで十分だろう。レンタルタンク屋にも同様のことが言える。また、選択肢無しでお金を失うイベントなのに所持金チェックが無い(例えば20Gしか無いのに100Gを払わされるとか)というエラーもある。

さらに酷いのは、行き先の番号が間違っているというゲームブックにあるまじき誤植。234における「ナパーム弾→523」だが、全く無関係かつずっと前の場面に飛ばされてしまう(本来の行き先と思われる所は見つからなかった)。あと「鉄鋼弾」にもちょっと萎え(ゲームではひらがなだが、ここは「徹甲弾」とすべきだろう。もっとも誤植と言うよりは作者も編集も校正も知らなかっただけか)。

ゲームブックとしては残念な部分が多かったというのが正直なところ。根本的な欠陥というよりは、多少の校正というかテストプレイで容易に確認・事後修正できたであろう問題というのが余計に。しかしメタルマックスの貴重な公式派生作品ではあるので、ファンアイテムとしての価値はあるだろう。

おまけ:自分用に作ったチェックシートのコピー(Jpegファイル・白黒印刷推奨)

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