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書評:リアル鬼ごっこ
21世紀最初の奇書。これを単純に駄作扱いするのは、裸族に向かって「王様は裸だ!」と叫んで悦に入るようなものだ。


ソフトカバー版文庫版




成立から3000年で150代にもわたる王政が続いている国で、馬鹿王様の命令で佐藤抹殺ゲームが始まる!未来世界の架空の国が舞台のようだが、どう見ても現代日本。全てが”現代日本”これ以上の単語が見当らない程、現代日本であった。

それなりに緊迫した状況に対して、ストレートすぎる台詞回しや冗長で変な比喩に満ちた地の文(唐突に入るカッコ書きの突っ込み)、さらに”うぃーん”など気の抜けた擬音が相互作用し、頭のねじをいい感じにゆるめてくれる。

破滅した係り結びは、日本語ができないとか校正をしてないとかそういう次元ではない。その証拠に単語の用例の間違いはあっても誤字は無かったと思うし、三点リーダの基本ルールも守られてる。つまりわざとやっている。存在自体がいろんな意味で実験的。こんな小説を処女作として堂々と半自費出版した人は(このあたりの事情は文庫版の解説でわかる)山田悠介以外を除いて誰一人いなかったのではないか。

ストーリー自体は単純でどんでん返しもないけど疾走感があって一応筋も通ってる。ルール説明が足りないけどひねりは無いので読んでるうちに理解できるレベルだろう。短編映像にしたら化けそう。「ダブル佐藤」がいい感じだ。家の中だとやたらとジジ臭くなる翼のどうでもいい描写も好きだなあ。もうちょいい、もうちょい。

ちなみにレビュー内のおかしな日本語は文体模倣である。別にどうでもいいが……。

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なお上記のレビューは、最初に出版されたソフトカバー版に対するもの。文庫版では改訂されているが、残念ながら本来の魅力が大幅に削られたことにより、単なる三文小説に成り下がってしまった。しかし見比べて修正個所を確認することでリアル鬼ごっこの本質を検出できるべく最強の道具アイテムだ。原文ファンだからこそ手に入れておきたい。

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