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書評:ラヴクラフト全集2
ラヴクラフトの小説集その2。2つの短編と1つの長編を収録。

比較的「王道」っぽいというか、起承転結のはっきりした話がまとめられている。しかも3作それぞれ毛色が違う。入門編としておすすめしたい。展開の回りくどさや修飾過多というラヴクラフトらしさも全開。この本が駄目なら、多分他のも駄目。

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クトゥルフの呼び声

少なくともタイトルだけなら一番有名な作品ではなかろうか。同名の有名TRPGで知った人も多いことだろう。タイトルの通り、クトゥルフの復活にまつわる怪事件を描く。「クトゥルフ神話」などという言葉があるくらい有名なクトゥルフさんだが、本作を読む限りでは割と小物のモンスターに過ぎない。

身も蓋もない言い方をすれば、怪獣映画の予告編のような話。もったいぶった表現で恐怖を強さを伝えようとしているが、執筆当時の時代背景ですら、近代兵器をちょっと動員すれば倒せない相手だとはとても思えない。宇宙的な恐怖とやらも、これだけ読めば狂信者のうわごとのようにしか見えないんだよな。正直、恐怖小説としては失格か。ヒロイックな冒険物語の序章だと思えば面白いんだけど。

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エーリッヒ・ツァンの音楽

記憶にあるけど決してたどり着けない街、という割と普遍的なテーマをきれいにまとめた短編小説。怪しい要素が怪しいままで、謎の要素が謎のままで終わる、かといって作品自体が消化不良というわけでは決して無く、高い完成度でまとまっている。隠れた名作といったところか?

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チャールズ・ウォードの奇怪な事件

本書の大半を占める長編小説。ラヴクラフトの定番とも言える「呪われた血筋」がテーマ。

「読者にはとっくにバレバレなのに、やたら展開が遅いなあ」と思わせておいて、もう一捻り加えてあるのがうまい。でもやっぱり、どうしても全体的にテンポが良くない。先が気になるからページをめくる手は早いけど、「もうわかったから、ここはカットでも問題ないだろ」という部分が多い。

ラストはすっきりした形で決着が付くのがラヴクラフト作品としては逆に異色な感じ。一定の尺に当てはめて冗長さをカットできるという意味で映像化にも向いてそう、と思ったら過去に2回も映画化されているようで。

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