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ドラマレビュー:封神演義(中国版)
ファン・ビンビン主演の2006年版。BS11で放送していたものを一通り視聴した上でのとりとめのない感想。
以下、何らかの形で封神演義のあらすじを知っていることを前提に書いている(原典でも安能版でもフジリューの漫画でも)


よくぞ実写化してくれたなぁ、というのが最初の印象。そして現代の中国でアレンジされるとどうなるのかなという興味があった。

妲己と伯邑考が婚約関係にあるという、いきなり大胆な改変ストーリーから幕を開ける。両者の愛というのが前半のテーマであり相当の尺を割いている。狐狸精が憑依した後も妲己本来の自我は消えず、時々表に出てくるというのがポイントの一つ。妲己を演じるファン・ビンビンは美人で演技力もあり、なるほど主演として大々的に扱われているのにも納得。

邦訳の封神演義といえば漢字表記や読みがバラバラだったりするが、今回のドラマに関してはおおむね漢音に沿っていて正しかったのではないか。字幕では登場人物の呼び名が統一されてわかりやすくなったりはしていたようだが。しかしドラマではセリフの字幕に限らず登場人物のテロップくらい出しても良かったんじゃないかとも思う。原作を知らないと登場人物が多くて混乱すると思うし。

原作よりも時代考証を意識しているようで、たとえば青銅製の酒器が出てきたり、漢字は楷書ではなく古い書体だったりする。紂王も「皇帝」ではなく「大王」と呼ばれていたりね。その一方で服や建物はかなり後の時代のものに見えるが、見栄え優先でまあ妥当か。どうせなら合戦のシーンで戦車(チャリオット)も出して欲しかったところ。

合戦といえば、一騎打ちには苦笑。馬から露骨なワイヤージャンプ→空中戦って、もっとマシな見せ方は無かったのかなぁ。なお、ある程度の武人なら道士ならずとも空中戦をたしなむ世界のようだ。CGはエフェクト程度ならともかく、フルスクラッチの妖怪や動物はかなりの違和感がある。

もっとも全体的に戦闘はかなり割愛されており、本作独自のエピソードは宮中でのいざこざを扱ったものが多い。特に申公豹が紂王の側近となり、汚れ役(例えば狐狸精らを召喚したり)を一手に引き受けると同時に、突っ込み役として尺稼ぎに貢献している(例えば文王をあっさり逃がすのを止めようとするとか)。キャラ造形もわかりやすい名悪役と言える。

改変の中には冒頭の妲己と伯邑考の関係や、比干の娘のようにストーリーの軸となるものがある一方、雉鶏精が周にもぐりこんで武王を誘惑しようとしたり、武王の弟(胡安とかいうオリキャラ)が反乱を起こしたり等、ストーリーを引っかき回した割には必要性の薄いものも。最終的には尺が足らずに駆け足の打ち切りエンド風になってしまっているから本末転倒もいいところだろう。

全体としては気になる点も多いが、場面場面では光るものもあって(特にナタ誕生→復活は単独で作品になるのでは)、いろいろと惜しい印象は受けた。配役を一新した続編も存在しているようで、そちらもテレビで流れたら見てみようかと思う。

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