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書評:物語消費論 -「ビックリマン」の神話学-
1980年代末期、「物語」の転換期に書かれたコラム集。


(リンクは角川文庫版だが、読んだのは新曜社版)

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こんなサブタイトルだが、ビックリマンの話はきっかけに過ぎない。すなわち物語や商品自体ではなく、その背景となる「世界観(世界設定)」そのものを売り物にする消費文化の発見から始まる文化論である。コラムの寄せ集めなので一冊としてのまとまりは緩いのだが、ポップカルチャーの話題が中心。

これが80年代に書かれたコラムか?と思うほど、現状を的確に読んでいると思った。共通の世界観から数々の派生作を作るのはもはや常套手段だし、重大な事件や社会運動をもファッション的なブームとして消化してしまうメディアもその通り(当時は折しもチェルノブイリに端を発する反原発が「ブーム」だったようだ。酷いタイミングで読んでしまった)。

リバイバルとパロディの連鎖による旧作の食い尽くしも当時から現在まで頻繁に行われてるし、「少年漫画」の高年シフトによる「児童漫画」の空洞化も解消されていないのではないか(今でも無いことは無いだろうが、往年の「鉄腕アトム」や「ドラえもん」ほどのパワーを持つ児童漫画ってもう出ないような気がする)。大人をメインターゲットにしたコンビニコミックの流行をこの時点で読んでいるのは凄い。何せ「コンビニ」という略語すら無い時代なのだ。

全体的に「都会の金持ち」っぽい視点で貫かれてたり、当時の天皇のことをわざわざ「森の聖老人」と表記したりする意味不明な自己アピール、あるいは文章の最後のほうでいきなり文体を崩すという謎のスタイルが気になるが、これが昭和末期のバブルの空気なのかも知れない。内容自体は興味深いのに、こういう部分を今見るとちょっと恥ずかしい。

ともかく、漫画やゲームに感心がある人は読んで損はないと思う。

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