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映画評:コクリコ坂から
劇場で1回観ただけの暫定レビュー。いずれ書き直すかも。
今回鑑賞するにあたって、事前情報は全く仕入れなかった。テレビのCMも、雑誌の特集も見なかったし、当然原作も読んでない。監督が誰であるか、舞台は日本なのか外国なのか、異世界ファンタジーなのかすら知らないまま劇場に入った。だから、ある程度作品の内容を知ってから見た人とは感想が違うことが予想される。

結論から書くとかなり気に入った。ジブリの非ファンタジーの中では一番好きかも。やや古臭いがまっすぐな青春物語を、ジブリのクオリティで非常に丁寧に作ったという感じだ。

同ジャンル?の「耳をすませば」と比べると、「少年の物語」という面が強かった。カルチェラタンは文科系男子の理想郷だし、それを守るために理事長に直談判に行くなんて、下手なバトルや冒険よりもよっぽど胸躍るシチュエーションじゃないか。

舞台が東京五輪前だが、媚びたノスタルジーのようなものは感じなかった。前述のカルチェラタン(部室棟)で過ごす放課後、下校中の買い食いのコロッケ、ちょっとキザだけど頼りになる生徒会長、そして異性の前での不器用な姿、などなど、描かれるのは今も昔も学園物として普遍的な要素ばかりだと思う。日本で戦後に学生時代を過ごした人なら、世代を問わず共感できる部分は多いんじゃないかな(ちなみにブログ主は1980年代生まれ)。

物語は極めてシンプル。裏も寓意も無く、単純明快で後味爽快。アクションシーンを売りにしない映画で、ここまでストレートな物語はいまどき珍しい気がする。こういう映画を本気で堂々と作れるのが円熟したジブリだ、と思う。

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さて、この映画には同名の原作漫画が存在し、最近は本屋に新装版が並んでいる。自分は未読だが、何かの雑誌でその原作のことを宮崎駿さんが酷評していたのが印象的。

確かに「なかよし」という大手少女漫画誌に連載する機会を与えられながらメジャーになれなかったということは、客観的には控えめに言っても「凡作」でしかなかったのだろう。しかし、この場でそこまで言うか?と。その凡作に目をつけ、美味しい所だけ切り取って名作に仕立て直すセンスが素晴らしい。

この発想はコンテンツ界に一石を投じるかもしれない。今まで、名作を適当に映画化したりリメイクしたりして、凡作扱いされるという例が多かったが、これからは無名の凡作・駄作を本気で作り直す時代が来るのではなかろうか。

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