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書評:フラジャイル―弱さからの出発
「弱さ」をキーワードに、様々なジャンルに渡る文化論エッセイ。

とにかく話題の引き出しが多い人だと思った。文学、神話、民俗学、自然科学など、あらゆるジャンルに話が及ぶ。いくつかの作品などについては知っている前提で話が進んでいくので、にわか読書家のブログ主にとっては、理解しながら読み進めるのにはなかなか体力を使う本だった。本物の本好きのための本かも知れない。

「弱さ」というのは単に脆いことに限らず、異端や欠落といった社会的・身体的な弱さや、さらには時間的・物理的な「境目」という不安定さも取扱われる。よって非常に広範囲な物事が対象となるのだ。興味のある部分を中心に呼んでもいいし、巻末の人名索引から辿るのもいい。最初から最後まで資料を引きつつ読みきると結構な知識が身につくだろう。

ちょっと残念だったのは現代の大衆メディアの理解について。優生学に苦言を呈する文脈で、今の漫画や映画・テレビゲームの英雄像について「(かつての英雄は弱点を持っていたが)今は強い者がもてはやされるだけ」というのは同意しかねる。具体的にどういう作品を指していたのだろうか。少なくとも主流の作品だとそういうのは見かけないと思うのだが。

弱さに注目するという着眼点は良かったが、同時に松岡氏の限界も見えてしまった気がした。氏の本はこれしか読んでいないので断定はできないのだが、この視点を引き継いでさらに発展させる後継者が望まれる。

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関連リンク:モンスターハンター論・フラジャイル(HUNTER's LOG)
この本を読むきっかけになったもの。ゲームの中のフラジャイル。

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