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書評:菊とポケモン
アメリカに進出した日本のファンタジーから文化を読む。


洒落のきいたタイトルだが、ずっしり400ページ近い本格派。戦後の焼け野原から始まった空き缶リサイクルの玩具輸出からはじまり、ゴジラ、パワーレンジャー(←ジュウレンジャー)、セーラームーン、たまごっちといった、アメリカの子供文化に大きな影響を与えた日本発のコンテンツを中心に話を進めていく。キーワードは「変化」と「テクノ・アニミズム」そして「ノマド」。

最初は色物に過ぎなかった日本産作品が、設定や展開の斬新さから徐々に受け入れられ、アメリカ人向けのローカライズの度合いも薄まっていき、ついには日本ブランドを超越したグローバルで普遍的なものとして受け入れられていく過程は日本人として誇らしい。「クールジャパン(笑)」とか言いたくなる気持ちもわからんでもない。

そして、日本の作品が席巻する以前のアメリカの子供向け作品事情がどれだけ貧弱だったんだよ、とも思った。子供向けと言うことで舐められ、制約され続けてきたのかなあ。大人世代における「よくわからない新しいものへの驚異」というのも日本より遙かに激しかった模様。

セーラームーンの項で、軽く売春してブランド品を買い漁るような少女を、さも一般像であるかのように扱っていたのは閉口。また「凶悪化する少年犯罪」という、これまた実体と離れたイメージに惑わされすぎている感じもする。ニュースで目立つ事件ばかりではなく、もっとリアルな日本を見て欲しかった。仮にも日本に長期滞在していたのだから。

肝心のポケモンについては、日本における発売から大ヒットまでの経緯や、海外進出などについて極めて妥当な説明をしている一方、攻略本「ポケットモンスター図鑑」をレビューするという離れ業までやってのける。同書の序文にある設定資料コラムから、(作中におけるポケモン学の発展を)日本発のコンテンツが世界で認められたことへの寓意を読みとったのに驚愕。そもそもレビューされていた事自体も不意打ち。アメリカ人による貴重な意見だ。

とにかく内容がつまってるので、全体を通してちゃんとレビューするのは時間がかかりそう。今回は大ざっぱな書評だけどいずれ書き直すかも。

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通りすがりです
今日図書館で発見して読んでみました。面白そうです。
このブログと「かけるのページ!」もかなり興味深いです(文章力に感嘆します)。
これからも更新を楽しみにしています。
ボヨヨン | URL | 2015/07/10/Fri 00:06 [編集]
かける
どうも、しばらくブログをほったらかしてました。

海外でのまとまったポケモン評が書籍として読めるって珍しいんですよね。少なくとも日本語の文献としては。

最近ではポケモン論の本も貴重になってしまいました。アニメ化直後には結構多かったんですけどね。
いずれブログでも取り上げたいとは思っていますがやることが多くて。
ナナシの実 | URL | 2015/07/27/Mon 01:06 [編集]
おっと名前とタイトル間違えたw
このブログのコメント欄では名前無しだと「ナナシの実」になります
かける | URL | 2015/07/27/Mon 01:11 [編集]
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