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雑文:TCGをコンピュータゲームに落とし込むには
トレーディングカードゲーム(TCG)の面白さを、コンピュータゲームに落とし込むにはどうすればよいのか。
TCGをコンピュータゲームにするという試みは従来から何度も行われているとは思うが、決定的な成功例は無いと思う。いくら元のTCGの完成度が高くても、またいくら再現度が高くても、その面白さをコンピュータゲーム(以下、面倒なので単に「ゲーム」とする)上で再現するには限度がある。それはなぜだろうか。それを見るには、まず現実社会におけるTCGの扱いを振り返ることが大事である。

TCGというのは基本的に趣味である。ごく限られた人数ながらプロも存在するが、彼らとてTCGのみで生計を立てているわけではないだろう。極論としては、(制作・運営する側を除いた)ほとんど全ての人にとって、TCGとは余暇や可処分所得を費やすに過ぎない娯楽なのである。

翻って、TCGを題材にしたゲームはどうか。まず例外なく「TCGの勝負に勝ってカードを集める」「TCGの勝負に勝って物語を進める」という構造になっているはずだ。これじゃ駄目だ。現実において、趣味のTCGで勝つための努力は惜しまないのは当然だが、TCGで勝利したからといって物事が進展するわけではない。ましてカードを賭けた勝負なんてするはずもない(アンティなんて大昔に滅んだ遊び方だろうし)。

「勝つ」ことが唯一のゲームの目的になったらどうなるかと言うと、どんなに良くできたTCGでも、またどんなに良くできた敵AIであっても、カードバトルそのものを楽しむ段階はごく初期に限られ、あとはいかに短時間で効率よく勝ち星を稼ぐかというゲームに成り下がってしまう。

「勝てば先に進める」というのも、普通のゲームでは当たり前だがTCGの戦闘システムでは問題だ。TCGというのは、余程のパワー差が無い限りどちらのプレイヤーが勝利してもおかしくない。デッキ相性やプレイングによる差はあるだろうが、大抵はリセットによるやり直しによるごり押しが可能。逆にいかに優れた構築やプレイングであっても運次第では負けてしまうので、強制セーブによってリセットを封印しても理不尽さが残る。他のゲームの戦闘システムと比較すると水物とでも言おうか。例えばRPGのボス戦のように、ある程度の経験値や装備、あるいは戦術が揃わないと先に進めないといったストッパーにはなりえない。

TCGの面白さをゲームで表現するのならば、(カード集めにおいても進行においても)ずばり勝っても負けても問題のないように、つまりTCGそのものはゲームの本筋とは離れた要素にすべきである。具体的には、TCGとは無関係な「目的」をゲームの中心に据えた上で、サブシステムとしてTCGを取り入れれば良いのだ。一例としては、典型的なRPGを作った上で、そのミニゲームとしてTCGを用意するのが最も手軽だと思われる。

プレイヤーキャラはさすらいの冒険者としてさまざまな問題を解決し、その過程で得た金銭を任意でカードにつぎ込む。RPGのシステムとより連動させるなら、敵モンスターをカードに変化させるシステムを取り入れても良いだろう。逆に、カードを所有することで冒険に有利なシステムを入れるのも良いのだが、カードバトルを満喫させるためにはカードを消費させるような要素は極力避けたい。一つのアイディアとして、特定カードの入手が新しい武器を生産するフラグになるとか、より単純にカードを所持することでそのモンスターの召喚魔法が使えるようになるといった仕組みが考えられる。

大事なのは、カードバトルそのものではゲームの有利不利が付かないようにすること。勝敗が直接的に影響してはならない。そうでなければゲームの面白さを度外視して短時間で勝ちを回すだけのゲームに成り下がる。ただし、世界観的に不自然でない程度の賭博要素はあっても良い。例えば酒場のごろつきに勝負を挑むならば掛け金は発生するのが自然だ。重要なのは高すぎないこと。つまり負けてもリセットするほどでもない程度の金額にしておくことだ。古い例だが、FC版DQ3の格闘場の掛け金の匙加減が参考になるだろう。

ここまでやって初めて、趣味としてのTCGをゲームの世界に再現することが可能になると思われる。もちろんNPCとの対戦だけでは限度があるので、通信対戦機能も取り入れたほうが良い。

追記:

「それってFF8じゃね?」という指摘をいただいたが、もちろんそれは把握している。ただ、あちらの場合は

  • アンティがきつい。負けたらリセット推奨ゲーム
  • 基本的に力押し。特殊ルールも相手の手札という不確定要素に依存しすぎて戦術性より理不尽さが勝る
  • デッキ5枚で1分もかからずに終わるようなショートゲーム
  • 雑魚モンスターのカードは、ゲームの駒というよりアイテム精製の過程という面が大きい

などの点により、自分の求めているTCGとは程遠いという印象。ただし敵をカード化する手段や、余剰カードの利用価値、またカードバトルを通じたNPCとのコミュニケーション等といった参考にすべき点は大いにある。

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余談:

TCGに限らず、現実の娯楽をシミュレートしたゲームにおいて、その娯楽における「勝利」を、進行や強化の条件にしてしまうと大抵は失敗する。有名な例ではSFC末期以降においてワゴンの常連だった『糸井重里のバス釣りNo.1』や『ミニ四駆シャイニングスコーピオン』だろう。これらは釣りやレースといったメイン部分の評価は高いのだが、ゲームとして通しでプレイしようとすると、ポイント稼ぎの匙加減やプレイサイクルのテンポなどが明らかに異常でありクソゲーと言わざるを得ない。プレイヤーは現実では時間や費用のかかる趣味をゲームで手軽に体験したいのであり、苦労してグッズを揃える過程までをゲームで再現したいとは普通思わない

逆のパターンで成功した例として『ゼロヨンチャンプ』シリーズにも触れておこう。本作のメインであるゼロヨンレースは金のかかる趣味という位置づけで、金稼ぎのためにバイトや宝探しといったミニゲームをする必要があり、それの評価が非常に高い。もしもこのゲームが「レースの賞金でチューンアップする」ようなありきたりのゲームデザインだったら非常につまらないものになっていたことだろう。

この問題はいずれ別の記事にするかも知れないが、ひとまずはメモとしてここに書き残しておく。

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