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RPGのヒットポイントとは何か
単なる体力や耐久値として扱われることも多いけれど、本質的な意味とは?

RPGに関する文章はいろいろ読んでいるけど、自分なりの解釈も多く含む。
ヒットポイント(以下「HP」)とは何であるかを読み解くには、HPの値がゲームにどう影響するのか、という点を切り口にするのが良い。言うまでも無くHPとは、攻撃などによってダメージを受けるごとに減少し、0になると(ゲームによって表現こそ違うが)戦闘に参加できなくなる数値のこと。このブログを読んでいる諸氏には今更説明するまでもないだろう。

では、ダメージを受けたら減る値であれば、HPの減少とはダメージで傷を負っている様子を表しているのだろうか?しかし、HPが最大値であっても残り1ポイントであっても、戦闘能力には影響を及ぼさないのが普通だ。もちろんゲームによっては自分の現在HPが影響する技などがあるが、それは基本に対する応用のようなもので一種の例外。傷を受けたら多かれ少なかれ戦闘能力は落ちるのが当然であるにも関わらず、HPの減少が能力の減少に繋がらないというのは、つまり傷を受けていないということだ。

つまり「HPが減少した(0にはなっていない)状態」とは「傷を受けている状態」ではない。少なくとも戦いに関わるような大きな損傷を受けてはいない。戦いに支障がでるほどの怪我をしたら、その時点で戦闘不能、即ち「HP0」なのだ。本来、戦いにおける怪我とは即ち致命傷だ。利き腕どころか指の何本かが駄目になるだけでまともに武器すら握れない。足をやられたら回避もできない。すぐ死ぬかどうかは状況次第だが、少なくとも「戦力」ではなくなる。

しかしゲームにおいて「成功判定で致命傷が直撃したら即戦線離脱」というルールが楽しいだろうか。ましてプレイヤー1人がキャラクター1人をプレイするTRPGにおいては。そこで、致命傷を1か0かの確率判定ではなく、段階的な数値として表現する発想が生まれた、と思う。HPの減少とは、致命傷をよけ続けるスタミナであり精神力だ。ファンタジック、あるいは物語論的な見方だと「運命」的なニュアンスも含まれるだろうか。精魂も命運も尽き果て、敵に攻撃されるがままになった死に体の状態こそが「HP0」というわけだ。

アクションゲームやシューティングゲームに置き換えるとわかりやすいかも知れない。伝統的に、これらのゲームでは攻撃を受けると(パワーアップやバリア等がある場合は別として)即ミスとなる場合が多い。この場合、RPGにおけるHPに相当するものは、ゲーム内のキャラの耐久力ではなく操作するプレイヤー自身の集中力や精神力である。

この解釈だと回復アイテムのイメージもはっきりする。そもそも、その辺の店に売っているような薬草を飲んだり傷薬を塗りこむだけで瞬時に傷が癒えるわけはない。興奮作用や暗示効果で戦場に留まる気力を奮い立たせるのが「HP回復」なのだ。逆に言うと、戦闘不能から瞬時に復帰するような手段は、単なる薬や神頼みを超えた「奇跡」の力である。

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余談だが、アニメ版のポケモンにおいて「『かわせ!』の一言で攻撃を避けるのは卑怯だ、ゲームと違う」みたいな感想が飛び出してくることがあるが、的外れだということがよくわかるだろう。攻撃を避けることによるスタミナの消耗はもちろん、回避したことでかえって不利な状況に追い詰められたりするのは、多かれ少なかれ、れっきとした「HP減少」である。ゲームの視覚上の表現では、ダメージを受けるのは攻撃が直撃した時だけなので違和感があるだろうが。

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