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書評:類猿人ターザン
誰もが知ってるけど、原典は知らない人が多い気がする。

1つのキャラクターというか、野生児というキャラクター類型としてのターザンはあまりにも有名で、パロディやオマージュが無数に作られている。ではそのモデルとなった原作はどうなのか?ということで手に取ってみた。

児童文学みたいなものかと思っていたら、水夫の反乱からゴリラの襲撃といった血生臭いシーンの連続に驚く。かと思えば擬人化されたゴリラ社会が登場して急にメルヘンチックな雰囲気に。ゴリラが言語や名前を持っているなんて、しかも「ターザン」という名前までゴリラが付けたものだったとは!

ここから成長したターザンがジャングルの王者として動物たちを従えていくのかな、と思ったが、ボスの襲撃を迎撃して新たなボスになったと思ったら、その煩わしさから早々に群を抜け出してしまう。初めて見た自分の同族たる人間の残酷さに絶望、自分は何者なのかと悩む孤独なヒーローである。

もう一つ意外だったのはターザンの知性。父の遺した本を読むことで独学で英語の読み書きを覚えてしまう。発音を知らない(文字と発音を結びつけられない)くせに「ターザン」の署名を残しているあたりはご愛敬か。その後、あっという間にフランス語と英語を流暢に使いこなすようになり、車の運転まで覚えるという驚異の吸収力。

異性として惚れたジェーンに対してあくまで紳士的に接するターザン。これを「英国貴族の血がそうさせる」とか真面目に書いているのが何とも時代がかっていて笑ってしまった。しかしこのジェーン一家がはるばるアフリカまで来た理由が「宝探し」というのがまた荒唐無稽で良い。

ラストはジェーンを追いかけて、望まない結婚から救い出すというおきまりのパターンだが、ここにジェーンと相思相愛で、しかもターザンのいとこに当たるクレイトンが存在しているのが切ない。言葉少ないラストシーンだが最後まで孤独なヒーローだったのだ。

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