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書評:アラビア遊牧民(極限の民族)
1965年の6月、サウジアラビアのリヤドの南に住むベドウィンの集落に滞在したドキュメント。

カナダ・エスキモー ニューギニア高地人


(上記リンクは朝日文庫版だが、実際に読んだのは講談社文庫版)
極限の民族シリーズの最終巻。前々巻のエスキモーは「雪原に住むモンゴロイドの狩猟民」、全巻のニューギニアは「密林に住むネグロイドの農耕民」であるのに対し、今回のベドウィンは「砂漠に住むコーカソイドの牧畜民」で、それぞれ対照的な民族を題材にしている。

過酷な砂漠がさらに過酷な姿を見せる夏場の滞在だが、意外にも生物の宝庫。ラクダの餌になる草も生えていれば虫も獣もいる。ラクダに関することはかなりページを割いている。砂漠の遊牧民にとってラクダがいかに重要な存在かがよくわかる。品種・雌雄・年齢・用途などで非常に細かい呼び方があるというのが何よりも証拠だろう。

砂漠に棲む生物や地形に関する報告(土の砂漠と砂の砂漠の境目など)も詳しく書いてあり、前2巻に比べると自然科学のルポが多めに含まれている感じ。というのも、人間に対する印象が良くなかったようだ。

最初は人当たりもよく、コーヒーや食事に招待してくれた人々だが、徐々に図々しくなり、仕舞いには些細な事で金銭を要求してくるように。しかしこれは図々しいとかの悪意の問題ではなく、彼らの倫理に基づいた文化であるということに筆者は気付く。

そして、本質的には中国やヨーロッパもベドウィンに近い倫理の持ち主で日本こそが少数派なのだと。日本人に近いのは、むしろ未開と思われていたエスキモーやニューギニア高地人の方なのだと感じている。筆者はこれを、他民族との接触の頻度が関係していると解釈した。なるほど、文明の中心地である中東やヨーロッパや中国などと比べると、日本は「田舎」ということか。

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