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書評:ラヴクラフト全集4
ラヴクラフトの全集その4。2つの中長編と5つの短編。

解説に曰く、科学に比重の置かれた作品を中心に集めたらしい。

宇宙からの色
謎の隕石により徐々に汚染されていく農場の恐怖。直接的に化け物が出たりはしないが、「色」の伝染が人の狂気にまで広がっていく恐ろしさ。プロット自体はあまり捻りは無いけど、文章のうまさというかパワーを感じる1作。

眠りの壁の彼方
普通の人間が「人の夢を読み取る機械」というオーバーテクノロジーを普通に扱っているという珍しいパターン。例によって田舎者をボロクソに書いてる。患者の夢から垣間見られる世界は幻想的すぎる感じもするが、全集6の伏線になってるのかな。

故アーサー・ジャーミンとその家系に関する事実
自らの家系を辿るとなぜか不審な点ばかり、元にたどり着くと…という話。実にラヴクラフトらしい血統コンプレックスもの。個人的には祖先の正体より、最後の一文のほうが衝撃的だった。

冷気
死体蘇生の話。オチはわかりきっているけど、その恐怖感というか嫌悪感を「冷気」というキーワードに結びつけるのがうまいと思った。タイトルや冒頭にある通り。

彼方より
マッドサイエンティストによって垣間見られる宇宙的恐怖、といった話。話のほとんどが室内で展開されるので、場所の移動がない分だけ描写が濃い目。

ピックマンのモデル
登場する化け物はきわめて陳腐なものだが、「絵のモデル」という出し方と、潜んでいるのが秘境や廃墟などではなく都会の地下道というのが近代恐怖小説といったところか。

狂気の山脈にて
本格SF冒険小説。ラヴクラフト作品の中では一番のお気に入り。南極探検の臨場感、謎の化け物の発見とその正体、明かされる壮大な過去など、見所満載。

まず「古のもの」が良い。ヒトデの頭にタル状の体に5枚の翼と無数の触手を持った半植物生物、というとんでもない外観、さらに彼らの歩んできた歴史がすごい。テラフォーミングも宇宙戦争も生体ロボットの反乱もある。彼らを主観としたシナリオだけで何冊も書けるだろう。最初はホラー小説らしい化け物扱いだったのに、やがて心と知性を持った同じ「人間」であることを知る場面は感動した。

こういう「遭遇」ものとして感動してしまっただけに、その後すぐに脱出劇になってしまったのは少し残念だったかも。特に最後の発狂は、他の作品と世界観を共有するならともかく、本作単体で見れば蛇足なシーンではなかろうか。

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