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書評:ドラゴンクエストモンスターズ
SFC版までのドラゴンクエストのモンスター達の資料集。

2冊構成で、1冊は鳥山明によるモンスターのイラストと、彼らの生態などを図鑑風に解説したもの。もう1冊は開発者の裏話やゲーム上のデータを収録したもの。1996年の発売なので、本編で言えばDQ6(より厳密には、SFC版DQ3)までのものとなる。後年に発売されたゲームの「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズとは直接関係ないが、本書における分類や生態などはある程度参考にしていると思われる(いくつかは根本的に違うけれど)。

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まずは1冊目について。フルカラーで鳥山明のモンスターイラストがまとめて見られるのは貴重。後年のメディアで用いられるようなリファイン版ではなく、素朴な塗り方そのままの原画である。ラスボスなどもしっかり収録。イブールとヘルクラウドのイラストはここで初めて見た気がする。DQ4の武道大会の面々やテリーはいなかったけど、これはモンスターではなく人間だからか(でもDQ6の兵士達はデビルアーマーの同属として名前があったりする。さすがにオルテガはいなかったが)。

モンスター達は登場順ではなく分類別に掲載。在来生物界・魔界生物界・アンデッド界・動く物体界に大別され、さらに細かい類・目・属・種で分類されている。例えばDQ6のキメイラなら「在来生物界・鳥類・鳥獣目・キメラ属・キメイラ種」といった具合。ここでのポイントは、爆弾岩やスモークの類も在来生物ということ。有機体ではなく活性元素から進化したというれっきとした生物で、もともと非生物であるゴーレムやアンデッドのゴーストなどとは区別されている。実に細かくて良い。

モンスター個別の特徴だけでなく、自然界における分布、生態系や食物連鎖、進化の要因と過程(ここで生態ニッチに触れているあたりも芸が細かいなあ)、さらには毛皮などの素材の利用方法など、モンスター達を「あたかも実在するかのように」取り扱っているのが非常に面白い。

ここでの設定は、本編や派生作品(小説、知られざる伝説など)とは必ずしも一致しない。例えばスライムナイトは「乗用に改良したスライムにまたがる魔族の騎士」ということになっている。絶対の「公式設定」というわけではなく、あくまで今回限りの壮大なお遊びといったところだろう。

いくつかの設定をピックアップ
・さそりアーマーは中に人が入っている
・ファーラットは三つ目に見えるが、真ん中は目ではなく模様
・ガップリンは人面樹の果実
・キラーウェーブは微生物の群体
・フレイムとブリザードは同じモンスターの形態変化
・爆弾ベビーは自爆しても自己再生できる

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2冊目のほうはどちらかといえば付録的でページ数も少ない。冒頭は堀井雄二と鳥山明の対談によるデザイン裏話。堀井雄二による原案ラフも一部紹介されている。個人的には「キラーマシンはもともと機械ではなかったが、鳥山イラストにあわせて機械のモンスターにした」というのが印象的。またラフ画のコメントから見える初期構想も興味深い。モンスター職の発想はDQ6の時点であったんだな、とか。

続いてグラフィックデザインの眞島真太郎によるドット絵講座。テレビ画面の滲みまで計算したドット打ちって今となってはロストテクノロジーではなかろうか。DQ6やSFC版DQ3のモンスターアニメも、単純なパラパラ漫画方式ではなく複雑なパーツの組み合わせで容量を節約しているとのこと。まさに匠の業だ。

最後はゲームにおける(ほぼ)全モンスターのパラメータと一口攻略法を紹介。驚くことにラスボスのデータも掲載している。自然回復や形態変化を考慮していない部分もあるからそのまま使えるとは限らないし、オリジナルとリメイク版の混同もあるけれど。

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全体的にすごく気合いの入った資料集。ドラクエファンはもちろん、架空生物好きなら持っていて損はない。

関連レビュー:ハンター大全シリーズ(モンスターハンター)
こちらも、モンスター達をあたかも実在するかのように紹介した資料集である。

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